表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/102

Life 35 I kept saying I love you. 恋人らしいこと

僕と娘は、新宿御苑へデートに行くことになりました。


新宿御苑デート

再会した頃の思い出の場所であるスターバックスに立ち寄り、深まる秋の日本庭園を散策します。僕は、娘と再会した時のことを思い出し、なぜ彼女を匿おうとしたのか、不思議に感じていました。すると娘は、僕が「父親」として、彼女をしっかりと守ってくれたからだと話します。そして、僕が彼女を誰にも渡したくないと思っていたことをずっと前から知っていたと告白します。


僕の本心

僕もまた、再会した時からずっと彼女に夢中だったこと、そして彼女との生活ではなく、彼女との恋人生活を選んだことを打ち明けます。僕の言葉を聞いた娘は、僕に「もっと自信を持ってほしい」と励まします。


ラブホテルへ

デートの終盤、娘は僕に「ラブホテルに行かないか」と誘います。僕と娘は、彼女(奥様)が家で昼寝をしているであろう時間帯に、ラブホテルで過ごします。僕たちは、家族としての安定と、恋人としてのスリルを味わう、アンバランスな関係を楽しんでいました。


帰宅

帰宅後、娘は彼女に「お父さんが頑張っていた」と話し、僕の頑張りを褒めます。彼女は、僕の顔つきがいつもより男らしくなっていることを指摘し、大人な態度で二人を受け入れます。そして、夕食の海鮮モノを見ながら、ビーフストロガノフが食べたかった娘は、少し納得がいかない様子でした。


このデートを通じて、僕たちは、家族として、そして恋人同士としても深く愛し合っていることを再確認し、それぞれの役割を使い分けながら、独自の家族の形を築いていくのでした。

「デート?」

「そう、あんまり面白くないかも知れないけど、ま、ちょっと散歩ついでに、新宿御苑に行こうかなって。」

「そういうのっておねえちゃんと行くのがいいんじゃないの?」

「いや、あの人と行くとさ、家にいるのとそんなに変わらないし、行くにしても観光地のほうがどうもインパクトあるみたいでね。」

「で、私?」

「三人で暮らし始めてから、どうも君との会話をしてないような気がしてさ。それとも、もうさすがに物悲しいって?」

まあ、季節も深秋。もう少しすれば、イルミネーションで飾られる街も、最後の小休止と言ったところだろうか。

「そんなことないよ。オトーサンと行くところなら、どこでも楽しいと思うし、喫茶店とかじゃなくて公園っていうのが、なんか洒落てるじゃん。」

「そう。それじゃ、ちょっと行ってみようか。」



当日

「それじゃおねえちゃん、ちょっと借りて行くね。」

「はいはい。あなたも、ちゃんとエスコートするんだよ。」

「分かってる。極力楽しませるよ。」



新宿御苑という場所は、意外と新宿駅の南口から近い。まあ、10分ぐらいあれば入り口にたどり着く。

「あんまりオトーサンと行ったことのないような雰囲気の公園だよね。入場料いるんだ。」

「だから、厄介な客も少ないし、さすがにシーズンから外れてるから、割と空いている。こういうのがいいと思う。」

「もっとも、外国人はなんとなく多いね。」

「連中はシーズンとかあんまり関係ないからね。まあ、周りがビルだらけの中に、公園があるってのは、なかなか日本を象徴としてる感じあるよね。」


「さすがに、ちょっと風が冷たくなってくる時期だね。薄着だったかなあ。」

「最悪、寒くなってきたらレストハウスにでも入ればいいよ。まあ、喫茶店とそんなに変わらないかも知れない。」

「言えてる。スタバあるんだねここ。」


「なんか懐かしいなあ。再会した時、オトーサンがスタバでダークモカチップフラペチーノを買ってくれたよね。」

「よく覚えてるなあ。あのときは気が気じゃない感じがしててさ。どうしたらいいか本当に考えたなあ。」


日本庭園を歩く。あんまりミーハーではないが、「言の葉の庭」の聖地である、東屋に向かった。

個人的に好きな方の新海作品。現代劇で、やっぱりビターストーリーというのが、あるべき形なのかなと思いつつ。

「あ、さすがに先客がいるね。外人さんもなんやかんやで分かるんだね。」

「映像美というものに惹きつけられるんだろ。特に内容なんてなくてもいい。環境映像みたいな見方なんじゃないかな。」

割とベンチは長いし、二人で座ってもそんなに問題ないだろう。公園だし。


「しかし、あれから時が経った。なんか、二人でこうやって一緒にいるのも、普通に考えたら当たり前じゃないんだよなって。」

「なんで?毎日顔を合わせて、毎日話して、毎日生活してるじゃん。全部現実じゃない。」

「歳を取ってしまってると思うことがあるんだよ。やっぱり人って分岐路がいくつか用意されていて、その分岐路の方向にしか生きられない。」

「うんうん。」

「あの時、あのスタバの時に、なぜ、僕は君を匿おうとしたのか、色々考えたんだろうけど、最後には君と生活してる。なんか、そこが不思議でさ。最近ちょっと思うようになったの。」

「それは単純に、オトーサンが私を他の人に渡したくなかったんだよ。あの時が、一番オトーサンしてたと思うよ。」

「そう、なの?」

「今のオトーサンがどうとかじゃなくて、あの時のオトーサンは、父親って自分から言ってたぐらい、しっかり父親してくれた。警察にも行ったし、役所にも行った。それも、オトーサンが父親として連れて行ってくれたからだと私は思ってる。」

「あの時さ、一人になるのが嫌って割と頻繁に言ってたじゃん。今でも思ったりする?目が覚めたら、失踪した時の場所に戻ってたら?とか、考えてたらどうしようかなって。」

「今はまったく思ってない。だって、オトーサンと、おねえちゃんと、友達と、みんなが私を知ってるし、みんなが私を見ててくれる。承認欲求とまでは行かないけど、やっぱり、ある程度この世界に認められたから、私はここで楽しく暮らせているんだなと思っていたりする。だけど、どうしても家で一人になる時があったりすると、やっぱり不安になったりする。でも、これはオトーサンの発作みたいなもので、みんな持ってる負の一面なのかなって。」

「本当に強くなった。最初はずっと娘扱いして、年頃の女の子を育てるのはどうしたらいいかって悩んだ時があったんだけど、君は本当に素直に育ってくれた。バイト先の環境も良かったんだろうし、何より君自身がそれを望んで生きてきたから、今みたいに大学生になって、楽しく暮らせてるんだろうなって思うよ。」

「あ、そこは違うかな。私はずっとオトーサンの娘であろうと思って生活してたんだよ。オトーサンに迷惑を掛けちゃいけないし、オトーサンがどうやったら喜んでくれるかなって考えて生活してたんだよ。いつも言ってるけど、私の行動原理は、全て君。私は君に認められたくて、ずっと生活してる。そして認めてもらってる。こんなに幸せなことはないよ。」

「...そう。それじゃ、僕も一つだけ、君にずっと隠してた事を教えてあげる。」

「え、隠し事なんて、もうないのかと思ってたよ。なになに?」

「僕は、あの再会したときから、ずっと君に夢中だったんだよ。何を考えるにしても、やっぱり君のことを考える。まあ、好きとか、愛してるとかじゃないけど、僕のすべては、君にずっと向いていたんだよ。だからね、本当を言うと、あの人との結婚も迷ったし、3人で暮らすのにもためらいがあったんだ。」

「それ、おねえちゃんにも話してる?」

「あの人も知ってる。最初に家族になって欲しいとは思ったけど、君との生活じゃなくて3人の生活になるのは、ちょっと悩んだ。でも、あの人もそれを知ってて、その上で僕と結婚して、3人で暮らしてる。まあ、3人で暮らしてて、意外と驚くことが結構多いんだなって思うし、結果的には良かったと思ってはいる。なにより、あの人自身が、本当に寵愛を受けるべきは君だと言っているぐらいだから。」

「おねえちゃんも悩ませちゃったんだな。私。」

「でも、子供の騒動があって、スッキリした。やっぱり僕は、今でも君のことがずっと好きなんだってよく分かった。僕は、君との家庭ではなく、君との恋人生活を選ぶことに決めたのは、そういう事。まあ、あの人はどう言うかわからないけど、君と僕のことは、そういう目で見てるみたいだから。」


「しかし、既婚者でしょオトーサン。もう少し自分の言葉に重みを持たせられないのかな。」

「え、割と一世一代の告白じゃない?もっと感動してくれても良くない?」

「そんなこと、ずっと前から知ってたことだもん。感動するも何も、君がそれを白状しなかっただけだから。知ってて言ってるのかと思ってたよ。」

「そうなんだ...。ずっと前から知ってたのか。まあ、そうだよな。君に対する気持ちみたいなものは、あの人と同じように出てると思ってるから、そりゃ気づくよね。」


「ちょっと長く話したから、行ってみましょうか。想い出のスタバに。」

「さすがにちょっと寒くなってきたしねえ。入ってなんか暖かいものでも飲もう。あ、それと帰りにユニクロ寄っていい?」



なんだかんだでダークモカチップフラペチーノを注文しちゃうあたり、あの時を意識してるんだよな。

僕もコーヒーがそれほど好きじゃないことがようやく分かってきた。カフェモカでいいか。

「公園の中でスタバが飲めるって、結構すごいよね。こぼしたりするような人とかいそうだけどね。」

「まあ、その辺は整備費で埋められてるんだろう。しかし、この寒い中によくもまあ、そんなのを注文するよね。」

「なんか、思い出してみたくなったの。あの時の私の感覚が戻ってこないかなって。」

「戻ってこなくていいだろう。君はここで生きてるんだから、それ以上感覚を戻されて、消えてしまうのが一番怖い。」

「やっぱり、オトーサンも私が突然いなくなったら辛い?」

「辛いとか、そういう感情じゃない。僕とあの人は、多分絶望にくれて、そのまま自殺するぐらい、考えたくないもん。」

「まあ、消えることはないし、そこは安心していいよ。ずっとオトーサンの側にいるもん。」

「一生、って言うと、ちょっと問題があるんで、親心としては、ある程度の経済力のある男を見つけて、そういう人と一緒に暮らして、そこで家庭を作るのが幸せなのかもしれないけど、君は多分、僕と、あの人と、3人で暮らしていければ、それで幸せなんだろうね。そこは、正直複雑なんだよ。

「なんで?オトーサンほどの男なんて、私には絶対に探せないよ。」

「君は、僕の何がいいの?」

「簡単だよ。君の全部。そういう不器用に理解出来ないこともあったり、変なところですごい技を見せたり、なによりあったかい。オトーサンがいるだけで、私は幸せなの。」

「聞いてて恥ずかしいな。」

「言った私も恥ずかしい。」

二人で急に赤くなってもじもじ。中学生カップルでももう少し度胸あると思うんだけどね。


「物悲しい公園でちょっとしたおしゃべりしたけど、感想は?」

「私はすごく楽しかった。オトーサンの本音も聞けたし、幸せ者だよ。私。」

ちょっと意を決したような感じで、

「ねえ、このあとさ、ちょっと歌舞伎町方面に行かない?」

「その前にユニクロ行く。」

「んじゃユニクロ行ってからでいいから、歌舞伎町でもデートしよう。」

「私、ラブホって初めて行くから、どういう感じなんだろう。ちょっと期待しちゃうなあ。え、ラブホであってるよね。

「あんまり大きな声で言う人とは、ホテルには行きません。まったく。」

「ごめんね、つい、テンション上がっちゃったよ。」

嬉しかったんだろうなあ。テンションが上がったのも分かったし、何より待ち望んでいた展開だったんだろう。



とはいえ、昼間なので休憩3時間ぐらいがせいぜい。家ではあの人が...まあ、どうせ昼寝してるか、サブスクのドラマでも見てるんだろうけど、その最中に、僕と彼女は、肉体関係を持ってしまうという、家族としてのアンバランスさ。関係としては破断しているけど、これで成り立っているのが、今の僕らの関係。二人デートでしてもいいってあの人が言わなきゃ、絶対にやらなかっただろうなあって思った。



「えへへへ。やっぱり、君としかしたことがないけど、だんだんと君のペース。分かってきた気がするよ。」

「若くないしね。それに、いつもより激しくしたつもりだったんだけど、そうでもなかった?」

「いやいや、そんな事ないぞ。ちゃんと伝わってるよ。そういうのを口に出しちゃうところだぞ。」




ガチャ

「ただいまー。夕飯買ってきたよ。さすがに作るの、オトーサン無理だって。」

「おかえりなさい。それで、積極的だった?あの人。」

「うん、オトーサンもすごく頑張ってたよ。でも、その前に聞いた話もあって、余計に感じたかな。」

「で、その頑張った人も帰ってきてるんですけど。」

「うん、あなたもお疲れ様。今日は男らしい顔つきだね。いつものほんわかフェイスとはちょっと違う色気あるかな。」

「あなたともう一戦ぐらいなら体力的に大丈夫だけど、そういう気分じゃなさそうだよね。」

「う~ん、ま、大人は大人で、またどこかにデート行ったあとでも。少しは期待しちゃうかな。」


で、結局新宿のデバ地下で買ってきたのは、やっぱり海鮮モノが中心だった。海鮮ちらしに、ホッケの塩焼き、まあ、あと申し訳程度にサラダかな。

奥様は満足している一方で、どうも最後までビーフストロガノフが諦めきれなかった娘は、なんとなく納得行ってないみたい。買ってあげると言ったんだけど、本人が断ったので、まあいいだろう。いや、無理してでも買ってあげるべきだったかな。




今日はこの辺で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ