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#1「銀髪の子、発見」

  眠たげな顔を冷たい水で洗い、目を覚ます。

身長、百五十八センチ、青髪でちょっぴり長めのショートヘア。

洗面台の鏡を見ながら、クロスしたヘアピンを付けた。

しっかり朝ご飯を食べて、スマホで天気予報を確認する。


「晴天であります!」

今日一日中、雲一つない晴れのようだ。


玄関へ向かい靴を履く。


名前は「指宿 八雲(イブスキ ヤクモ)」。


「行ってきます!」

元気よく家を出た。学校までは徒歩十分程度。

今日は中学校の始業式、中学校生活も最後の三年目だ。


「クラス、どうなってるかな〜」

新学期といえばクラス替え、八雲はクラスがどうなるのかが気になっている。


約十分後……


「学校ついたけど、確か最初は去年の教室集合なんだよね」

新しいクラス発表は朝の会で行われる。そのため、昨年度まで八雲がいた教室、「二年二組」に向かう。


「おはよう!若葉!」


「おはよう、イブちゃん」

身長、百六十センチ、茶髪で髪の長いこの子は、八雲の中学校入学して出会った友だち、「草津川 若葉(クサツガワ ワカバ)」だ。

「イブちゃん」というのは八雲のあだ名。


「ねぇ若葉、クラスどうなると思う?」


「そうね〜、イブちゃんとは離れたくないなぁ……」


「私もだよぉ〜」


「でもうちの学校は二クラスしかないけどね」

八雲たちの通う学校はクラスが「一組」と「二組」しかない。

つまり、離れるか離れないかは半々の確率なのだ。


「そうだけどさぁ〜」


「あ、ほら早く席つかないと先生来ちゃうよ」

黒板の上に置かれた時計を見ると、もうすぐ八時半になる。


「あれぇ?結構余裕持って来た気がするんだけどなぁ……」


「イブちゃんいつもそれ言ってるじゃん」

若葉が笑いながら言う。


「え、そうだっけ?」


「ほら、早くしないと来ちゃうよ」

もう一度、若葉に言われ八雲は急いで席についた。


「あ〜い、みんな席ついてぇ……それでは、朝の会を始める。日直」

八雲が席についてからすぐに昨年度、担任だった先生がやってきた。

名字は「川棚(カワタナ)」。


「起立、礼」

先生の合図で日直が挨拶を始める。


『おはようございます』

日直の礼と共に、クラス全員が挨拶をして礼をする。


「着席」

全員が顔を上げたところで着席。


「えーと、それでは、新しいクラスを発表します」


「きたぁぁぁ!」「よっしゃぁぁぁ!!」などと一部クラスの子たちが騒いでいる。


「はい、静かに。出席番号一番から順に、発表する」

八雲の出席番号は五番だ。


「青木、三年二組」

川棚先生が一番の子から次々に発表していく。


「赤山、三年一組」「秋山、三年二組」「飯田、三年二組」


次が八雲の番。


「指宿、三年一組」

八雲は三年一組だ。あとは若葉が何組か次第だ。

若葉は十六番だ。


「釜瀬、三年二組」

ついに次が若葉だ。


「草津川、三年二組」

残念ながら、若葉とは別クラスになってしまった。


「えー、以上三十名、呼ばれなかったやつはいるか?」

川棚先生が全員のクラスを読み終えた。


「何も言わないってことは大丈夫そうだな、んじゃ、解散」

川棚先生の「解散」と共に、皆各自のクラスに移動する。


「クラス離れちゃったね…」


「だねぇ……残念だよぉ」

八雲と若葉は話ながら新しいクラスに向かっていた。

廊下には移動している生徒たちがいる。二クラス含め六十名ほど。


すると前方に一人の銀髪の子が、生徒たちの中に見え隠れするよう見えた。

二年間、八雲は目にすることのなかった子だ。転校生だろうか。


「ねえ見て若葉、銀髪の子がいる」


「え?あ、本当だ。でもあんな子いたかしら?」

若葉も銀髪の子を知らないようだ。一年生の頃から居たとするなら、別クラスでも銀髪なら目立つため噂にもなる。


「あ、見えなくなっちゃった」

そして、完全に生徒たちの中に埋もれてしまった。


「すごい綺麗な銀色だったね、同じ三年生かな?」


「ここにいるってことはそうなのかも」

今、八雲たちが歩いてる廊下には三年生しかいない。だからあの銀髪の子も恐らく同い年だろう。


「それじゃあまたね、イブちゃん」


「はいはい〜じゃね〜」

三年二組の教室前で若葉と別れ、八雲は三年一組に向かう。


「ラスト一年、お世話になる教室はここですかっと」

八雲は新しい席につき、最後の一年お世話になる教室を目でぐるりと見ていた。


「!」

黒板側のドアから二列目、前から四番目の席に、銀色の髪が見えた。


「銀髪の子いるじゃん、なんかラッキー」

廊下で見た、あの銀髪の子だろう、同じクラスなのは運命と言っていいんじゃないかと八雲は思っていた。


「後で話しかけてみようかな」

八雲はあまり人見知りではない。気になる子には話しかけるタイプだ。


「三年一組〜体育館行くから廊下並んで〜」

川棚が始業式を行う体育館へ、行くよう指示する。


「あぁ〜、始業式めんどくさぁ〜」

思いながら八雲は廊下に出た。



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