Life 47 When mother and daughter go out on a date. おねえちゃんとデート?
ある土曜日、娘は彼女と二人で出かけることになります。彼女は、娘と「デート」がしたいと誘いました。
ショッピングデート
娘と彼女は、電車で池袋へ向かいます。彼女は、娘に「センスがいい服を買ってあげる」と提案し、二人は洋服店を見て回ります。娘は、薄い水色のニットワンピースに一目惚れ。彼女は娘の好みを尊重し、そのワンピースに合うアウターやスカートなどを買ってあげます。彼女は、服を選びながら、娘が僕に似て「感性だけで行動できる」ことに気づき、微笑ましく思います。
母親としての悩み
買い物の帰り道、彼女は娘に「母親らしいことって何かなって思って」デートに誘ったことを明かします。母親という実感がないという悩みを打ち明ける彼女に、娘は「今のままが一番幸せ」と伝えます。娘の言葉に心を動かされた彼女は、娘が「恋敵」だと言ったことにも嬉しさを感じ、親心と複雑な感情が入り混じった様子を見せます。
帰宅と安堵
帰宅後、僕は二人の無事を喜び、彼女は僕に「娘とのデートが楽しかった」と話します。そして、娘から言われた「恋敵」という言葉を僕に伝え、二人は笑顔で会話をします。
二人のデートは、お互いの気持ちを確かめ合う貴重な時間となりました。娘は彼女の優しさに触れ、彼女は母親としての自信を持つことができたのでした。
「そう言えば、今度の土曜日、空いてる?」
おねえちゃんが私に聞いてきた。
「うん、その日はバイトもないし、別にいいよ。」
「ちょっとおねえちゃんとデートに行かない?」
「うん、いいけど、なんで私?オトーサンと行けばいいじゃん。」
「あの人には内緒よ。でも、何かプレゼントを買いに行くとかじゃなくて、本当にデートするだけだよ。」
「う~ん、それってデートなのかな?」
「親しい人と一緒に一日を過ごせれば、それでデートになるわよ。ちょっとした、思い出作りみたいなやつ?」
そういうわけで、私とおねえちゃん、二人で出かけることになった。まる1日は実は初めてじゃないかな。
土曜日
「それじゃ、言ってくるから。」
「うん、気をつけて、行ってきてね。」
オトーサンに挨拶して家を出てきた。
「で、今日はどこに行こうか。」
「あれ、おねえちゃん、決めてなかったの?」
「特に考えてなかったんだよね。別に、このまま駅前のファミレスで、延々と喋るだけでもいいし、あなたの行きたいところへ行ってもいいし。」
「う~ん、そうだなあ。なんでもいいなら、ちょっとショッピング。と言っても、ウィンドウショッピングになっちゃいそうだけど。」
「何か欲しい物があったりするの?」
「いや、最近冬物の服が結構ボロボロになってきちゃって、どうしようかなって思ってたの。」
「そういう事。じゃあ、私が何着か買ってあげようか?」
「え、いいの?」
「デートに付き合ってもらうお返しよ。財布が別と言っても、あなたのアルバイトのお給料だけじゃ、服まで回せないでしょ?」
「さすがに、ちょっとは通販で買ったりしてるんだけどね。」
「そういう事なら、おねえちゃんにまかせなさい。似合う服があるまで、一緒に探そうか。」
「頼りにします。今日はお願い、おねえちゃん。」
そうして、田端から電車に乗って、池袋に来た。
「池袋?銀座とか、渋谷とかじゃなくて?」
「銀座って...さすがにあなたにブランドを着せるだけの予算はないわよ。それに、渋谷系って感じでもないでしょ。」
「でも、池袋って言うと、どうもコスプレとか、そういうイメージがあるよ。」
「それは、まあ、最近の人はそう思うのか。いつの間にか乙女ロードも出来てたし、アニメイトもそっち向けに舵を切ったし。まあ、それはともかくとして、最悪ユニクロでもいいって話よね。」
「話したことあったっけ。私の服って、だいたいユニクロかしまむらなんだよね。」
「たまには少しいい服を買ってあげるから。そんなうちから、ユニクロとかしまむらとかに染まってちゃダメ。」
「え~、安くて結構センスいいのになあ。」
「あなたのすごいところよね。センスだけで着こなして、きれいに見せるって。私にはないところ。」
「そうなのかな?オトーサンは、おねえちゃんの服装、結構褒めてると思うんだけど。」
「私も年齢を重ねているのよ。自分がどんなのが似合うか知ってるし。あなたにも、あなたの年代が似合う服ってあるじゃない。今日は、それを買う感じかな。」
と、気がつけば、池袋東武の入り口にいた。あ、ここはユニクロに行く時、駅を降りて買いに行くぞ。
「ねえ、そういえば、あなたって、ズボン派?スカート派?」
「う~ん、日によって違うかな。今の時期だとズボンのほうが多い。でも、夏物は結構どっちも持ってるし、こだわりもないかな。本当に気分。」
「...すごいわね。気分でああも毎日色々な組み合わせが出来るって。やっぱりあなたはセンスの塊みたいなものだわ。」
「そう?なんとなく、自分でトップスとボトムスの色で、合うんじゃないかと思うのを選んでるだけなんだけどね。」
「謎理論かぁ。あなた、やっぱりあの人の娘っぽい感じになってきてるのね。」
「え、どういうところ?」
「二人共、言語化出来ないような、感性だけで行動が取れるところ。私と100%同じはずなのに、そういうところは親を見て育つというか。」
「あ、そうそう。オトーサンが喜んでくれるような組み合わせは心がけてるかな。あんまり外れることもないし。」
「それはもう恋する乙女の気持ちよ。まあ、それでセンスが磨かれるなら、文句はないわ。」
若い人の服は3階にあるらしい。とりあえず、色々なお店を回っては、おねえちゃんの見立てで服を合わせたり、試着したり。店員さんも色々合わせてくれる。
「あ!」
「え、どうしたの?」
「あのマネキンの服、あれがいい。」
それは、薄い水色をした、ニットワンピース。スカート丈もある程度長いし、白いコートやアウターと合わせても似合いそうな感じだった。
「ちょっと聞いてみようか。同じサイズがあれば、試着も出来るだろうし。」
「うんうん。」
おねえちゃんが店員さんに問い合わせしてくれた。店員さんは私のサイズに合うものを出してくれた。
「試着してみなさいよ。まあ、あなたは、多分欲しいんだと思うけど。」
「うん、ちょっと着てみるね。」
よっと。サイズはそれほど問題ない。それにしても、今日私が着てる服って、なんか自分で合わせた割に、ダサい感じがするなあ。これを見たからなのかな。
ガラガラガラ
「どうかな?」
「う~ん、似合ってるけど、まさかそれに、何か合わせて着るって感じよね。」
「上半身にアウターとか、ジャケットを別に買って、それで合わせようかなって思ってる。もちろん、このままでもいいと思うけど、なんか大人っぽいよね。」
「いや、そうでもないんだけど、なんというか、私の好みと、あなたの好みの違いなのかしらね。寒色系のワンピースがあまり私の中ではしっくり来ないから。」
「...おねえちゃんがそういうなら、似合ってないのかな。」
「そういうことじゃないの。私の好みを言っただけ。まあ、そうよね。あなたの年齢で、落ち着いた感じの色はダメよね。それに、気に入ったんでしょ?」
「うん、これだって思った。」
「じゃあ、それを買いましょう。今日は、あなたの買い物だもん。あなたの欲しい物を買わなきゃね。」
おねえちゃんはそうやって私を立ててくれる。なにかおねえちゃんには気になるところがあったんだと思うけど、私が選んだことを一番に考えてくれる。
それから、このワンピースに合うような、ショートサイズのコート。裏地のしっかりしたフレアスカート、それから、春物っぽいピンクのジャケット。あとはユニクロで何着かブラウスを買ってもらった。
昔、オトーサンにもたくさん服を買ってもらった時があったけど、値段は同じぐらい。さすがに品数は少ないけど、いいものを着るのも女のたしなみなのだそう。
「ごめん、ちょっと遠回りしていい?」
「別にいいけど、何?喫茶店?」
「惜しい、チーズケーキを買って帰ろうと思って。」
逆側の西武の地下まで行って、資生堂パーラーというところで、チーズケーキを買っていた。あれ、チーズケーキというか、なんかおまんじゅうが入ってそうな小さい箱みたい。
「本当にチーズケーキ?」
「そうよ。私が好きなチーズケーキ。ホールスタイルじゃないけど、思わず驚く美味しさなんだから。」
「どこへ行っても、あればチーズケーキを頼むおねえちゃんが言うんだから、間違いないのかな。」
「ついでだから、夕飯でも買っていきましょうか。何食べたい?」
「う~ん、とんかつ?」
「ま、あなたが食べたいなら、買っていきましょう。私達は、私達の胃に合ったおかずを買っていこうかな。」
「食べられるじゃん。二人共、考え過ぎだよ。」
「そうでもないのよ。本当に少しならいいんだけど、あとで結構来る歳になってしまったのよ。」
そうやって、何軒かお店を寄って、お惣菜をいくつか買っていた。もちろん、とんかつも買ったよ。
そして帰る途中、モロゾフがあったからという理由で、またもチーズケーキを買ってる。おねえちゃんもストレスが溜まってたんだろうか。
「楽しかった?」
「うん、だけど、おねえちゃんのお財布が心配なんだけど。」
「気にすることないよ。あなた達のことを考えれば、これだって安いほうよ。チーズケーキも2つ買ったしね。」
「それにしても、二人でデートって言うから、何をするのかって思ってたよ。」
「簡単よ。場所はどこでも良かったの。あなたと二人で買い物したり、カフェに行ったりとかってしたことなかったから。」
「そういうことなら、いつでも付き合うけど。でも、本当は別にあるんでしょ?」
「...笑わないでよ。母親らしいことって何かなって思って、一番手っ取り早いのは、娘とデートかなって思ったの。」
「真面目だよね。毎日おねえちゃんは母親してるよ。まあ、多少なりとも心配な部分はあるけど。」
「そう?私もよく分からないのよね。そもそも母親って実感がないのよ。母親役だけど、母親の実感がないって、おかしいでしょ。」
「いや、変じゃないでしょ。本当に母親役なんだし。おねえちゃんと私は、同じ母親から生まれてるんだし。」
「そうなのよね。多分、世界で私しか、この思いをしている人はいないけど、私であり、娘であり。そういうあなただから、私も悩んじゃったのよね。」
「私は今のままが一番幸せだよ。だって、私の将来が、こんなに素敵な人になるんだから、それだけで嬉しいよ。」
「ありがとう。うん、その言葉で十分。吹っ切れた。また、季節の変わり目に色々ショッピングでもしましょうか。」
「もちろん。喜んで行くよ。でも、おねえちゃんは私の恋敵なんでしょ?敵に塩を送るってことにならない?」
「なに言ってるのよ。可愛い娘なんだから、おしゃれして、綺麗になって、嬉しくないと思う?」
「そういう時は娘なのか。おねえちゃんが母親で、私は良かったと思ってるよ。ありがとう。」
今は親子。いつもは同居人。そして同じ人を好きになってしまった恋敵。まあ、恋敵というには、少し言葉が強すぎるかな。
私の両親は、いつも私のことを、自分の子供のように思ってくれてる。私にはもったいないけど、まだしばらくは、子供でいさせてもらおうかな。
ガチャ
「ただいま~。」
「おかえりなさい。楽しかった?」
「楽しかった。それに、色々買ってもらっちゃった。」
「いいなあ。僕にも買ってくれればいいのに。」
後から入ってきたおねえちゃんが一言。
「あなたはお金を稼げるんだし、自分の趣味にお金が使えるんだから、そこは羨ましく思わないの。」
「冗談だよ。あなたも、お疲れ様。」
「あなたってすごいわね。あの娘が落ち着いてなかった時期に、色々連れて歩いたんでしょ。尊敬するわ。」
「そう?でも、あの娘のためだもんね。色々、知ってほしかったんだよ。今の時代を。」
「そうね。まだまだ、私も知らないことが多いし、一緒に知って行きたいわね。」
「まあ、今となっては、あの娘もこの時代の人だし、自分から落ち着いた感じになった。大人になったんだよね。」
「私、結構嬉しいこと言われたの。まだあの娘の恋敵なんだって。」
「そうなんだ。多分分かって言ってるよね、そのセリフ。でも、それだけあなたも若いってことだよ。良かったね。」
「う~ん、なんか素直に受け取れないな。あなたって、やっぱりどこか達観してるところあるものね。」
「誤解だよ。そうじゃなくても、今だって、君と、あの娘と三人で暮らしてて、いっぱいいっぱいなのに。」
オトーサンも、おねえちゃんも、今を楽しんでる。悪いことは考えないように、この生活が、いつも続くように。
ちなみに、チーズケーキだけど、資生堂パーラーのやつを一個もらったけど、すごく美味しかった。濃厚チーズケーキってこういう味なのか。コンビニの濃厚とは?って思った。
それから、ホールサイズのチーズケーキは、なんかおねえちゃんが一人でパクパク食べてた。カロリーとか、どうやって調整してるのだろうか。う~ん。不思議なことってあるんだよね。
今日も聞いてもらって、ありがとうございます。また今度ね。