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第三話勇者の一日



「...勇者様、おはようございます。」

「ん、うぅん、」


あれ、ここは、?それに、とても綺麗で背が高い女の人、メイド服を着ている。


「勇者様、良く眠られましたでしょうか?」


勇者、そうだった、僕は勇者としてここ、レーヴェ王国に召喚されたんだった。...夢じゃなかったんだなぁ。それにしても、着替えがきれいに畳んで置いてある。それに部屋も昨日僕が少し物を散らかしてたのにきれいになっている。たぶん手にほうきを持っている彼女がやってくれたのだろう。


「はい!とてもいいお部屋を使わせていただいたおかげでぐっすり寝られました!」

「それは良かったです。朝食の用意が出来ておりますので、着替えの時間になられましたら食事をお持ちするのでお声がけください。」


異世界の食事かぁ。何が出てくるんだろ?楽しみだなぁ。そうワクワクしているとメイドさんは僕に今日の予定を告げた。


「それと、食事が終わりましたら本日の予定は宰相様とのご会談になります。」


そっか、昨日は召喚されたばかりだから休ませてもらったけど今日からは勇者としてこの国を、人類を救うために頑張らないとな。けどおなか減ったからまずは腹ごしらえ!


「メイドさん、今着替えるので食事を持ってきてもらえますか?」

「承知いたしました。」

「あ、そうだ!」

「?」


僕がメイドさんを呼び止めるとメイドさんは不思議そうな顔をして立ち止まる。


「まだ名前を聞いていなかったのでメイドさんの名前を教えてもらえますか?」

「は、はい!メイリーと申します。」

「メイリ―さん、これからよろしくお願いします!」

「ゆ、勇者様!私のことなど呼び捨てでお呼びください!」


僕がそう言うと彼女は困惑しながら叫んだ。僕が勇者だから失礼のないようにしてくれてるんだろう。


「分かったよメイリ―。けど僕はね、勇者だからとかがあんまり好きじゃないんだ、だからこれは君への親しみを込めてだ。君のおかげでとても気持ちの良い朝を迎えられたよ。ありがとう」

「う、うぅ、少し、恥かしいです、勇者様。」


あれ?顔が赤くなっちゃった。何か失礼な事言っちゃったかな、?


「い、今からお食事をお持ちしますのでお待ちください!」


あ、逃げちゃった!けど仲良くなりたいなぁ。まあ、これから仲良くなれるよね!とりあえず先に着替えちゃおう。畳んである服を広げると白と金を基調とした美しさと動きやすさを兼ね備えた服ととてもカッコいい白のマントだった。


「うわぁ...こんな格好いい服着ていいのかなぁ?」


思わずそうこぼしてしまうほどとてもきれいな服だった。少し着てみたら驚いたことにサイズがぴったりだった。昨日体を見られたり触られたりしたけどあれだけで分かるんだ。そう思っていたらメイリ―が食事を持って来た。


「お待たせ致しました。食事をお持ちしました。」

「ありがとう...!うわぁ!美味しそう!」


メイリ―が持ってきてくれたのは種類は分からないけどとてもお肉のステーキに色とりどりのサラダ、そして一番僕が気になったのは黄色いスープ?いやもっとドロッとしていてシチューともまた違った感じがする。そう思考を巡らせているとメイリ―が料理について解説してくれた。


「まずこのステーキはドラゴンの肉を使っていてとても貴重な一品です。ドラゴンの肉は濃厚な味に加え栄養価も高くとても人気な食材です。そしてこのサラダは季節の野菜を使っております。最後にこの黄色いスープのようなものはザルサと言い、この付属のスティックをつけて食べます。」


ド、ドラゴン!異世界だから地球とは違うお肉を使っているとは思っていたけど...どんな味がするんだろう。あと気になるのは...


「このサラダ何か調味料使ってる?」

「はい、このサラダにはフルーツの一種であるバムーを熟成させ香辛料と混ぜ合わせたソースを使っております。これはバムー液と言われており、巷で人気のソースです。」


うん、おいしそうってことだけは分かる。


「じゃあ早速、いただきます。」

「イタダキマス?」


僕がいただきますというとメイリーが不思議そうに聞いてきた。そうか、この世界ではしないのか。


「いただきますっていうのは食べる前に食べ物の命や作ってくれた人へ感謝を伝える軽い儀式みたいなものなんだ」

「なるほど。勇者様が元々いらっしゃった世界の作法なのですね!...私も、やってみてもよろしいでしょうか?」

「勿論だよ!じゃあメイリーも一緒にいただきますして食べよ!」

「そ、そんな恐れ多いこと...出来ません!!」


僕が誘ったらメイリ―はそう言って断った。うーん、もうちょっと砕けて接してほしいけど彼女はこれが仕事だから無理強いは出来ないな。


「じゃあ、せめて僕が食べてる時は一緒にいてくれるかい?一人で食べるご飯は寂しくてちょっと嫌なんだ」

「それなら、承知しました。」


僕がそう言うと彼女は承諾してくれた。よし!じゃあそろそろご飯を食べよう!





「ふぅ、めっちゃくちゃ美味しかった!特にドラゴンのお肉!」

「ふふっそれは良かったです。」


いやぁ本当に美味しかったなぁ、元の世界だと牛肉に近かったけど牛肉より肉厚で柔らかかったしそれにあのサラダのソース、あれだけでいろんな料理に使えそうだなぁ。あのザルサ?もチーズフォンデュみたいな濃厚さがすごい良かったし。


「ごちそうさまでした!」

「それも異世界の儀式ですか?」


僕が満足しながらそういうとメイリーが聞いてきた。


「そうだよ!これは食事の後に言うんだ」

「そうなんですね、ふふっ勇者様とお話ししていると色々な刺激があってとても面白いです」

「僕もメイリーと話すの好きだよ」

「え!?そ、そうですか...」


あ、また顔が赤くなった。なんでだろう?


「と、とにかく!次の予定は宰相様との会談です!遅れないようにしてください!」


何か怒ってるっぽいけど僕何かしたかなぁ?まあ取り敢えず今はロンメルさんとの会談に行かないと。


「勇者様、会談の場所まで案内致します」

「ありがとう!城の中はまだゆっくり見れてないから楽しみだよ」


会談の場所に向かってると様々な美術品や装飾品が目に留まる。すごい豪華だなぁ。それに城の構造も本当にヨーロッパの城みたいだ。


「こちらです」


なんて思っているともう着いたみたいだ。見たところ、普通の応接室に見える。


「宰相様が中でお待ちです」

「分かった...よし、行こう!」


そう覚悟を決め僕はドアを開く前に大きな声をかける。


「失礼します」

「どうぞお入りください」


そう返事をした声には年を重ねたと分かるか細さもありつつ芯の強さが感じ取れた。僕が部屋に入るとレーヴェ王国宰相、ロンメルさんが迎えてくれた。


「勇者様、今回の会談の件、引き受けてくださりまことに感謝いたします」

「いえそんな!勇者としての役割を果たすため、僕にできることはやらせていただくつもりです」

「こちらとしては頼もしい限りです。では早速、勇者様にはこれからの動きについてお話させていただきます」

「よろしくお願いします!」


僕の勇者としての活動が、ここから始まるんだ!!


「まず現状勇者様に第一にしていただきたいことは戦闘訓練になります。一刻も早く魔王復活という脅威に対抗できる戦力を生むためです。」


戦闘訓練...確かに僕はここに来たばかりで戦闘については全くの素人だ。


「ですが、いきなり訓練と言われてもわからない点も多いと思われます」

「はい、この世界には魔法があって僕は光の魔法を使える、それは昨日寝る前に王様と話をしているときに教えられました。けど僕は魔法の出し方もあまつさえ剣の握り方すら分かりません、そんな状態でどうすれば、」

「ご安心くださいそのために勇者様には」

『おーい!じいさーん、そいつが勇者かい?』


突然ドアが開き、背の高く体格が大柄な男性と妖艶で美しい女性が部屋にズカズカと入ってきた。


「はぁ、...君の今の言動は不敬のオンパレードだよ?これが騎士団長とは、世も末だねぇ」

「うるせえよ!お前にだけは言われたくないね!」

妖艶な女性は男性の横暴に悪態を吐く。騎士団長と呼ばれた大男は女性に暴言を吐き返している。


な、なんか見るからにすごい人たちが来たな...


「はぁ...勇者様、この二人は」

『おっと、宰相殿。自己紹介は自分でするものだろう?』......」


ロンメルさん、何かかわいそうだ...


「自己紹介が遅れたね勇者君。私はレーヴェ王国宮廷魔導士、リアンナ=ヴェールラルト」

「俺はレーヴェ王国騎士団長!ジャン=スロベイン」


会ったことも話したことも無い。けど分かるんだ。この二人との出会いが僕の運命を変えるって、そう思えるんだ。

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