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初めての魔法

 昼は過ぎてしまったが魔法協会に戻って来れたので、エマ師匠に戻って来たことを伝えるために部屋をノックすると返事の後ドアがあく。


「エマ師匠、戻りました」

「用事は全て済ませられました?」

「はい、薬師組合と冒険者ギルドに入れました」

「それは良かった」

「それで、この後はどうしますか」

「杖を頼んだ人が起きているといいですが、分かりませんね」

「部屋で待ってれば良いですか?」

「それでも良いのですが、お昼は食べましたか」

「一応屋台で少し食べました」

「まだ食べられるようなら食堂で食べましょう」


 俺は食べられるが、体の小さいドリーは食べられるか分からないので聞く事にする。


「ドリーは食べられるかい?」

「たべれる」


 ドリーの返事にエマ師匠が返事をする。


「では、行きましょう」

「分かりました」


 食堂に着くと量を少なめと頼んで空いてる席に座ると皆で食べ始める。食べつつ薬師組合と冒険者ギルドであった事をエマ師匠に報告していく。


「そうですか、薬師組合も冒険者ギルドも意外と入るのに条件があるのですね。知りませんでした」

「どちらも無事に条件を満たしたので、良かったです」

「そうですね、ただ冒険者ギルドは以前言った通り魔法を覚えるまでは街中のお使い依頼だけです」

「はい、ドリーも居るので約束は守ります」


 エマ師匠は俺の回答に満足した様子で頷いている。

 食事を終えるとエマ師匠は杖を取りに行って来るので部屋で待っているようにと言われ、食堂で別れると俺たちは部屋に戻る。

 少しするとドアがノックされて出ると、エマ師匠が杖を入れてるであろう箱を持って立っていた。


「魔法の練習をするので訓練場に行きます。付いて来てください」


 猟師のケネスおじさんも連れて行っていいか疑問に思って聞いてみる。


「ケネスおじさんも一緒で良いですか?」

「問題ありませんが、訓練場で教えたことは秘密にすると約束してください」

「ケネスおじさん、どうする?」


 ケネスおじさんは疑問に思ったようでエマ師匠に質問している。


「一つ聞いていいか。ワシは魔法が使えないので教えられたことをしても意味がないんではないか?」

「ケネスさんが試す分には問題ありませんが、誰かに教えた場合に相手が才能があって魔法が使えた場合は、最悪の結果になります」

「そう言うことか、分かった誰にも言わない秘密にしよう」

「助かります」


 少し前まで魔法があることすら知らなかったし、魔法があると言われ使い方を知っていると教えられたら試してみたくなっただろう。

 更に俺は地球の知識が有る分知ってしまったら試してみたくなったはずで、試していたら死んでいたかもしれないと思うと怖くなってくる。


「それでは行きましょう」


 エマ師匠が歩き出したので付いて移動すると外に出たが、高い塀に囲まれている不思議な空間に辿り着いた。


「此処が訓練場です。周囲を高い塀で囲んでいるので外から盗み見られることはありませんし、塀自体が魔道具なので魔法が外に飛び出すことは時々しかありません」

「時々って飛び出すことがあるんですか?」

「あまりにも大規模な魔法を使うと塀の耐久度を超えて外に飛び出します」


 中々怖いことをエマ師匠が言うので顔が引き攣る。


「それって大丈夫なんですか?」

「塀が壊れた時点で魔法を中止するように言われているので今のところは、人が死んだなどは聞いたことがないです」


 大丈夫の範囲が人が死んでいるか死んでいないか、なのは中々怖い。


「ちなみに、どのくらいの頻度で塀は壊れるんですか」

「半年に数回なので、一ヶ月に一回有るかないかでしょうか」


 思った以上の回数壊れているので引いていると、エマ師匠がそんな俺をみて訂正してくれる。


「攻撃的な魔法は外でやるように言われているので、訓練場を壊すような魔法は大規模な建築関係とかが多く、魔法が予想以上に範囲が広かったとかで飛び出てしまうのが殆どです」


 そう言えばターブ村のウォルター協会長が、自然流派は大規模な魔法が得意で都市設計や建設が得意だと言っていたのを思い出して、納得していると。


「それでは、まずは杖を渡します」

「つえ!」


 喜んでいるドリーにエマ師匠は杖を渡すと、ドリーは興奮している。


「エドもどうぞ」

「ありがとうございます」


 貰った杖を見ると、木製で意外と小さく三十センチほどの大きさだった。


「大きな杖は邪魔になるし魔法に慣れたらしっかりした作りの杖を作るから、杖は使い潰して大丈夫」

「使い潰すって、杖は壊れるんですか?」

「高級な素材を使った杖は一生物だけど、渡した杖は素材がそこまでで、更に魔法を制御することに特化させてる分脆いの」

「そうなんですか」


 魔法を使ったことがないので、杖がどう壊れていくか想像が付かず杖を見回してみる。


「それは新品だから問題ないですよ」

「問題ないのは分かるんですが、どうやって壊れるんだろと思って」

「その杖だと木だから裂けてきますね」

「なるほど」


 俺が納得するとエマ師匠は自分の杖を取り出し。


「それでは魔法の訓練をします。最初に魔法を発動させるのに必要な魔力を感じられるようします。私に触れた状態で私が魔法を発動させるので、魔力を感じられるように意識してください」


 エマ師匠に杖を持っている手を触っているように言われて、俺とドリーは言う通りにする。


「魔力を感じられたら教えてください」

「分かりました」「はい!」

「それでは発動させます」


 そう言うと呪文などなしに杖の先にある空間に水の玉が浮かび上がり驚いていると、エマ師匠を触っているとこから違和感を感じる。


「エマ師匠、薄ら違和感を感じます」

「違和感がはっきりして来るまで集中してください」

「分かりました」


 エマ師匠に言われた通りに集中していく。


「ドリーはどうですか」

「んーなんか感じるけど、んー」

「ならはっきり感じられるまで集中してみてください」

「はっきりはしてる…」

「それなら良いですね」


 エマ師匠とドリーの会話しているのは分かるが、内容までは頭の中に入って来ない程に集中していると、はっきりと分かるようになってきた。


「エド、どうですか」

「分かるようになりました」

「では魔法を消します」


 エマ師匠は今まで出していた水の玉を消した。


「魔力を感じられるようになったのなら、私の魔力が感じられるようになっていると思います。分かりますか」


 エマ師匠に言われて気づく。エマ師匠から魔力が出ていることと、ケネスおじさんからは魔力を感じられないことに。


「エマ師匠の魔力と、ケネスおじさんが魔力がないのが分かります」

「なら成功ですね。ドリーはどうですか?」

「ケネスおじちゃんと、エマししょーが違うのはわかる」


 ドリーは何か納得しきれていないような表情をしているので、本当に魔力が感じられているか俺も不安になるエマ師匠も同じようで。


「ドリーとりあえず先に進みましょう。わからなければ最初からやれば良いですから」

「うん」


 エマ師匠は、とりあえず先に進めることに決めたようで続けて説明してくれる。


「次は魔法を使うことになりますが、私と同じように水を出すようにイメージして魔力を杖へと移動させてください。水以外を想像しないように、火だと火傷で風だと吹き飛んだりしますので」

「「はい」」

「以前言った通り魔力を使い切るつもりで全力で魔法を発動させてください。発動が成功すると大量の水が出て来るので、水が出たら私がいいと言うまで維持した後に消してください」

「消せなかったらどうなるんですか」

「その時は私が消すので安心してください」

「分かりました」

「最初にエド、次にドリーの順番で一人ずつやります」

「はい」

「にーちゃ、がんばって!」


 応援してくれるドリーに頷いて、杖を構えて集中して先ほどエマ師匠が発動していた水の玉を想像しながら、全力で魔力を杖に移動させようとする。中々移動しない魔力に集中が切れそうになりながら続けていると、過去の記憶がよみがえってくる。



『ここは?』

『君は死にました』

『は?いやあんた誰だ?』

『僕はショッツっていう、神みたいなもんさ』

『神?』

『神では無いんだけど、似たようなものさ』

『神様みたいなのが、俺に何のようなんだ?』

『頼みを聞いてくれれば管理している世界に転生させるよ』

『頼み?』

『そう神ぽいのからの頼み事さ。胡散臭いだろ。どうする?』

『聞きたいんだが、特典をつけて転生させてくれる?』

『死んだのが生き返れるんだから十分だと言いたけれど、頼み事をするのだから色々才能を付けておくよ』

『おお!魔法とかも有るのか?』

『勿論あるよ。魔法は人に教えてもらう必要があるけど、手順は知識として入れとくから』

『楽しみだ』

『他にも必要な知識は入れておく』

『助かる』

『それじゃ、この条件で受けてくれるかい?』

『先に頼み事の内容を聞いてもいいか?』

『それもそうだ。頼み事は…』


 エドワードになる前の神らしきものに会った記憶がよみがえってきた。今まで会ったと言うぼんやりした記憶しかなかったが思い出してきた。

 話から神の頼みを受けて転生したのだろうかと、続きを思い出さないかと待っていると、エマ師匠の大声が聞こえてくる。


「エド!起きなさい!」

「はぃ、がはっ」


 エマ師匠に返事をしようとすると、肺に水が入っていたかのように咳き込んでしまう。


「治癒魔法をかけるので、すぐ良くなりますよ」


 エマ師匠の言葉は聞き取れなかったが、咳が急に治っていき何かされたことは分かった。


「エマ師匠、ありがとうございます」

「いえ、暴走を止めるのが遅れましたエドが無事で良かった」


 いつの間にか横になっていたようで咳き込んだ体勢から起き上がると、ドリーが抱きついてくる。


「にーちゃ!」

「ドリー、ごめん心配かけたな」


 泣いてしまったドリーを抱きしめながらエマ師匠に俺がどうなっていたのか聞く。


「エマ師匠、俺はどうなっていたんですか、途中から記憶がなくて」

「エドは魔法を発動させましたが暴走しました」

「そうなんですか。発動させた記憶もなくて」

「普通は発動させて暴走すると記憶が飛んだりするのですが、エドの魔力量は普通の人より随分と多いようなので、発動する前に魔力自体が暴走していたのかもしれません」

「魔力量が多くて、魔力自体が暴走ですか」

「魔力自体の暴走は私の予想なので、合っているか分かりませんよ」



「そうなんですか」

「ただ魔力量が多いのは事実です。魔法の範囲が広く魔法を消すまでに時間がかかってしまいました」


 エマ師匠には、神に会った記憶があると言いづらく記憶がないと言ってしまった。俺の魔力量が多いのは神からの特典なのだろうか?

 ぼんやり考え事をしてしまった俺にエマ師匠は。


「エドは魔力を殆ど使ってしまったので、あとは見学です」

「分かりました」


 ドリーが泣き止んだようなので、エマ師匠はドリーにできそうかと尋ねる。


「ドリー、魔法を使えそうですか?」

「うん」

「分かりました。では水の玉を思い浮かべて魔力を全力で杖に動かしてください」

「わかった」


 ドリーは杖を掲げると集中し始め数秒すると大量の水が周囲に出てくる。エマ師匠が止めに入る。


「ドリー魔法が発動しました止めてください!暴走していますね消します!」


 ドリーの魔法は止まる様子がなく、エマ師匠は自分の杖を掲げるとドリーが出した大量の水を消してしまう。

 エマ師匠はドリーが倒れないように支えると声をかける。


「ドリー、大丈夫ですか?」

「え?」


 エマ師匠がドリーに声をかけると、ドリーは杖を掲げたまま首を傾げている。


「ドリーは魔法を発動させたことは覚えていますか?」

「うん」


 どうやらドリーは魔法を発動させたことまでは覚えていたようで、不思議そうにしている。


「魔法が暴走しました。記憶はありますか?」

「えっと、魔法ができたと思ったらエマししょーが隣にいた」

「どうやら記憶が飛んだようですね」


 エマ師匠は一応治癒魔法をかけると言ってドリーに杖を向けて魔法をかけたようだ。ドリーの水を消した時には気づかなかったが、治癒魔法を使うときに魔力が動きエマ師匠が魔法を使ったことがわかった。


「ドリーもエドと同じようにかなりの魔力量ですね。覚悟をしていた分すぐに消せました」


 俺と同じようにドリーの魔力量も多かったと聞いて、俺が先に魔法を発動させたことでドリーが苦しまなかったことに安堵する。


「ドリーより先にやっておいて良かったです」

「エドも私の大事な弟子なのだから、先とか後とか関係なしに対処できなかった私が悪いのです」

「エマ師匠気にしないでください。治癒魔法もかけてもらいましたし。それにドリーに魔法をかけるときに魔力が移動するのが分かりました」


 エマ師匠が悪いのではなく神の記憶を思い出していた自分が悪い気がして、強引に話題を変える。


「もう他人の魔力の移動が分かるとは、次回は上手く魔法が発動できるかもしれません」

「普通はすぐ分かるものでは無いのですか?」

「そこそこ安定して、魔法が発動できるようになるまで分かりませんね」


 話題を変えるために出した話が意外としっかりした話だったらしい。それと同時に疑問が思い浮かぶ、エマ師匠は俺たちの魔法を簡単に消しているがどうやっているのだろうか。


「エマ師匠、質問なんですが」

「はい、何でも聞いてください」

「他人の魔法を消すのって簡単にできるんですか」

「相手が初心者であれば簡単にできますね」

「初心者だけなのですか?」

「魔法使い同士が戦うことも無くは無いですし、魔獣も魔法を使ってくるので対策をします。対策の仕方を今は教えると魔法を覚える妨げになるので将来教えます」

「分かりました」


 魔獣が魔法を使ってくるとは知らなかったが、魔法使い同士の戦いは確かにありそうだと納得しているとエマ師匠は。


「ちなみにですが、複数人で協力して魔法を発動させる場合もあって事前に条件を決めて、知っている人たちで発動させる大規模魔法もあります」

「聞いてるだけで凄そうですね」

「治癒流派はあまり使うことはないですが、自然流派は結構していますね。魔法が安定したら見学してみるのも良いでしょう」

「見学できるんですか」

「魔法使いなら見学は可能ですが、自然流派の複数人での大規模魔法は辺鄙なところでやったり、村や町からの依頼で行うので見学するのも大変ですね」

「えっと、生活が安定したら考えてみます」

「そうですね、その方が良いでしょう」


 エマ師匠の説明と俺の質問が途切れたところで、エマ師匠は俺とドリーを見て。


「それでは二人とも魔力がほぼ残ってないので、今日の魔法の練習は終わりです」

「「はい」」

「エドは土の上に横になってしまったので、お風呂にでも入って来なさい。今の時間は入れるはず」

「分かりました」

「それでは一度部屋に戻りましょう」


 手に持っていた杖をエマ師匠と同じように腰に挿し、同じようにドリーも腰に挿してやるが杖が少し大きそうだ。今はこれで良いとして後で何か考えるとする。

ワープロソフトで書いてなろうにコピペしてるんですが、なろうにペーストすると文字数が増えるので前作のSF小説から何故かと疑問に思っていたらワープロソフト側が語数カウントになってました…。

書き溜めしているので途中からですが一話あたり500文字くらいの文字数が減るかも知れません(今までが想定より多く5500〜6000文字近くあった)。

最後にやる気が出るのでブックマーク、評価、感想がありましたら是非お願いします。

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[気になる点] なんかいきなりセリフに句読点がなくなったり、空白がなかったりと読み辛くなった。 神様との邂逅での会話なんかが特に顕著かな。誤字脱字もあったし。 [一言] 妹の魔法発動時の描写が無理矢…
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