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第一話異世界召喚は突然に

第1話 異世界召喚は突然に


俺――野村楓はモブである。何か突出した能力もなく、顔も普通で頭も運動も人並みだ。友人もそこまで多くはなく、勿論彼女もいない。

だが、そんな俺でも親友は一人だけいる。


「楓、今日帰ってきた小テストどうだった?」

「普通だよ、お前はどうせ取れてんだろうけどな」


今日帰ってきたテストの結果を聞くこのイケメン、朝霧光である。このイケメンは顔は言わずもがな、頭も良く運動神経も抜群で、だれに対しても優しい奴だ。

あれ、なんで俺こいつの親友なんだ?

はたから見ると親友(笑)に見えるかも知れないが光の認識としても俺は親友らしい、だがそんな事を言ってくれる光に対し俺はたまにイラっとくることがある。


「そんな事より光、今日もまたお前宛の手紙だ、はぁ、これで何回目だよ」

「ありがとう、けどなんでみんな毎回僕じゃなくて楓に渡すんだろ?」

「お前に直接言えないからお前と仲が良い俺に渡してくんだよ!お前、ちょっと良いなとか思ってた娘が俺にチョコとか渡しに来たと思ったら、『これ、光君に渡してくれないかな、?』とか言われる俺の身にもなれよ!」


何が悲しくて親友へのプレゼントを受け取らなきゃいけないんだよ、


「そ、それはごめん、けど僕今までの告白とか断ってるよ?恋とかよく分からないし、そんな状態で付き合っても相手に失礼だしね。」

「いやお前女の子が好きって言ってくれたら多少はドキドキするだろ!俺なら即付き合ってるわ!」

「うーん、正直もう回数が多くてどうやって断ろうとしか考えてないかも、」


こいつ張り倒そうかな、そんなにモテているなら俺に少し位分けてくれよ!何てこと考えてるから俺には彼女ができないんだろうか。


「けど僕は楓の方が僕より魅力があると思うよ。」


俺のそんな怨めしげな視線に気づいたのだろうか。こいつはこんなことを言い出した。


「いや、お前頭大丈夫か?病院行くか?自慢じゃないが俺の長所って言ったら狡いところぐらいだぞ」

「自分で言ってて悲しくならない?」


悲しいに決まってるだろボケ。それにしてもこいつは自分の価値を理解しているのだろうか。

はたから見たらこいつはまるで主人公だ。俺みたいなモブとは比べ物にならない、そのうち異世界召喚とかされるんじゃないだろうか。

こんなこと思っているからだろうか突然俺たちがいる地面に白く光るものが現れた。しかも、それは俺がよくアニメで見慣れたものだった。


「え!?なんだこれ!?ひ、光ってるよ!楓!これ何かわかる!?」

「おいおいおいおい!まじかよ!?これ魔法陣じゃん!フラグ立てなきゃよかったああああ!お前マジで異世界召喚されるとかありえないだろ!?」

「何言ってんの!?え、楓のそれ、」

「あ!?、、は!?」


光に指摘されて下を見ると俺の下には黒く光る魔法陣があった、いや何か嫌な予感するんですけどこれ!え、俺も召喚されんの!?てか黒ってなんだよ!?


「光お前俺も巻き込みやがって!!異世界行ったら一発殴らせろ!」

「いや何言って、う、うわああああああ」

「こ、光!く、くそがああああ」


この会話を最後に俺の意識は消えた。





『――様、勇者様!!』


誰の声だろう、知らない人の声が、しかも大勢、


「う、うぅ、え!?ここは!?」

「勇者様がお目覚めになったぞ!召喚は成功だ!」


ここは、どこなんだ!?全く知らない場所だし、見たところ、宮殿?何かとても偉そうな人が何人もいるし、しかも僕を勇者って、とりあえず聞いてみよう。


「あの、ここってどこなのでしょうか?僕さっきまで友達と帰っていたはずなんですけど、」

「このような乱暴な手段でお呼びしてしまい申し訳ございません、ですが時は一刻を争うのです!どうか、どうか!我らにお力をお貸しください!」

「えっと、」


きゅ、急に何か頼まれちゃった、困っているみたいだけどどうしたんだろう、そんな時、玉座?に座っていた人が立ち上がって、僕の所へやってきた、ひょっとして王様だろうか、他の偉い人とは何か違う気がする。


「馬鹿者!勇者殿が困っておるではないか!!申し訳ない勇者殿、まずは名を名乗らせて頂きたい、我が名はレディネス=レーヴェ、レーヴェ王国、第49代目国王である。」


やっぱり王様だった、けど、ならなおさらそんな偉い人が、僕に何の用があるのだろうか、


「?そんなえらい方がどうして僕を、?」


「我がレーヴェ王国はこのロッドバーン大陸の中で1、2を争う大国であるのだが、今現在この国は崩壊の危機にある、そこで勇者殿の御力をお借りしたいのだ、」


ロッドバーン大陸、聞いたことも無い、やっぱり地球とは違うのか、そして王様が言うにはこの国はかなり大きな国らしいけど、


「そ、そんなに大きな国がなぜ崩壊の危機に?」

「我が国だけでなく、人類の危機と言っても過言ではないだろう、何故なら太古の勇者が魔王を打ち滅ぼした事により壊滅状態に陥った魔族が再起する様子を見せているのだ、まず、魔王の跡継ぎを自称するものが新たなる魔王軍を率い始めている。」


魔王、楓からアニメとかで聞いて少しは知っている、それに僕のことを勇者って言っていた、僕にしか出来ないことがあるのだろうか、取り敢えずは話を聞いてみよう。


「魔王の子供が魔王軍を継いだということですか?」

「そもそも魔王に子供がいるのかすら分からんが、若い魔族だという話がある、子供という線もあるだろう、だが、最も危惧すべきことがある!それは、魔王の復活だ!」


楓がよく見てた漫画でも魔王が復活する物はいくつかあった、そのために僕が召喚されたのかな、でも何で...


「魔王の復活があることは何故分かっているのですか?」

「我が国には人類最高の預言者がいてな、その者が魔王が復活する未来を見たと言い、それを我々に伝えた瞬間、その者は血を吐いて死んでしまった。それを見てこれはただ事ではないと判断した、あやつの占いの精度は100%に近いものであったことに加え、魔王の復活を予知した瞬間死ぬなど、魔王の復活を何者かが隠ぺいしようとしている証拠にすぎぬからな。」


預言者か、なるほど、それで人類が危機に瀕しているのは分かる、けど、


「それで、なぜ僕がここに呼び出されたのでしょうか?先ほど僕のことを勇者とおっしゃっていましたが、」

「太古の魔王が復活するとあらばそれに対抗出来るのは勇者しかおらぬのだ、しかも勇者と言ってもこの世界にも選ばれし勇者はいるのだが、太古の魔王を倒せる可能性があるのは太古の勇者と同じ、異世界の、光の加護を受けた神聖勇者のみ、そこで我々は光に選ばれし異世界の勇者殿を召喚させていただいたのだ、」

「僕が、魔王を倒した勇者と同じ、?」


そんなたいそうな肩書が本当に僕で合っているのだろうか、?そう不安になっていると王様は僕の前で膝をついた。


「お、王様!?」


『陛下!?おやめください!レーヴェの王がそう膝をついては!』

『黙れ!こちらの都合により無理やり召喚をし、あまつさえこちらの願いを聞いていただこうというときにその様なプライドで膝すらつけれぬのはもはや、王にあらず!!』


周りの人たちが言っていることは正しい。大きな国の王様が異世界からやってきた僕に膝をつくなんてそれは王様の権威に傷がつく、けど王様はそんな事おかまいなしに膝をつき更に立ち上がり頭を下げた。


「勇者殿!誠に勝手ながら、我が国のため、民のため、人類のため!どうか我らに力を貸してはいただけぬか!こちらができる待遇は何であろうとさせていただく!貴殿には何も関係のないことであることは承知している!だが、だが、もう我らには光の勇者である貴殿に、貴殿に頼るしかないのだ、」


「――」


一国の王様がこんなに誠意を見せるなんて、魔王はそれ程危ない存在なのか、そんなことを考えつつ呆然としていると一番王様の近くにいた少し高齢の人が話しかけてきた。


「レーヴェ王国宰相のロンネルと申します、勇者様、何故我が国が魔族にこれ程危機感を感じているのか気になっておられるかと思います。」

「は、はい正直気になります、それにほかに勇者がいるのなら僕がいなくても何とかなるのではないかとも、」


正直魔王がいたときを知らない今の時代の人々がなぜ魔王復活にここまでおびえているのか、少し分かるらない。そう聞くとロンネルさんは悲しそうな顔をして語りだした。

「――今から二年程前、丁度この国の建国際をこの王都で開いているときでした、皆が建国際を楽しみ、盛り上がりが最高潮に達したときでした。魔王軍幹部を名乗る者が突然たった一人で我が国に襲撃してきました。勿論、我が国も精鋭部隊に加え、その場にいた水の勇者を向かわせました、ですが、、結果は惨敗、部隊は壊滅、水の勇者も奴に重傷を負わせたものの、奮闘むなしく、、くっ!!!」

「そんな、、」


魔王どころか、幹部ですらそんな膨大な力があるなんて、、僕が絶望していると王様が涙を流しながら当時を語った。


「その者の襲撃により我が国の民が多く死に、家や様々な施設は破壊され、挙句の果てには我が愛娘をも、!!あの娘は民や国のことを思いやる優しい心と聡明な知恵を持つ我には勿体ない出来すぎた娘であった、王として私情を持ち込んではならぬことは100も承知!!だが、離れぬのだ、あの娘の叫び声が、自分が命の危機だというのにあの娘は最後まで民や家臣に逃げるように叫んでいた、そんなあの娘を!!あの娘を!!!」


「王様、」


そう語る王様の顔は苦痛に歪み目に涙を浮かべていた、それは国を脅かす敵に対する怒りと愛するものを失った父親としての悲しみに満ちていた。


「勇者殿!!このような悲劇をもう二度と起こさぬようにどうか力を貸してはくれまいか!、どうか、どうか!」


王様は僕に何度も頭を下げる、正直、この事は僕にとっては関係はないしそれに、それ程の脅威を止められる力があるなんて分からない、けど!!


「王様、頭を上げてください」

「ゆ、勇者殿、?」

「僕が皆さんのお力になれるのかは正直分かりません。ですが、僕に皆さんを助けられる力がある可能性があるのなら!!このままのこのこ元の世界に帰るだなんて、僕は自分を許せない!!」

『勇者様っ!!!』


この人たちは見知らぬ僕に頼るほど追い詰められているんだ、しかも王様までもが僕に頭を下げて、なのに僕が彼らを救える可能性が少しでもあるのに彼らを見捨てるだなんて、!!そんなこと、僕には出来ない!


「まことに感謝する、勇者殿、!!」

「僕にできることがあれば全力を尽くします!!」










「い、――おい、起きろ魔人、起きろ!!」

「んあっ!?」


いきなりなんだよ、、は!?ここどこ!?しかもなんかいるし。見た感じは結構な美少女だが、


「やっと起きたな魔人」


誰が魔人じゃぼけ、てかこいつっ!!


「つ、角生えてる!?」

「当然だ、私は魔族だからな。」


魔族って、アニメでよく見るやつじゃん!!おいおい、マジで異世界召喚されたんかよ、光のやつあとでしばく、、、!?あれ?今魔族って言った!?


「え、魔族って、冗談だよな、?」

「そんな冗談言うわけがないだろう、私は魔王の妹にして現魔族の頂点、

ベルディ、お前を召喚した者だ」


え、召喚って普通勇者として人類を救うためとかじゃないの!?滅ぼす側に召喚されてどうすんだよ!!てか光は!?あいつも召喚されたはず、、ま、まさか、


「な、なあ、俺以外にもう一人召喚されてるはずなんだが、知らないか?」

「何?私が召喚したのはお前だけだ、可能性があるとすれば、人間どもに勇者として召喚されたか、だとしたらまずいことになった、光の勇者か、、」


はい、終わった!!!俺あいつの敵側に召喚されてるやん、てか!!


「そもそも魔族のお前が何で人間の俺を召喚してるんだよ!!」

「いや厳密にいうとお前は人間ではなく魔人だ、」


「え、俺人外だったの??自分でもいうのもなんだけど俺平凡を極めたただのモブなんだけど」

「モ、モブとは何だ?いやそれよりも、お前が魔人であることに対する説明をしよう」

「色々聞きてえことはあるけどとりあえずはそれを教えてくれ」


魔人、俺が今まで見てきたアニメにも勇者召喚はあれど魔人召喚なんてのは無かった、まずはそこからだ。


「まず、異世界から人間を召喚すること自体には前例がある。約300年前に異世界の光の勇者、通称神聖勇者が我が兄である魔王を倒している、だが我が兄は禁術で自らの魂を転移させ、何とか滅びずに済んでいる。」


いや300年前って、やっぱ魔族って長生きなのか、というか


「それと俺が魔人であることに何の関係があるんだ?」

「そもそも、この世界における魔王と神聖勇者の因果関係は強い、勇者自体はこの世界にもいるが異世界の光に選ばれし神聖勇者が現れるときまた、魔王の復活が意味するのだ、お前、勇者の人間が召喚されたことを知っていたようだな、つまりそれと同時に私に召喚されたお前は、、」


う、嘘だろ、


「――魔王復活のカギになる、」

「さらに言えば、お前の魂には我が兄、魔王シュトラーフェの魂が混じっている、」


、、、は!!!???


「は!?俺の魂に魔王のがへばりついてるってこと!?」

「その言い方はやめろ、まあ端的に言えばそうだ。魔王の魂の器、それを魔人という、だが、禁術の影響で体の主導権はお前にある。だが、お前が我が兄の力に耐えられる器なのは事実、よってお前の中の兄を私の力で目覚めさせる、それがお前を呼び寄せた目的だ」

「、、、んなの、、、嫌に決まってんだろ!!」

「拒否権はない」

「はい、詰んだ!」


拝啓朝霧光様へ、あなたは今頃勇者として召喚され多くの祝福を受けているのでしょうか?私は今、魔王の器として人生が終わりかけています。


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