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Life 57 The purchase I was excited about was PS5. PS5買っちゃったよ。

「もう、オトーサン。そんなにがっついたって、なにも出ないよ。」

「いやいや、君がそういう時は、なにか出る時だから。」


「なに、そんな勘違いさせるような会話。」

あ、勘違いしてくれるんだ。こんなセリフ。


「とか言って、おねえちゃんもモンハンは分かるでしょ。素材剥ぎ取ってるんだよ。」

「あはははは。知ってて言ってるに決まってるじゃない。しかし、仲良くゲームやってる親子ねぇ。」

「あなたもやってみない?意外と面白いよ。」

「うん、ぷよぷよとか、テトリスとかならやってもいいけど。」

「う~ん、あんまり、僕らがやらないゲームだな。」


「あ、そう言えば、明日、PS5だよ。買いに行くんだよ。」

「うん、分かった。まぁ、並ばなくてもいいから、いつもの時間でいいよね。」

「大丈夫。多分買えるよ。」

しかし、PS5を買ったところで、基本プレイ無料のゲームばっかりやるんじゃ、あんまり意味がない気がする。

とはいえ、自作でゲーミングPCを作るとしても、予算があるわけでもないし。ある意味理に適ってるのか。

そうだなぁ、グランツーリスモ7はやりたいけど、この娘のゲーム機だし、多分病気が悪化してしまうだろうから、やっぱり主導権は娘が握るべきだな。


「あなた。」

「大丈夫だよ。さすがにあの娘の前で、弱ってるところ見せられないでしょ。それに、もう2日経ってるし、そこまで問題ないよ。」

「そう...。無理しないでよ。無理そうなら、マメに休憩してね。」

「そうか、休憩ってのはいい方法だね。秋葉原で2回ぐらい喫茶店に入ろうかな。」

「あ、じゃあ、私も行こう。そうすれば、あなたも無理出来ないでしょ?」

「ま、確かにそうかな。面白くないかもしれないけど、一緒に行こう。」

「秋葉原のヨドバシかぁ。私も色々見てこようかな。電動歯ブラシとか、シャワーヘッドとか。」

「なんやかんやで一応日本では一二を争う家電量販店だからね。多分、売ってるんじゃない。」


ちなみに、僕もガンプラが欲しかったけど、う~ん、再販されてれば、エアリアルとかV2ガンダムとか売ってるんだろうけど、どうだろうなぁ。



翌日

「さ、オトーサン。善は急げだよ。早く買いに行こう?」

...9時。まぁ、起きてもいい時間だけど、秋葉原のヨドバシだってまだやってない時間だよなぁ。あ、まあ、移動すればちょうどいい時間になるのか。

「ごめん、ちょっと起きられないから、モンハンでもやってて。」

「なんでよ。買いに行くって言ったじゃん。ねえねえ。」

体を揺らしてくる娘。こういうところが娘なんだよなぁ。この娘がまだ可愛いところだ。

「あ、うん。ごめん。ちょっとぼーっとしてるから、もう少し寝かせておいて。」

「ううん、何、朝からうるさいわね。」

彼女が起きたらしい。お、珍しくご機嫌ななめな起床ですね。

「おねえちゃんも、オトーサン起こしてよ。早く買いに行こうって。」

「別になくなるわけじゃないんだから、もう一寝入りしてからで十分よ。まったく。」

強い。寝起きの悪い奥様には逆らったら、その日は口をきいてくれないだろう。

「...分かった。12時になったら行くからね。目覚ましかけたから、起きてよね。」

「うん、んじゃ、おやすみ。」

「はい、じゃ、あなたと二人でお昼まで仲良く寝ましょ。」

「んんんん、イチャイチャを見せつけて。どこか親なんだよ。まったく。」



12時。さすがに起きることにした。

どうせヨドバシなんて、ぶっちゃけゆっくり見たって半日もいらない。さらに言えば、今日はゲームフロア行って、あとはシャワーヘッドと電動歯ブラシを買って、レストラン街で夕飯でも食べればそれで十分。ざっと見た感じPS5のSSD交換は1時間もかからないだろう。


あれ、そう言えば、

「SSD届いてた?」

「うん、宅配ボックスに入ってたよ。」

ま、2TBも安くなったもんだよな。2TBで1万ってどうかしてると、64GBで3万した時代の人が言ってみようかな。



電車の中で、どう移動するかを確認しておく。

「で、どうするの?一目散にPS5を確保しに行くの?」

「私はそうするけど、二人は?」

「私、電動歯ブラシをちょっと見たいんだけど。」

「それじゃあ、僕が一緒に行くよ。え~と、3階だったかな。僕も替えブラシ買おうかな。」

「じゃあ、とりあえず私は6階でPS5とソフトを吟味してるから、終わったら上がってきて。」

「了解。ゆっくりと見てるから、あんまり焦って色々やらかさないようにするんだよ。」

「子供じゃないから大丈夫です。箱を抱えて待つぐらい出来るもん。」

ま、でも時間的余裕はあまりなさそうだけど、読めないのは奥様の電動歯ブラシ選びだよなぁ。

「ん?」

彼女が考えてる僕に気づいたみたい。

「まさか、そんなに高いものは買わないよ。でも、迷っちゃうかもね。」

そもそもに電動歯ブラシって何を基準に選ぶんだろうか。僕みたいに小型歯ブラシが使える電動歯ブラシで安いパナソニック製のやつを使ってるけど、そういうのでもいいのかな?

「いや、なんというか、歯ブラシの選ぶ基準みたいなものが分からなくて。」

「うーん、硬めとか柔らかめとか?」

「それはブラシだから、別にどうとでもアタッチメント交換出来ると思うんだよね。」

「言われてみると、あとは音波とか?」

「「う~ん」」

「何二人でうんうん唸ってるの?もう着くよ。」


秋葉原。今日は曇りだから、寒くはないけど、いい陽気ではある。これが、もうすぐ夏になっちゃうんだもんな。


「それじゃ、私はゲーム売り場に行ってくるよ。」

「うん、何度も言うけど、落ち着いてね。別にPS5は逃げないからね。」

「分かってる。それじゃ、行ってきます。」


「元気よねぇ。あなたよりあの娘のほうが、ゲーム好きでしょ?」

「そりゃね。PS4とコントローラー買ってきて、フォールガイズをやろうなんて娘だから、ゲーム大好きなんでしょ。」

「私もあんな感じの道があったのかな。でも、それじゃオタク女子?」

「いや、モンハンやらポケモンやらのおかげで、女性もゲーム市民権を得てるから、おかしなことはないんじゃない。あ、乙女ゲーはちょっと引くけど。」

「乙女ゲー?」

「ああ、知らなければ別にいいです。でも、乙女ロードのことを知ってて、乙女ゲーが分からんって、どういうことなの?」

「う~ん、単に、池袋に詳しいから?」

「...納得した。もう、それでいいよ。僕たちも3階に行こう。」


ヨドバシアキバのエスカレーターってよくもあんなに両方向に付いてるもんだなっていつも思う。

降りてくると、場所が真逆になったりするから、結構ややこしいんだよな。慣れれば分かるけど。


「3階。普段降りないから良く分からないけど、時計とかだっけか。」

「カメラもあるみたいね。あ、理美容品。たぶんここで合ってるよ。」

そうやって、フロアマップをみて、早速電動歯ブラシのコーナーに行く。


「さてと、早速だけど、分からないね。」

「値段の差とかは何なのかしらね。」

そうすると、店員さんが近づいてくる。

「電動歯ブラシを検討ですか?」

「あ、彼女が検討してるんですけど、何がなんだか。」

「そういうことでしたら、奥様のお話を聞きながら、最適なものを選んで行きましょう。」

「お願いしますね。」


それから、駆動方式の違い、持ちやすさ、ブラシの豊富さなんかが選び方のポイントだと教わった。

モーターが入ってるから単に回転、振動してるわけではなく、音波式だからと言っても、歯垢が完全にきれいになるわけでもないらしい。

結局、僕が使ってるという理由もあり、パナソニックの1万円ぐらいのにした。

しかし、USB充電もそうだけど、今は磨き方をBluetoothで判定するような歯ブラシまであるのね。聞いてて、無駄なIoT技術だなと思ったり。


「買っちった。」

「意外にそういうところ、度胸あるよね。1万の歯ブラシとか普通はちょっと手を出しづらい。」

「でも、手磨きよりは良くなると思うのよね。私もおばさんだし、楽出来るところは楽しようってね。」

「そう。ま、分からないでもないしね。僕も使ってるし。」

「そうそう。1日2回も使うんだし、そこぐらい手抜きして生きなきゃダメよ。」

「ま、確かにね。歳を取っても自分の歯でご飯ぐらい食べられるようにしたいかな。」

「そうよ。これからも、いっぱい美味しいものを食べていきましょ。」


さて、時刻は14時。まだまだ昼ごはんでもいい時間だな。

「上に行って、困ったゲーム狂と合流しようか。」

「娘なのに、言い方ひどいね。」

当たり前だよ。朝9時に自分の買い物でもないのに、無駄に起こされてるんだから。

「とはいえ、じっとしてるような娘じゃないからなぁ。」

「上手く行けば、プラモデル買ってきてくれるって?」

「いやぁ、ないない。そんなことあるわけないじゃん。」

と、エスカレーターで6階に着いた。ま、ゲーム売り場でゲームでも見てるんだろう。


「あ、ようやく来た。遅いよ。オトーサン。」

手にはPS5っぽい大きい袋を持っていた。買えなかったら恨まれそうだしな。

「買えたんだね。良かったじゃない。」

「うんうん、コントローラーも2つ買ったから、3人でやろう。」

「あら、私の分も買ってくれたんだ。」

「おねえちゃんもフォールガイズやるでしょ?」

「え~と、ぷよテトは?」

「...ぷよテトはオンラインで僕が買ってあげるよ。」

「ありがとう。あなた。そういうとこ好き。」

「う~ん。」

娘がなんか疑問に思ってるらしい。

「どうしたの?」

「いや、やっぱりあの一週間で、なにかあったでしょ?」

「そう思う?」

「思うよ。だって、二人ともなんか変わった感じするもん。」

「う~ん、変わったといえば変わったけど、ちょっと気持ちが若返った感じかな。」

娘の後ろから肩に手をおく彼女。そして、

「あんまりあなたの心配ばかりしてたから、ちょっと色仕掛けしてあげたの。」

振り向いた娘。

「なにそれ。仲良くなるのはいいけど、私抜き?」

「そういうことじゃないから心配しなくて大丈夫。ね。」

まあ、色々他人には話をするのがはばかられるようなことを半分以上してましたとは、娘には言えないよね。

「おねえちゃんがそういうなら、しょうがない。」

そして僕に敵意を向けてくる娘。珍しく強い敵意だな。

「オトーサンもニコニコして微笑ましく見てるんじゃないの。もう。」

「はいはい、ごめんね。ま、ちょっと説明は必要かもしれないけど、お昼でも食べよう。」

「じゃあ、上で、なにか奢ってくれたら許してあげる。」

「え、僕?」

「私が奢ってあげるわよ。そもそも、あなたは出す気ないでしょ?」

「あ、バレてたか。」

娘の機嫌がジェットコースターのように変わっていく。でも、これが僕の好きな娘のあるべき姿だ。


「いつものこと、言っていい?」

レストランフロア。まあ、言いたいことはもう分かってる。

「とんかつでしょ。和幸でいい?」

「さすがおねえちゃん。話が早いね。」

「だって、あなたの好物ぐらい、いい加減分かるかな。」

「オトーサンは?」

「うん、別にいいけど。」

「あら、どうしたの?揚げ物がイヤ?」

「そりゃ、おっさんだからさ。後を考えるとね。」

「それは私も一緒。この娘が食べたいものを食べさせてあげたいかな。」

「そうそう、食べてから考えよう。オトーサン。」


二人は平気でロースカツ御飯とかを頼んでるんだよなぁ。

僕は無理。ひれかつ鍋御飯にした。


「で、早速ですけど、」

「そうだなぁ。私のノロケを聞いてもらっていい?」

「ノロケ?」

「そう。この人、もう一度カッコいいプロポーズしてくれたのよ。」

あ、カッコよかったんだ、気持ちが伝わってるって嬉しいね。

「ま、カッコいいプロポーズぐらいしてあげてもいいよね。ファミレスのアレで結婚しちゃうおねえちゃんを疑うもん。」

「あれはあれで、不器用で真剣だったから、なかなか感動したわよ。」

う~ん、恥ずかしいな。

「そのプロポーズってどんなのだったの?」

「それは秘密。だけど、あなたのこともずっと話してたし、その上でのプロポーズだったから、すごく嬉しかったの。」

娘が僕にコメントを欲しそうな顔してるな。

「うん、君の未来のことも考えてたんだ。そのうえで、僕と一緒にいて欲しいってね。」

「やだ~。この娘にそんなこと言っちゃうなんて。なんか恥ずかしいかな。」

「は~~~。なるほど。私がいない間に、色々話してくれてたんだね。この雰囲気は、なんかラブコメの波動を感じる。」

「ラブコメかぁ。僕からしたら、生きてて毎日ラブコメな気がするけどね。」

「コメディの部分がどこにあるのよ?あ、もしかして私達の生活ってコメディなの?」

「そうじゃないって。僕の勘違い。ね。」

「でも、コメディって言葉は、いい言葉よね。喜劇って意味があるのよね。」

「毎日喜劇を演じてる。まあ、演じてる気はないけど、それが僕らにとって喜劇なのかもね。」

「そういう意味で、あなたのラブコメっていうのは、的を得た答えかもしれないかな。」

「ふ~ん、難しい話してるけど、毎日幸せなら、私達の生活じゃん。」

「そうね。毎日笑いあって生きられるのが、本当のラブコメなのかもね。こんなところで許して欲しいかな。」

「なんか上手くはぐらかされた気がするけど、そういうことなら、楽しく生きていこう。」

強引にまとめてくれた奥様のおかげかな。ま、娘が納得行くなら、それが正解だ。


でさ、誰に話してるのか僕もわからないんだけど。

なんでこの人たちはさも当然のようにロースカツ御飯を完食できちゃうかな。僕、結構辛かったんだけど。

娘はいいよ。でも、ウチの奥様。どうしたらこれを食べて、特に体型に変化ないわけ?なんか特殊体質なんだろうか?


「は~。ごちそうさまでした。」

「オトーサン、大丈夫?」

「うん。まあ、もう量より質の年齢になってきたんだなって思うよ。」

「おねえちゃんは平気なのにね。」

「私は、ほら、知らないと思うけど、体型維持に結構必死だから。」

「あ、やっぱりそうなんだ。」

「あったりまえでしょ。私だってもうおばさんなのよ。お酒の分だけ、カロリーを減らす努力をするわよ。」

「ま、でも、僕ら三人、これが今日の一食目だけどね。」

「言われてみると...あ、私は朝、パン食べたよ。ゲームやりながら。」

「大したもんじゃないでしょ。ま、君は色んなところが成長期だから、あんまり気にしなくてもいいんじゃない。」

「そうやって、またやらしいこと考えてるんでしょ?本当にエッチなんだから。私の父親役なのに。」

「そうは言っても、君の恋人ってのはどこに行ったの?」

「それは時と場合によるでしょ。今はオトーサンなんだから。」


それからは、アトレに寄って東京ミルクチーズ工場でチーズケーキを1ホール。ご褒美らしいけど、そんなに僕との一週間は辛かったのかな?

「ちがうちがう。今日のご褒美よ。わざわざ秋葉原まで出てきて、色々やったご褒美。」

...どういうことなの?そして、また胃に負担のあるものをたべることになるんだなあと覚悟した。



家に帰り、PS5を起動せずに即カバーを外し、2TBのSSDを実装した。この間、30分もかからなかったかな。

起動して、SSDのフォーマットと、いつものオンラインゲームのダウンロード。モンハンとフォールガイズを延々とダウンロード。

「しかし、こうなると、大きいテレビが欲しいよね。」

「あら、このテレビ、YoutubeもPrime Videoも、NetFlixも、Abemaもボタン一つだから、重宝してるわよ。」

「いまのテレビって、多分どんなのでもその辺のボタンは付いてるんじゃない。でも、HDMIが足りないぐらいで、不便ではないんだよね。」

「そうだ、オトーサン。ゲームモニター買おうか。」

「部屋を狭くするようなアイテムを買うのはやめようね。」

「え~、別にいいじゃん。ね、モバイルモニター買うからさ。」

「そういえば、君ってそんなにお金あるの?PS5だってやっとだったのに。」

「...もらっちゃったの。オトーサンの両親に。」

「はぁ?」

「お小遣いと、お手伝いしたから、その代金だって。」

「そう言えば、あっちに行ってた時の話、聞いてなかったけど、どう過ごしてたの?」

「う~ん、大学のオンライン授業がない時以外は、洗濯物畳んだり、おとーさんにアウトレットモール連れて行ってもらったり。」

「そか。で、その代価がPS5?」

「全額じゃないよ。もちろん自腹も30%ぐらいはね。」

「ま、可愛い孫だからしょうがないか、ってなるかよ。おかしいよね?」

「お、ノリツッコミ。」

「どうせアウトレットモール行ってなんか買ってもらったんだろ。まったく。」

「でも、二人がこの娘のこと、可愛くてしょうがないのよね。」

「分かるけどさ。う~ん、なんか腑に落ちないな。」

「珍しいことだったからよ。あなただって、未だにお年玉もらってたじゃない。」

「あれは三人揃ってもらってたじゃない。」

「あ、そうだったっけ。」

「...まあいいや。僕の腹が痛むわけじゃないし、二人が出してくれるなら、それでいいよ。」


ワイワイしている間にフォールガイズがダウンロード出来たので、それからは三人でフォールガイズ。

意外と面白いんだよな。モンハンより操作も楽だしね。



「で、いつまでモンハンやってるのかな君は?」

「え、まだ22時半ですけど。」

「定例会の時間です。お風呂にも入ってないだろ。」

「えへへへ。モンハン面白くって。」

「早く入ってきなさいよ。あ、僕先に入っちゃってごめんね。」

「どうせオトーサンはシャワーでしょ。別にいいよ。」


「ぷよテトは?」

「あ、覚えてたの。そんなにやる?」

「だって、フォールガイズ、操作が追いつかないんだもん。」

「ふむ。んじゃ、ストアから買ってダウンロードしておくよ。今日はプレイ出来ないよ。」

「うん。ありがとね。」

「...今日さ、僕、なんにも見てないんだよね。プラモ欲しかったんだけど。」

「言えばよかったじゃない。プラモ欲しいって。」

さすがに今日はお酒じゃない。マグカップにココアが入っている。

「なんかさ、あの娘が嬉しそうにエスカレーターの前で立ってるのを見てさ。なんか見る気が失せちゃった。」

「早く家に帰ってきたかった?」

「別に、そういうわけじゃないんだよ。でも、君たちが楽しそうにしてたから、もういいかなって。」

「あなたらしいわね。でも、ワガママ言っていい時だったかな。」

「そうかもね。ま、家から30分だし、そんなに気にすることはないよ。」

ココアを一口。そして彼女が続ける。

「あの娘への説明、アレで正しかったかな?」

「逆に説明のしようがないじゃない。僕らだけ、先に行きますって言ってるようなもんだよ。」

「そうよね。あの娘は、私達と同じ時代の人間ではないけど、それを突きつけるのは、やっぱり重いよね。」

「どう思う?僕は、あの娘が好きで僕らと一緒にいるとはいえ、やっぱり娘の時代の人たちと生きて欲しいんだよね。」

「結局、あなたのことも、私のことも好きだから、信頼して一緒に生活してる。今はいいのよね。」

「そう。僕らが本当に見据えなきゃいけないのは、あの娘がここを巣立って行くこと。ま、親としては、想像出来ないんだけどね。

「はぁ。あなたがそんなんだから、結論が出ないのよ。でも、出ないほうが、あの娘には幸せなのか。」

「...うん。今日はこの話は終わりにしよう。どうせ、いつまでも堂々巡りだよ。」

「あなたらしい。でも、明日も幸せに生きるためよね。」

「喜劇だっけ?」

「ラブコメかぁ。私、ラブコメって、こどちゃを思い出しちゃうのよ。」

「原作ね。アレは割とシリアスだと思ったら、そうでもなかったっていう終わり方だったよね。」



「出てきたよー。お、ぷよテト買ったんだ。」

「夜更かししてやるもんじゃないからな。今日はインストールするまで。」

「じゃあ、明日は家でぷよテト大会だ。おねえちゃんも逃げないでよ。」

「あなた達が楽しければいいじゃない。私は見てるだけで。ね。」

「いやいや、ぷよテトリクエストしたの、あなたなんだから。」

今日も取り留めのない一日。でも、僕らには大切な一日。あ、PS5が来た記念日じゃないよ。

毎日を幸せに生きる。それは喜劇。喜ぶのは僕ら自身。そんな喜劇を演じるのも、悪くないと思ってる。




今日はこの辺で

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