その31 From a family of lies to a family of honesty 彼女が、あらためて家族になった日
もうすぐ彼女(奥様)と娘の誕生日。僕は二人のためにプレゼントを用意し、ささやかなお祝いをすることにしました。
プレゼントのサプライズ
僕は、以前娘と彼女からプレゼントされたApple Watchを、お揃いで二人にもプレゼントします。娘は素直に喜びますが、彼女は僕の負担を心配します。しかし、僕は「僕ばっかりもらってちゃ悪いからさ」と、二人の喜ぶ顔が見たい一心でプレゼントしたことを伝えます。
3人の関係の再確認
夜、彼女と僕は、お互いの気持ちや不安について真剣に話し合います。彼女は、僕が娘との関係で罪悪感を抱いていること、そして僕と娘もまた、互いの気持ちを深く理解し合っていることを知ります。僕は、娘の「もっと踏み込んできてほしい」という本音を聞き、僕の弱さや不器用さを反省します。
家族の公認と約束
僕は、娘と二人で恋人らしいデートをしようと提案し、娘は喜びます。シャワーを浴びている間に、彼女と娘は二人で話し合い、娘が僕の「彼氏」として、また「父親」としての役割を使い分けることを認めます。ただし、子供を作らないという約束を交わし、娘は「大人の女としての約束」を守ると誓います。
こうして、僕たちは、家族としての絆を深めながら、それぞれが互いの愛の形を認め合い、歩んでいくことを決意するのでした。
いつもの帰り道。そろそろ近くなってきた、彼女たちの誕生日に関して、奥様に相談した。
「え、誕生日?」
不意を突かれたような感じで彼女が答えた。
「うん、やっぱり二人の誕生日だから、ちょっとしたお祝いしようかなって。」
「それを私に聞いちゃう?まあ、二人分あるし、あなたじゃ隠して何か準備出来るような人じゃないもんね。」
「とりあえず、プレゼントは買ってあるんだ。あとは、ケーキとちょっとした料理ね。」
「それっていつもの夕飯と大して変わらないよね。どうせあの娘は気づかないから、去年もやってた通り、ケーキとプレゼントでいいんじゃない。」
「あなたもそれでいい?」
「私はもうそういう年齢じゃないもん。むしろスルーしてくれたほうがうれしいかな。」
「そうかもね。僕も年齢に関してはもういいかなって思ってるけど...ねぇ。」
「あの娘がそれを許してくれないって?そうかもね。あの娘がいつまで誕生日を喜んでくれるかな。」
「あなたはどうだった?って言っても、一人で暮らしてると誕生日って結構忘れるよね。」
「そうそう。気づけば、そう言えばってなるかな。なんか書類を書いてる時に、そう言えば何歳だったっけって思ったりする。」
「あなたはそれで30歳って書いても別に違和感ないからね。羨ましいような気もするけどね。」
「そういう気遣い、あんまり嬉しくないんだぞ。放っておいてほしいかな。」
そうこうしてるうちに、誕生日が来てしまった。
とりあえずプレゼントは買ってあるので、...ケーキねぇ。コージーコーナーでいいかな。プレゼントに予算を掛けすぎた気がする。
「誕生日おめでとう。まともにやるのって何年ぶりかな。」
「オトーサンと暮らしてる時には、いつもケーキ買ってくれて、なんとなくやってたよね。」
そうだっけか、と思いながら、とりあえずケーキと、
「今日はプレゼント。少し余裕があったからね。これを君にプレゼントだよ。」
「オトーサン、マジで言ってる?プレゼントなんて嬉しいなぁ。」
「あら、良かったじゃない。あなたもやっぱり人の親なのね。ちゃんとプレゼント買ってあげられるなんて。」
「あ、そうそう。あなたにもプレゼント。誕生日おめでとう。」
「...どうしちゃったの?本当にあなた?なんか人が変わったみたいで怖いわね。」
「まあ、その辺は二人共平等に、ね。」
「え、これ、Apple Watchじゃん。」
「そう。君たちにもらったから、同じものをあげようかなって思った。普通の時計より電池持ちは悪いけど、みんなでお揃いってのもいいでしょ?」
「え、私にも?2台買うなんて、かなり負担だったんじゃない。」
「まあ、苦労はしたけど、僕ばっかりもらってばっかりじゃ悪いからさ。」
「そういうところよね。あなたのいいところ。しっかりと恩に報いるって感じがいいよね。」
「それ以上に、ガジェヲタの欲みたいなものが騒いだのかな。これは便利だから二人に使って欲しいと思ったんだよね。」
「ちょっと見直したけど、ちょっと見損なったと言うか、本質はそうよね。自分の体験ありきで便利かどうか判断するものね。」
「でもおねえちゃん。ちゃんとApple Watch使った上で、オトーサンが便利だと思って、プレゼントしてくれるなんて、Apple Watchを褒めるべきじゃない。」
「言えてる。あなたがApple派じゃないのを知ってて、Apple Watchをプレゼントしてくれたというところが、また驚きな部分よね。」
「やっぱり、そういう機械ってさ、マイノリティーよりマジョリティのほうが、モノとして洗練されてるんだよ。二人にもApple Watchを使って欲しいって本当に思ったもんね。」
「まったく、無理しちゃって。でも、あなたがくれたプレゼントは一貫してるからいいと思っちゃう。あなたがいいモノだと思うと、プレゼントしちゃうんだよね。」
コージーコーナーのケーキを食べながら、彼女が言ってくれた。その一言が嬉しい。
「機械ものの絶対的な基準は僕なんだけど、みんながみんな合うって訳では無いから、その辺は難しいところだよ。まして、今年は最初から切り札を切っちゃたわけで。」
「オトーサンはGoogleが味方なんだから、いくらでもリサーチ出来そうだけどね。私はもらえるだけで嬉しいぞ。」
「私はあなたにそういう気を回してほしくないほうだから、ちょっと複雑。もらえるのは嬉しいんだけど、あなたがそれで辛い思いをするのは、どうも耐えられないというか。」
「別にご飯を抜いているとかいうわけじゃなくて、その辺は自分のものを買わなければいいだけだから、そんなに心配しなくていいよ。」
「う~ん。そこで無茶してるから心配してるんだけどなあ。まあ、そこは後で話し合いましょう。ありがとう。大事に使うね。」
夜。定例会のあと情事後。
毎回、3人で暮らしてると、必然的にダブルヘッダーとなるわけだけど、その後。
娘は先にまたシャワーを浴びている。
「なんかさ、僕、毎回こうやってエッチしたあと、二人が満足してるのかなって思っちゃうんだよね。」
「う~ん、そんなことはないと思うんだけど、若い娘はどうかしらねえ。私は、今の落ち着いたペースでゆっくり愛してくれるほうが、気持ちいいかな。ちょっと恥ずかしいけどね。
「あなたは大人だよね。僕がそういう不安だと知ってて、ちゃんと返してくれる。」
「そうじゃないわよ。私もちゃんとそう思ってるし、不満だったらちゃんと言ってる。やっぱり、私も年なのかしらね。昔みたいに激しいプレイを欲したりしないし、もっと触れて欲しいともあまり思わなくなってるのよね。」
「それはそれで、僕は寂しいけど。」
「ごめんね、そういう意味で言ってるわけじゃないの。触れてくれるのは嬉しいし、あなたを感じたいと思っているのは同じ。だけど、なんというか、欲求不満にはならないのよ。このペースで、このプレイで十分なのよ。」
恥ずかしそうな顔がチラチラ見えるけど、彼女はそういうことでも、真面目に考えてくれる。
「問題は、やっぱりあの娘なのよね。」
「僕はしっかり誕生日分、愛してあげられてるのかな。」
「年の差もあるし、あの娘もあの娘で色々我慢してることは分かってるからね。ただ、あの娘は私も一緒に3人でしようっていつも言うじゃない。そういうところだけ律儀なのよね。浮気とかは別だけど、あの娘となら、別に私抜きでも、エッチして怒らないのを知ってるのにね。」
「あの娘なりの優しさとか、平等に君たちを愛して欲しいとか、そういうことなんじゃないかな。だから、自分は欲求不満でも自己発散してまで、我慢してるのかもね。」
「そうかも知れないわね。あなたと関わったからなのかしらね。別に、私を出し抜いてエッチしててもいいと思うのよ。女としては、まあちょっとアレな感じはするけど、私が彼女にそういうことを言っている以上はね。」
「でも、実際どう思う?例えば、あなたが家に帰ってきた時、僕らがエッチしてたら、やっぱりいい気はしないでしょ?」
「そうねぇ。まあ、昼間から何やってるんだって話だけど、だからと言って、親子でホテルにでも行ってエッチしてくれば?って言うのもなんか変な話よね。まあ、一番解決出来てるってのはあるけどね。」
「おまたせ~。次はどっちが浴びてくる?」
「じゃあ、私が浴びてこようかしら。色々積もる話もありそうだしね。頑張れ。」
「ちょ、うん、まあいいか。」
さっき、ずっと彼女とこの娘のことを話してたものだから、何を話していいものか真面目に考える。
ちょっと視線を娘の方にやってみる。
「ん?どしたの?」
「う~ん、いや、さっき君の話をしてて。俺はちゃんと君を満足させてるのかなってね。」
「満足?何が?」
「その、エッチしてて、君は満足してるのかなって?」
「どうなんだろう。私もよくわからないんだよね。ほら、いつも言うけどさ、君が初めてだったから、それ以上も無ければ、それ以下も無いんだよね。あ、今日は激しいんだな、とか、今日はずいぶんスローペースだな、とかね。」
「そういうものなのだろうか。なんかそれが一番怖いんだよなあ。
「んじゃ正直。もっと強くして欲しい時はあるかもしれないし、いつもおねえちゃんと3人だけど、たまには二人でしたい。これはワガママ?」
「特にそう思わないんだけど、僕は一応妻帯者なんだよね。多分同意はしてくれると思うんだけどさ。」
「なんかねぇ、君って、やっぱり強引さとか、そういうところに欠けてるよね。よく言えば優しすぎ。別に、おねえちゃんから君を奪ってもいいって私は思ってるけど、逆の立場だったら、成り行き任せになりそうだもんね。」
「最初のスタンスが良くなかったといえばそうなのかもしれないけど、どうしても、娘目線になることが多くなるのはごめん。僕もわかってはいるはずなんだよ。君の気持ち。」
「知ってて、行動に出せないんじゃ、知らないのと同じ。それが君の良さなのは知ってる。察することができるけど、特に行動するわけでもないんだよね。おねえちゃんにもよく言われてるでしょ?」
「うん、すごいね。なんで分かるの?」
「私だから...と言いたいところだけど、やっぱりオトーサンとして接してくれてる時間が長すぎるから、つい遠慮しがちになっちゃうのも分からなくもないんだよね。でも、私はそこに踏み込んできてほしいかなって。」
娘の説得力は非常に強い。きっと、僕や彼女が思っている以上に、僕らを思ってる。彼女は若い故、そして常に恋人ではなく家族として甘んじてた故、その発言に至ったのだろうと僕は理解した。
「もしさ、あの人が許してくれたらだけど、二人で行ってみない?そういう場所。」
「世間によく聞く、ラブホテルというやつ?君にしては、随分と思い切ったことを言うね。」
「ここで、君と二人でするエッチっていうのが、僕にとって、どうにも罪悪感しか残らないんだ。だけど、場所が変わって、お互いに彼氏彼女の関係だったら、ホテルに2時間行くことぐらい普通かなって思って。」
「まあ、私達は色々チグハグだよね。エッチしたのは最近だけど、同居も3年してるし、その間、私も少しは想い出がある。でも、一番の想い出は、君との生活だからね。逆に恋人らしいことを真面目にしたことが無いんだなって。」
「そうかもね。僕はずるいから、ずっと気持ちから逃げてた。でもあの人が現れて、二人と向き合おうと努力してる。その努力が、君に対しては足りなかったのかな。」
「そうそう。私に対する気持ちなんて、もっと強いはずなのにね。コスプレエッチさせたり、君も案外変なところは素直なのに、気持ちの部分だけスルーできるって、ちょっとした才能だよね。」
「まあ、男の本能で言えばだよ。君のほうがやっぱり性的かなって思う。僕はあの人が好きだけど、君とは、別にいかがわしいこともしたいし、いろんな君を見てみたいと思ってるんだよ。でも、そんな人間が親でいいのかなって思う。」
「親って考え方を、その時だけ捨てればいいんだよ。おねえちゃんも言ってるけど、シーンに合わせてスタンスを変えるって、君には難しいのかもしれないけど、そこはもっと柔軟に見てくれていいんじゃないかな。」
そう言うと、顔をぐっと近づけてくる。おでこが触れるぐらい。
「今の私、君にはどう見えてる?」
「僕の...恋人?そう思えばいい?」
「さすがに正解。できるじゃん。君は、そういうところを、おねえちゃんと私で、色々切り替えながら生きることを望まれてるの。おねえちゃんの旦那さんであり、おねえちゃんの恋人であり、私のオトーサンであり、私の彼氏。そういう役回りを切り替えながら、うまく立ち回らなきゃいけないの。これが、君に課せられた、私達からの使命みたいなものかな。偶然だけど、おねえちゃんとはうまく切り替え出来る。あとは、私に対してスタンスの切り替えができれば、私の自慢の彼になる。」
「僕は君の彼氏になれると思う?」
「思う?じゃなくて、なって欲しいの。前から言ってるけど、本当、そういうところなんだよね。君の悪いところ。もっと自信を持って、私の彼氏と言ってほしいの。」
「君の彼氏か。僕はあんまり考えてなかったけど、君がそう望むのなら、必ず期待に応えるように、考えていくよ。」
「そう。それがわかることが出来たら、私へのプレゼントはもういらない。君自身が空いた穴を埋めてくれるだけでいいんだよ。」
「うん、頑張る。頑張るとしか言えないのが情けない。けど、君にふさわしい男にならなきゃ駄目だよね。」
そう言いながら、思わず涙ぐんでしまった。なんとも情けないけど、これも、僕が二人にふさわしい男になるためには、必ず通らないと行けないことなんだと思うようにする。
「あら、話し合いは済んだのかな。」
「えへへ、オトーサン、今度ホテルに連れてってくれるって。」
「言ってみるものね。あなたみたいな不器用さんが、どういう風の吹き回し?」
「色々教えてもらった。あなたにも、いつも自分の気持ちが伝わりきれなくて、ごめんなさい。」
「え、なんで謝ってるの?私は、そういうところも知ってるから、あなたが行き詰まったときには、あなた自身で解決して欲しいだけかな。今日は助言もいっぱいもらえただろうし。」
「オトーサン、シャワー行ってきなよ。明日もまた出勤なんだから、急いだほうがいいよ。」
そうやって、素直にシャワーを浴びることにした。今考えてもしょうがない。二人に、それぞれ恋人としての時間も作ろう。そうやって、生きていこう。そう、思った。
「内心、もっと強く言うのかと思ってた。」
「どこからか聞いてたね?全く、おねえちゃんのそういうところ、ズルいよね。」
「あなたの気持ちの強さ、私も正直ちょっと測りかねていたの。それが知れたのは良かった。あなたには、彼を任せられるよ。」
「え、それってどういうこと?」
「二人でまたデートなり、恋人らしいことをしてもいいよって。なんか、それを家族公認にしちゃうのはちょっとと思ってたけど、若い人の気持ちは、抑えちゃいけないと思ったかな。あなたが好きなように、彼を振り回す日がたまにはあってもいいよってこと。だけど、一つ条件がある。これだけは守って欲しいの。」
「なになに?必ず守る。」
「前に、あの人との子供の話があったじゃない。別にエッチしちゃいけないとは言わないし、あなたのほうが体力もあるから、あの人も面白いと思うの。でも、子供が出来るのだけは避けて欲しいの。理由は、この前話した通り。念のため、私達は避妊してるけど、特にあなたにはそこを必ず守ってほしいの。大人の女としての約束。守れる?」
「避妊は必ずするようにします。最悪の場合も考えて、アフターピルも飲みます。だから、彼を私に任せてください。」
彼女はちょっと考える素振りを見せたが、ハナから答えは決まっている。
「わかった。私達が本当にもう少し若かったら、こんなことも考えなかったけど、親の世代の私達の責任。一番望んでいるあなたにそれを強要しちゃうのは、本当に申し訳ないと思ってる。」
「そうじゃないでしょ。三人で決めたことだから、私もその責任は負うことになってるのはわかってるから。その上で、オトーサンといろいろなところに行こうかな。」
「あ、普通のデートもするのね。もしかしてあなた達、一緒に暮らしてきて、お出かけはしてるけど、デートっぽいことはしたことがほとんどない?」
「ないんだよね。だから、オトーサンとどっかに行くってことが、あんまり想像出来なくてさ。」
「一つだけ教えてあげる。つまらないよ、あの人。でも、なんか期待してないから、意外なことをしてくれるのよね。そこがいいところかもね。」
「それも知ってる。おねえちゃんと喫茶店に毎週通ってた頃のオトーサン、真面目に過ぎなんだもん。ただ会って、笑えばいいだけなのにね。」
彼女たちはお互いに笑いあった。二人共、彼のことを愛しているから、今までの生活で、彼のおかしなところも期待値込みで理解してくれている。それを知るのは、もっとあとなんだけどね。
「いい誕生日プレゼントだった。もっとワガママ言うけど、見捨てないでね。」
「あなたのワガママ。彼の行動に比べたら、別に驚かないから。大丈夫。あなたは私なんだから、もっと自信を持って、楽しく暮らそう。」
僕が知らないうちに、プレゼントをあげていたのには気づかなかったけど、お互いに思うことを知れたのは本当に良かった。それを知っても、やっぱり僕はあなた達が好き。
今日はこの辺で。