ゴブリンとの戦い
皆で倒したゴブリンの死体を見ながら俺は疑問に思う。
「ゴブリンの死体ってどうするんだ?」
「魔道具の素材になりますな」
「そうか魔獣は魔道具になるんだった」
ゴブリンなんて食べたくはないと思ったが、魔道具になるのなら持って帰る意味はある。皆でゴブリンを回収していく。
「十五匹か。思った以上に居たな」
「数の割には簡単に倒せましたな」
「俺たちは魔法使いが多いからかな?」
「かもしれませんな」
魔法使いが居ない場合は、ゴブリンまで辿り着いて倒すのは難しそうだ。
「普通の冒険者は、どうやって倒しているのかな?」
「分かりませぬな。拙者なら魔法格闘術で魔法が当たっても無視して進めますがな」
「フレッドは流石だな」
「いや、エド殿もできますからな?」
「そう言えばそうなのか。普通の冒険者のことはライノにでも聞いてみようかな」
「それが良いと思いますな」
ゴブリンが思ったより簡単に倒せてたので、少し気が緩んでいる自覚はあるが、奥に進む自信がついた。
「ベス、思ったよりいけそうだね」
「確かにそうですわね。ダンジョンに潜るとお母様に言ったら、念を押されたので注意しすぎましたわ」
「トリス様が注意する理由も分かるけどな。階段横に居たゴブリンは予想外だったし」
「それはそうですわね。私もあんな場所にいると思いませんでしたわ」
フレッドはよくあのゴブリンに対応できたものだ。
「フレッドはよく反応できたね」
「拙者もここまで来るのは初めてなので、先頭なのもあって気を張っていましたからな。普段だったら気づかなかったかもしれませぬ」
「フレッドもここまで来るのは初めてだったのか」
「拙者は一緒にダンジョンに行っていたのが兄上だったので、ここまで来れなかったのですな」
「後継ぎは緊急時以外はダンジョンの奥にいかないって決まりがあるからか」
「そうですな。なのでゴブリンとの戦闘も初めてでしたな」
フレッドは落ち着いて対応していると思っていたが、ゴブリンとの戦闘は初めてだったようだ。
皆の怪我の有無を確認した後に、俺は先に進むか確認する。
「怪我もないようだし、先に進もうと思う」
「分かりましたわ」
皆でダンジョンを進み始めると、意外な事に直ぐにゴブリンと出会うことは無かった。
「もっと高頻度でゴブリンと接敵すると思ったんだけど、そうでもないんだね」
「拙者が聞いたところによると、ゴブリンは群れで行動するので、リスポーンしたとしても徐々に集まって群れになると聞きましたな」
「集まって行動するからゴブリンが全く居なくなってしまう場所があるのか」
森でもゴブリンは似たような行動をすると聞いたことがある。ゴブリンの行動は、ダンジョンとは言え変わらないのか。というか、ゴブリンもリスポーンするのか。
「ゴブリンもリスポーンするんだ」
「しますな」
「ダンジョンを管理できるならリスポーンも消せないの?」
「リスポーンが消せるか詳しい方法までは伝わっておりませぬが、消したりする修正するより、追加する方が簡単だと言われていますな」
「魔獣が溢れた混乱期を収束させたのは、ダンジョンに新たな構造を追加をして魔獣を閉じ込めたのか」
「どのように追加したかまでは伝わっておりませぬが、その通りだと思われていますな」
フレッドと会話をしながら進んでもゴブリンは現れる様子がない、ドリーが俺に声をかけてくる。
「にーちゃ、飛んでも良い?」
「確かに広くはなったから飛べそうだけど、ゴブリンが魔法撃ってくるから危ないんじゃないか?」
「ドリーは、飛びながら魔法を使えると思う」
「二つ同時にか、難しそうだけどできる?」
「リオと練習してたの」
「二人で練習してたのか。なら飛んでも良いけど、危ないと思ったら降りるんだよ。高さがそんなにないから、魔法に当たるより痛くなさそうだし」
「うん!」
迷ったが天井の高さが以前の洞窟よりないので、咄嗟に杖から飛び降りたとしても大きな怪我はしないだろう。俺が許可を出したことで、ドリーとリオが飛び始めた。しばらく歩くとゴブリンが見える。
「ゴブリンだ」
「拙者が前に進みますな」
ゴブリンも気付いたようで、フレッドが前に出ると威嚇して声を出すと、仲間のゴブリンが出てきた。
「今回もゴブリンの数が多いな」
「そうですな。ですが、拙者はやる事は変わりませぬ」
魔法の制御を奪いながら前に進んでいると、矢が飛んでくる。咄嗟にドリーとリオに注意をする
「ドリー! リオ! 矢だ!」
俺の声にドリーが反応したのか、矢の前に氷を作って受け止める。
「にーちゃ、大丈夫」
ドリーは飛びながら別の魔法を使いこなしているのか、安定して魔法を使用している。
「魔法より矢の方が面倒とは思わなかった」
「矢は制御を奪えませんからな」
「魔法で一気に片付けるか?」
「魔力の無駄遣いになりますな」
フレッドと作戦を考えながらゴブリンに近づいていく。今まで魔法の制御を奪っているだけだったリオが、魔法をゴブリンの中に使った。
「弓を持っていたゴブリンを倒しました。あの群れでは一匹だけだったようです」
「飛んでるから奥を狙えたのか」
俺から見ると弓を持ったゴブリンは魔法を当てられるような場所に居なかったが、飛んでいるリオからなら攻撃できたようだ。
フレッドがゴブリンまで接近して、接近戦を始めた。俺やベスも魔法格闘術に切り替えてゴブリンを倒していく。
「今回は前回より数が多そうですな。拙者が接近する前に倒しきれませんでしたしな」
「そうだね。というか接近するとゴブリンは意外と弱いな」
「身長が低めですからな。筋力も少ないのだと思いますな」
「確かに身長は、ドリーやリオとそう変わらないか」
魔法や、道具を使ってくる分恐ろしいが、戦った経験が少ないのかゴブリンの攻撃は単調だ。俺はテレサさんから鍛えられた経験があるので、簡単に避けれるし隙を突いて反撃できた。ただ、弓を持ったゴブリンには焦った。ドリーとリオはうまく対応していたので問題無かったが、飛んだまま行くのはどうするか迷う。
「ドリー、リオ、矢は危なく無かったか?」
「上から見ると構えるのも見えたので、そこまで危ないとは思いませんでした」
「リオ、下から見たのとは違うから意外と余裕があるのか」
「そうです。なので後回しにしてしまいましたが、弓を射る前に倒した方が良かったですね。当たり前の事ですが、矢は制御を奪えませんから。魔法の制御を簡単に奪えすぎていたようです」
どうやらリオはゴブリンの魔法を簡単に奪えすぎたことで、矢もどうにかなると勘違いしてしまったようだ。今回で矢に対する警戒はできただろうし、様子見をししつ空を飛んでいて貰うことにしよう。
皆で倒したゴブリンを収納の魔道具で回収すると二十匹居たようだ。
「二十匹は多いな。でも結構な距離ゴブリンが居なかったのも、これだけ集まればそうなるのか」
「そうなると、次のゴブリンも遠そうですな」
「今日は流石にゴブリンより強い魔獣と戦う気はないけど、ゴブリンより強い魔獣がどの辺りから出るか分からないからどうしようかな」
俺が進むか迷っていると、アンが話しかけてくる。
「エド、進むか迷うようなら鉱石を採掘してきてみても良いですか?」
「採掘か。薬草とかも採取してないし、やってみようか」
「見える位置に有るので掘ってきます」
「分かった。皆で警戒しておくよ」
アンがダンジョンの壁を登って採掘し始めた、俺たちは周囲を警戒しているがゴブリンがやってくる様子はない。
「これだけ音を立ててるのにゴブリンが来ないって事は、次のゴブリンまで距離がありそうだ」
「フレッドが言ったように、ゴブリンは群れを作る習性が本当に強いみたいですわ」
「そうみたいだ。緊張感を保つのが難しいけど、一度倒せば休憩できるって事でも有るから助かるか」
「エドの言う通り、休憩をするのには良さそうですわ」
アンが鉱石を掘り終わったようで、降りてくる。
「エド、鉱石自体も違うものでしたが、宝石のような物まで出ていました」
「宝石?」
「これです」
鉱石が違うのも気になるが、宝石の方が気になってアンに聞くと宝石のような物を見せてくれる。
「宝石に見えなくもないけど、まだ原石に近いね」
「磨けば透明になりそうではあります」
アンの言う通り磨けば宝石のように綺麗になりそうだが、今はすりガラスのように曇ってしまっている。
「磨けば宝石になるのか、他に使い道があるのか、帰ってからジョーに聞いてみよう」
「分かりました」
アンの採掘した鉱石を拾い集めて魔道具に収納すると、次のゴブリンに向かいつつ採取や採掘して歩いていく。アンが採掘していると音に反応したのかゴブリンがやってきた。
「ゴブリンですな。アン殿! ゴブリンが来ました!」
「降ります」
アンが降りられるように皆でアンを守りつつゴブリンと戦う。天井の高さはそうないのでアンもすぐに降りてきて戦闘に参加する。アンを狙おうとしたのかゴブリンは近づいてきていたので、俺は剣で戦っていく。接近戦をするフレッドは戦いやすいようで、皆の盾役をしつつゴブリンを倒していく。
最後の一匹まで倒し切るとゴブリンを回収しつつ休憩する。
「今までとゴブリンの行動が少し違ったね」
「鉱石を採掘する音でゴブリンが興奮していたのかもしれませんわ」
「ベスの言う通りかもしれない、魔法をあまり使ってこなかったし、ゴブリンから俺たちに近寄ってきてたから」
「後は、大きな音が苦手なのかもしれませんわ」
「静かなダンジョンで、採掘の音は響くしうるさかったのかも」
後から思い出すと群れとしての統率された行動と言うより、単体で攻撃してきていたので、興奮したか、もしくは混乱して攻撃してきたのかもしれない。
「拙者は戦いやすかったですがな。ドリー殿とリオ殿は戦いにくかったかもしれませぬが」
「ドリー、狙われなかったから戦いやすかったの」
「ドリーの言う通りで、僕も狙われてなかったです。狙われていたのはどちらかと言うと、アンでしたね」
ベスの、ゴブリンは興奮していたという予想が当たっている気がし始めた。
「アン殿、なるべく守るように戦ったつもりですが大丈夫でしたかな?」
「ええ。途中から戦いに参加したという意味では、距離も近く戦い難くはありましたが、皆が守ってくれたので身の危険という問題はありませんでした」
アンが壁から降りてきた時には、ゴブリンはかなりの近距離に居たはずだ。アンがゴブリンから狙われていたとすると、遠距離での攻撃をするアンには難しい戦いになっていたようだ。
「採掘中に襲われると私は戦闘で役に立ちませんが、皆さんが戦いやすいのであれば今後も採掘を続けようと思います」
「アン殿、危なくないですかな?」
「ゴブリンから逃げようと思えば逃げられましたので、危なくはないと思います」
ゴブリンは単体だと魔法を使われなければ、オオカミの方が強い気もするし、アンなら確かに逃げ切れそうだ。ただ、以前の採掘した時のようにアンが疲れ切ってしまっては問題だ。
「アン採掘するのは良いけど、以前のように疲れ切ってしまったら戦えなくなってしまうし、疲れない程度にしよう」
「そうですね。ゴブリンより奥にも行きそうですし、疲れない程度にやろうと思います」
ゴブリンより奥に行くことにはなりそうだが、今日のところはそろそろ戻るべきだろう。
「今日はゴブリンより強い相手と戦う予定はないから、戻ろうと思うから帰りながら採取や採掘していこう」
「分かりました」
採取や採掘をしていると時間が掛かるので、進むとなったら回数を減らして進むことになるだろう。
湖の島まで戻って、船に乗って移動すると戦闘は最低限にダンジョンを出ることにする。ダンジョンに出た後で、ゴブリンをどうすれば良いのか皆に聞いてみる。
「ゴブリンってさ解体場に持ってくのかな?」
「そういえば知りませんわ」
「拙者も知りませぬ」
「私も知りません」
ドリーやリオが知っている訳もなく、皆知らないようだ。
「持って行って相談してみるか」
「それしかありませんわね」
解体場でギルド職員に相談すると、血の問題もあるし部位で魔道具作りに必要な素材が違うとのことで、解体をお願いして協会に運び込んで貰う。一応ゴブリンは食べれるのか聞いてみると、食べれるが食べる人は居ないと教えてくれた、魔獣としては例外的に美味しくないらしい。
「味を知ってるってことは、ゴブリンを食べた人もいたんだな」
「そう言えばそうですね。貧民街の人なら食べそうですが、炊き出しで出すのはちょっと…」
「そう言えば、炊き出しのお肉って足りてる?」
「一回に狩って行く量が多いので意外と足りてるようです。足りなかったらセオドアさんが買い足してくれるとは言っていましたし、ゴブリンの方が値段としては高いのでは?」
「そうかゴブリンも魔獣だから高いのか」
俺は前世の知識もあってゴブリンは雑魚だと思ってしまうし、見た目も魔獣ぽくないので、魔獣であることを忘れてしまう。
感想の返しを一時的に止めようと思います。
書き方を模索してしているのもあって、小説のストックが減り続けていて、今は書くことだけに集中します。
感想は読み続けますので頂けると嬉しいです。
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