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男魔法使いの独白と2度目の誕生

作者: まい

 とある神みたいな力を持つ魔法使いの、人生が変わる日の前日の話。

 三十路(みそじ)になっても童貞だと、魔法使いになれる。


 このネタの元ネタと思われるものを知っている。


 正確には、ネット掲示板の片隅でバカな妄想ネタとしてひっそり笑い話になっていたものに形を与えたモノだが。


 エ□ガキだった頃に、兄がこっそり買ってきてたエ□ゲー雑誌の中の1冊に載っていた。


 10代で四十路(よそじ)童貞のオッサンがすごい魔法を使っているのを見た少年が、魔法使いに憧れて自分も魔法使いになろうと決心したが、三十路手前にして新しい魔法使いに誕生されたら困る各組織からハニトラ要員を複数送られるエ□コメゲー。


 童貞でいる期間は魔法の強さと比例しており、五十路(いそじ)童貞なんかは神(ほど)ではないにしろ、そう呼ばれかねない強力無比な魔法が使えるようになると言う。


 ネットではそれを知らずに平気で魔法使い魔法使いと言う連中が跋扈(ばっこ)している。


 それで女性に縁が無い俺も魔法使いになり、四十路になり五十路になり、これで六十路(むそじ)になったらどうなるか試すのを覚悟し、童貞を守りきってみせた。





 六十路になった日の晩。


 魔法使いになってからこっち、その魔法を使って様々な金儲けをしてきた。


 表向きには魔法の存在を否定して、特別な人脈や技術でと主張して、魔法を使った。


 もちろん法や治安に気をつかって、悪いと思う魔法は使ってこなかった。


 その範囲内であろうと、やはり今の技術ではどうにもならない部分をカバーする様な企業秘密と言う名の魔法は、重宝された。


 それで築いた財は、相当な(がく)となる。



 懐具合を気にせず、気ままな独身魔法貴族を気取りつつ晩酌をしながら、ぼんやりとものを思う。


「覚悟はしていたが、女の子の(いる)人生も良かったかも知れん」


 独り身が長くて、ついつい独り言が()れてしまう。


 独身の生活では、どうしても人恋しく思う日がくる。 きてしまう。


「街で恋人同士や夫婦が並んでいる様子は、独り身には毒だ」


 酒を一息(ひといき)(あお)る。


「魔法を使える状態のまま、また人生をやり直して今度は誰かと……などと思いたくもなる」


 酒気(しゅき)がたんまり(こも)った溜息(ためいき)を、盛大に吐く。


「恋人が欲しいなぁ。 でもそれを()って独身を貫いた俺では、それも上手くいかないか。

 ならいっそ俺が女の子になって、世の中の事を何も気にせず考えず、青春を味わい直すのも面白いかもな」


 しばし無言て残った酒を手酌(てじゃく)し、ビンをフリフリして開け終わったのを確認する。


「女の子になれー!…………ってな。 いや、馬鹿な考えはヤメヤメ。 また明日も仕事だ。 おやすみ」


 酔った勢いでふざけて、いつも魔法を使う時みたいに力を込めてから「何をやっているんだ」とばかりに頭が冷え、(かぶり)もフリフリする。


 それだけで何となくアルコールが抜けた気がするので、完全に抜けては勿体(もったい)ないとばかりに寝室へ急ぐ。



 翌朝。


 昨日の酒の場でのおふざけがおふざけで済まなかったらしく、俺は(とお)になるかならないかの幼い女の子になっていた。


 こんな可愛い娘が欲しかったなぁと考えてしまった姿に。



 慌てて元の六十路の俺の姿に戻ろうとしたが、自分の姿に興味が無かった為にハッキリ思い出せず、戻れなかった。


 どうしよう……。




〜〜〜〜〜〜




 魔法六十路少女の誕生。


 実際は本文ラスト近辺で既に女の子になってましたが、酔っていて全然気が付いてません。


 なお寿命は少女の肉体に準拠したようで、実質伸びた模様。

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