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Append Life EX2 Time leaper 世界線の跳躍者

「...えてる?」

う~ん、なんだろう。私に話しかけてくる声が聞こえる。

「聞こえてるよね?」

「は、はい、聞こえてますけど?」

白い空間の中。多分、夢の中だと思う。こんな夢、前にも見た気がする。

「よかった、聞こえてた。」

う~ん、相変わらず、聞き覚えのある声なんだけど、誰だかわからない。

「誰なんですか?」

「僕だよ。分からないかな?」


「...あれ、これ1回やり取りしてる気がする。」


「お、じゃあ、僕も分かるようになったんだ。」

「それは、分からないです。でも、オトーサンに限りなく近い、オトーサンじゃない人なんですよね。」

「...驚いた。理解できるようになったんだ。そう、君の概念と同じく、たった0.001%のブレで変わった、君がオトーサンと呼ぶ人物だ。」

「私が世界をまたいだから、それを手がかりに、あなたが色々な世界を見られるようになったんですよね?」

「なんでそんなこと知ってるの?」

「そういうものじゃないかなって思って。意外と、SF知識あるんですよ。私。」

「いや、君も時空をまたぐモノの資格があるんだなって思った。どおりで、君が別の世界線の自分を見ることができるんだ。」

「ややこしいスキルをまた私に身に着けさせましたね。で、今日はどうしたんですか?」


「いや、解説することなくなっちゃった。」

「は?...いやいや、せっかく出てきたんだし、また私に別の世界線を見せてくれるとかぐらい、できるんじゃないですか?」

「と思ってるよね。だけど、君が勝手に見てること、気づいてないんだろうね。」

「え、私ってそんなこと...いや、待って?」

「あ、覚えあるでしょ。」

「うん、オトーサンと離婚する話。アレ、なんかやけにリアルだったんだけど、もしかしてそれ?」

「おめでとう。これで、君は世界線の超越者になったんだ。」

「...簡単すぎないですか?」

「そう言われてもさ、この世界ではそういう定義だから、しょうがないよ。」

「う~ん、ゆるくない?だってさ、今喋ってる、プレオトーサンも、なんか全てを理解できてないんでしょ。」

「だって、僕もすべての権限を持っているわけではないし、実は僕の上に何人の超越者が存在してるかわからないし。」

「ってことは、誰も、良くわかってない世界ってことなんですか?」

「一応定義として、世界線をまたぐ世界ということになってる。そして、ここで、その存在を自分で自覚した人間は、君が初めてだよ。」

「う~ん、特別なのかな。」

「君が生きている世界線とは別の、君の可能性を前回見せたけど、その可能性は無数に存在していて、つまり、君が時空の穴から放り出される場所も、色々な時代が存在している。」

「例えば?」

「んじゃ、本当はありえないことなんだけど、君の世界線と、シン・ゴジラの世界と結んでみようか?」

ここはどこだろう。あ、バスの中。オトーサンとおねえちゃんがいる。しかし、混んでるなこのバス。

「そもそもシン・ゴジラを見てない気がするけど。」

「う~ん、オトーサンが見てるのを、ちらっと。ウルトラマンのほうがいい話だったよね。」

「そういう論議はさておいて、君がいるのは、ゴジラを凍結させる前に、集団疎開をする場面のワンシーンだ。東京駅を中心として、約50キロが疎開対象となり、隣県へと避難している感じかな。」

「あんまり、リアリティがないね。」

「ゴジラ、見えないもんね。」

「......あんまり考えてなかった?」

「君は主役じゃないだろ?モブなんて、映画の中でのモブでは、事情がわからないままのケースが多いだろうし。」

「あ、じゃあ、今やってるゴジラだったら?」

「残念だけど、このデータベースは、君のオトーサンをベースに作られているから、ゴジラ-1.0はまだ入ってないんだね。」

「そっか。残念。でも、なんとなく今まで見てきた、オトーサンとの結婚生活というのは、他の世界線ではできているんだ。」

「そうなんだよね。ここが例えば重婚できる国での話だったら、君の言うおねえちゃんも妻とできるんだけどね。」

「国の移動はないの?」

「残念だけど、その可能性はあっても、君の大好きな両親は世界線をまたぐことができない。だから、三人揃って同じところに転移するってのは、ないんだよね。」

「そこら辺はさ、異世界転生みたいに三人で転生してさ、なんか幸せに暮らすとか、そういう世界線にならないのかな?」

「異世界が観測されれば、当然そこでも世界線がある。もちろん、そこへ移動する可能性はありうる。でも、僕一人、君一人で観測できる限界なんて、たかが知れてるでしょ。」

「そう言えば、まあ、そうなのか。世界があるとも思えないようなところだから異世界なんだもんね。」

「君さ、なんか、物分りが良くなってるよね。なんで、こんな訳の分からない話に順応してるの?」

「う~ん、オトーサンのおかげかな。オトーサンは、絶対に理屈で物事を理解させるタイプだから、私も少ない情報量で、理解をしようって。」

「驚いたな。彼のギフトをそのまま見様見真似で身につけようとしてるんだ?」

「オトーサンのギフト?」

「そう、彼しか発揮できないし、それも小さなことだけを叶える力。彼だけが一度でも聞いたことある情報に対して、やり方を1度見せてしまうと、どういうわけかうまくできてしまう。あの能力のことだよ。本当は、一人ひとりにギフトは与えられている。だけど、例えば視覚に入る言葉と意味を紐づけさせるとか、一度覚えた味は絶対に忘れないとか、案外ポンコツで、実は人間の脳内でまんま同じ能力を補完していることが多い。君の父親の能力は非常に高度な理解力と想像力、そして蓄えた知識、それらを総動員して物事を行った時、成功してしまう。でも、それが使えるものには上限があって、例えば、君との本格的な出会いだった、ベランダでの昼寝につながる、リサーチャーとしての能力。アレが精一杯。そして初めて発動させたから、その反動で昼寝するような考えになって、君が起こしてくれるようになったわけ。」


「それってさ、もしかしたら、どんな形であれ、私とオトーサンは、お互いがどんな年齢であれ、再会していたってこと?」

「そう。実は、君のおねえちゃんの世界線で、もっと若い頃の彼と結婚して、子供がいる世界がある。みたい?」

「私が見ても大丈夫?」

「見るだけなら。君がその世界線に干渉できるモノとわかった以上、その権利は、申し訳ないけど、厳しく僕が封印する。」

そして映し出された、ん、オトーサンもおねえちゃんも若いな。若いというか、まあ、今と変わってないけど。そして、真ん中には小さい子供、男の子かな?

「いい光景じゃない。」

「あの二人にもこういう未来があったのか。」

「実は、君のいうおねえちゃん。つまりこの世界線の君自身だけど、彼女も実は世界線を超越できる能力を持っている人間なんだ。」

「あ、あの時失踪して、自然と身につくものなのか。」

「でも、彼女との接触は、ほんの一瞬だった。だからその情報を伝えることはできないし、自分で覚醒しないことには、僕にはもうどうすることもできない。」

「それは、タイムトラベラーが身につける感覚ってものなのかな?」

「おおよそ、そんなものじゃないかな。だけど、彼女には悪夢として植え付けられてしまっているから、おそらく世界線の超越は厳しい。そして何より、彼女は本当に1度死んでいる。だけど、自分の意思で自己再生してるんだ。だから、新たに、見た目の変わらないギフトが付与されたんだ。」

「それって、私には?」

「残念だけど、努力しようね。でも、別の人間のギフトを理解して、それを実践できるなんて、君は、本当の干渉者なのかもしれないね。」

「ちなみに、私へのギフトって何?」

「どんな話でもフラットに聞けるという能力だ。そうだな。中学生の時を思い出すといいよ。君はあれだけモテてるのに、特定の...まあ、君たちの関係は伏せるけど、ある意味フラットに扱えること、それが君の能力だ。どんな人間にも、見た目の印象などで、いい意見でも悪い印象を抱くことがある。しかし、君はそれらを超越して、常にフラットな状態で言葉を受け止めることができた。だから、15歳の彼の告白にも、隠れて涙したんだね。相手が嘘偽りなく思いを伝えると、そんなフラットな耳にも、印象に残る。ま、つまるところ、おねえちゃんのようにタイムトラベラーであり、新たなギフトが付与されたとしても、それ以前のギフトで感じたことを真剣に思っていた。だから、結果的に、どのようなことであれ、彼と彼女の出てくる世界線では、彼等はささやか幸せになることが決まっているわけだ。」

「と、すると、私のような異物を世界線が受け入れてくれて、更に超越者だとしても、私は二人の悩みの種になっちゃったってこと?」

「僕からは、運命に抗うように、君の存在を受け止めてる。だから、あの二人も言っているが、実は君は潜在能力が高めの人間になっている。自分でも会得し、初めてギフトを複数持つ。実を言うと、生きている人間にはもったいないほど、君の能力は超越者向きなんだ。」

「...でも、死んじゃったら、二人は悲しむよね。」

「もちろん、そうはさせない。それを知ってしまった君には、またいつものように忘れてもらうことにする。」



そして、白い空間に立っていた私に、四方八方からピーマンが襲いかかってくる。


「君が願えば、またいつでも、会える。忘れても、こっちから思い出させて上げるよ。」


ピーマンで見えなくなってしまった。


「うわああああああああ。」

「え、どうした?」

「大丈夫?落ち着いて。」


悪夢だった。私はピーマンに溺れてしまっていた。そんな変な夢をみるんだろうか。


二人が寄ってきてくれた。

「いきなり大きい声を出すから、びっくりした。でも、落ち着いてるようだね。」

「まさか、あなたまで発作持ちになるとは思ってないけど、なにかつらいことあった?」

私は、正直に言おうか迷っている。でも、下らない夢の話だし、あれ、待って、これデジャヴってやつなのかな。

「ううん、ちょっとした悪夢の類かな。ごめん。びっくりさせちゃって。」


「そうだ、場所を変わろう。」

そう言って、オトーサンは私とベッドの位置を変わってくれた。私は二人に挟まれるようになった。

「どうせなら、毎日この並びのほうがいいかな?一番遅く起きるのは君だし。」

「それは、おいおい決めさせて。ありがとう。」

うん、安心できる。二人に挟まれるのって、こんなに心強かったんだな。知っていれば、たまにはして欲しくなるな。


なんか、ピーマンの夢の前に、誰かと会話してた気がする。



私は、今もここで生きて、元気で暮らしています。悪魔に背いても、私はこの世界で生きていきます。

って、ただの夢にしては、なんだよなあ。もしかして、本当に私ってすごい人間?くだらない。私は、私のできることをやっていけばいいんだ。




今日も読んでくれてありがとうございます。また今度ね。

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