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#2「かわいいね」

 全校生徒が体育館に集まり、始業式が始まった。

始業式と言っても、特別おもしろいことはない。ただ座ってるだけだ。

「早く終わらないかな〜」など思っているうちに、校長先生の話が終わり、新しい先生や、新しい担任の先生の発表などが行われ、始業式は終わった。


「それでは、呼ばれたクラスから列になって教室に戻ってください」

生徒会の指示に従い、二年一組から順に教室に戻る。


「三年一組、起立」

クラスと一緒に起立と言われ、退場する。


「あぁぁぁ、疲れたぁ、やっぱり話聞くだけは疲れるなぁ……」

ほぼずっと体操座りは、かなり負担でとても疲れる。


教室に戻り、八雲は席についた。先生が戻ってくるまでの間は自由時間だ。


「今年も担任、川棚先生だったな〜」

これで八雲のクラス担任は三年間、川棚だ。


「これは何かの呪いか?まぁ、知らない先生よりも全然マシだけどぉ〜」

知らない先生がクラス担任になるよりも、ずっと同じ先生が担任のほうが気持ち的には楽だ。


「あ、そうだ。銀髪の子」

銀髪の子を目で探した。


「あ、いた」

銀髪の子は机に座っていた。


八雲はシャーペンと使わなくなった紙を取り出し、それを持って銀髪の子の下へ行く。


「ねえ、君」

後ろから銀髪の子の右手側にしゃがんで顔を覗いた。


「わぁっ!?」

いきなり顔を覗き込まれ驚く銀髪の子。


「あ、ごめんごめん、驚かせるつもりはなかったんだ」

八雲が空いてる前席の椅子に座る。


「ねえ、名前なんていうの?私は『指宿 八雲』、あ、字はこう書くんだよ〜」

自分の名前を紙に書く。


「結構、普通の字でしょ?」

ニコニコとして相手が喋るのを待つ。


「……わ、私は、『宇奈月 雪月(ウナヅキ ユキ)』っていいます、字は、こう書きます、」

いきなり話しかけられたからか、緊張している。少し震える手で名前を紙に書く。


「へぇ〜宇奈月、珍しい名字だね!」


「指宿さんも、かなり珍しいんじゃない…?」

雪月の言う通りだ。


「え?あぁ、確かに」

案外、自覚がなかった八雲。


「あ、私の事は名前で呼んでくれて大丈夫だよ」


「じゃぁ、八雲……さん、」


「呼び捨てでいいよ」


「あ、や、、八雲……」


「なぁに?」

名前を呼んだ雪月に対して少し意地悪する。


「え!?い、いや、だって八雲が呼べって…」


「あはは、冗談だよ」

慌てる雪月を見て笑う。


「雪月ちゃんのそういうとこ、かわいいね」

八雲の本心を雪月に伝える。


「えっ、いや、別に……」

少し恥ずかしがる雪月。


「あ、あと私も呼び捨てで、いいよ」


「そう?じゃぁ雪月」


「な、なに?」

先ほど八雲にやられた雪月がやり返す。


「かわいいね」

ほんの少し頬を赤らめながら言う八雲。


「ッ!?」

頬を赤らめる雪月。


「は〜い、そんじゃみんな席ついて、」

川棚が教室に戻ってきた。


「そ、そんなに嘘、言われても……」

目を右下に逸らしながら言う。


「へへ、嘘じゃないよ♪」

頬を赤くしながらも八雲はそう言って、自分の席に戻っていった。


「……なんなの、八雲って子、」

雪月は今にも蒸発しそうなくらい、顔を赤くしていた。


「あぁ、雪月って子はかわいいな」

八雲は雪月のかわいいとこを見れて満足している。


「あ、連絡先聞くの忘れた」

せっかく話しかけたのに、重要なことを聞き忘れた八雲だった。

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