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Life 33 A morning event that happens somehow. なんとなく朝の出来事

3人での生活が始まって半年が経ち、朝の過ごし方が大きく変わりました。


奥様の朝

まず最初に起きるのは彼女(奥様)です。ノーメイクでも美しい彼女ですが、仕事では「できる大人の女」を演じるため、しっかりメイクをします。僕は睡眠障害を患っているので、彼女の物音で目が覚めてしまいます。彼女は、会社での立場や人間関係の難しさについて語り、僕はそんな彼女を頭を撫でて励まします。彼女は「行ってきます」と家を出ていきました。


娘の朝

次に起きるのは娘です。僕は、1限がある娘を優しく起こします。娘は「ハグしてほしい」と甘えてきて、僕は彼女のリクエストに応えます。朝食にはバターロールとコーンスープを用意し、僕は出勤の準備をします。家を出る際、娘は「今日もありがとう」と僕の左頬にキスをしてくれます。僕は、電車に乗ってから頬にコーンスープが付いていたことに気づき、少し恥ずかしくなります。


こうして、僕たちは、それぞれ異なる朝の時間を過ごしながらも、互いを思いやり、支え合いながら、新しい家族としての日常を築いていくのでした。

三人で生活し始めて、そろそろ6ヶ月。今までと大きく変わったのは、朝の時間。

これは三人で一緒に寝てるから、誰かが起きると、なんとなくつられて起きるようになってしまった感じになった。


最初に起きるのは、奥様。まあ、当然といえば当然なのだけど、意外に化粧をちゃんとする。以前、肌年齢が若く、ほぼノーメイクでもそれほど印象の変わらない感じなのだけど、年相応の凛々しい感じのメイクをしている。

家にいるときには可愛い人なんだけどなあ。それは、僕らだけの秘密ということにしてくれているのだろうか。ちょっと誇らしい。

「あ、起こしちゃった?」

バッチリスーツに着替えた彼女が視界に入った。

「うん、気にしなくていいよ。どうせ寝てられないから。」

僕は睡眠障害を患っているので、朝は目覚ましで起きられれば一番マシ。基本的に物音で起きると、もう眠れない感じ。

「朝ごはん食べる?」

「...作るなら別にいいよ。なんかあるならちょっと食べる。あ、自分で探すよ。」

ゴソゴソと漁って、ジャムコッペパンがあったので、これをもぞもぞすることにする。

「なんかクマが餌を食べてるみたいな感じかな。」

「...別にメイクしなくても可愛いじゃん。ナチュラルメイクのほうがいいのに。」

パンをもぞもそしながら、彼女に話掛ける。

現在絶賛メイク中。話しかけていいものやら。

「一応、会社では出来る大人の女で通ってるし、ちょっと立場的にね。威圧出来るような感じのほうがいいの。」

「...そう、なの。いや、毎日ビシッと決めて会社に通ってるって、それだけで偉い感じがして。」

「私はあなたと違って、自己裁量が大きい仕事じゃないから。組織の中に組み込まれてる分、いらない虫もついてくるしね。」

「可愛いもんね。僕の奥様であることが不思議なぐらいだもん。僕の存在も会社にはあまり話してないんでしょ?」

「う~ん、ごめんね。パブリックイメージを崩す感じになっちゃうから、あんまり言えないかな。申し訳ない。」

「いいよ。別に、会社は会社。また帰ってきたら色々愚痴聞いて、ねぎらってあげるから。頑張って。」

「うん、頑張ってくる。頑張るから、頭撫でて。」

大人なのになあ。減るものじゃないし、頑張って欲しいし、頭をなでなでしてあげた。

「それじゃあ、行ってきます。あなたもあの娘を起こしたら、遅刻しないように行ってね。」

「努力はする。まあ、じきに起きてくるとは思うんだけどね。行ってらっしゃい。」

こうして、彼女は家を出ていく。朝始まるのが早いのかな。なんか良くわからないけど、頑張ってとしか言えない。


で、困った子供...いや、年齢的にはもう大人なんだけど、娘の寝起きは、20年一人暮らしをしている彼女と違い、3年の僕との同居のせいで、自由気ままに起きるスタイルが定着している。

う~んと、今日は1限からだから、そろそろ起こさないとダメかな。

ベッドルームに戻り、ベッドの上で寝息を立てている娘をちょっと眺める。奥様もそうだけど、この人たちは本当に可愛い寝息を立てている。

おかげか、夜中に突然起きてしまう僕にとって、彼女達の寝顔は、いい安定剤代わりになる。


っと、起こさないといけなかった。

「起きる時間だぞ。起きろ。」

...よく眠っている。知っている。じゃあ、仕方ないから、肩でも揺らそうかな。

「ほら、起きる時間だよ。今日は1限からなんだろ。」

「......うん?あ、オハヨウゴザイマス。」

「おはよう。大丈夫?起きていられる?」

「......ハグしてほしいです。そしたらおきる。」

1限が授業の時は必ずこうしてほしいと頼んでくる。ある意味確信犯だろう。目覚ましで起きれるんだから、起こされてもおきるだろうに。

仕方がない、と思いながら、軽く背中に手を回して、ハグしてあげる。

いつものだらしない恰好なので、体のラインも丸見え。僕が見る分には、もう恥ずかしくないんだろうなあ。

「これでいい?」

「ありがと。オトーサン。大好き。」

と、背中に手を回して、ハグ仕返してくる。警戒心は完全に置いてきてしまっている感じなのだろう。

「さ、とりあえず着替えて。朝ごはんは?」

「なんか作ってくれるの?」

「食べるなら作るけど?何かあったかなあ。」

そう言うと、ベッドルームの扉を閉める。未だにこの2DKを選んで良くなかったかなと言うのが、ダイニングかベッドルームでしか着替えが出来ないことである。

僕は前の日にダイニングに着替えを用意して寝るので、着替えは必然的にダイニングになる。

そう言えば、僕も着替えておかないとダメか。あんまり勤労意欲が湧かないけど、とりあえず会社に行く準備をする。


数分後、娘がベッドルームから出てくる。

「おはようございます。」

「ったく、朝から色々させないでよ。」

「あ、ハグしたら元気になっちゃった?まだまだ若いね。」

「そうじゃない。ただですら睡眠時間が微妙に短いんだから、色々やらせないで欲しいんだよね。僕もさすがに辛い。」

「ごめん。オトーサンがやってくれるから、喜んでやってくれてるのかと。」

「毎回言ってるけど、そんなわけないでしょ。甘やかすと起きてくれるから、リクエストに答えてるだけだよ。」


朝はこたつの右側に座っている。どうも、朝ごはんが出てくるのを待っているようである。

台所をゴソゴソすると、バターロールとコーンスープが出てきた。基本的にこの家の住人は朝ごはんを食べる習慣がほぼないので、そういう点で朝ごはんと言われると、色々大変である。

最悪レトルトのカレー何かを考えたけど、まあ、これで十分だろうと、バターロールを皿に移し、ポットからお湯でとかしたコーンスープのカップを、こたつに置いた。

「こんなもんでいいですか?」

「あ、珍しい。今日はパンがあったんだね。ありがとう。オトーサン。」

「ん、食べたら、とりあえず流しに食器置いておいてね。帰ったら洗っておくから。」


程なくして、僕も出かける時間だったので、

「んじゃ、僕もそろそろ行くから、ちゃんと1限に出なさいよ。」

「あ、オトーサン。ちょっとこっち。」

ん、なんだろ、ゴミでも付いてるかな。

「今日もありがとう。」

そうして、左頬にキスしてくれた。発想が若いよなあ。奥様にはしないのね。

「行ってらっしゃい。頑張れ。」

「...行ってきます。」


寝起きがそんなに良くなかったせいか、その後左頬にキスされた時に、若干コーンスープが付いていることに気づいたのは、電車に乗ってからだった。

猛烈に恥ずかしかったけど、僕のためにしてくれたのだから、しょうがないと思うべきかな。



今日は朝だけどこの辺で。

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