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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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王太子妃の治療

 騎士に通されて部屋に入ると中にはエマ師匠がいた。そう言えばエマ師匠と、ここ数日会えていなかった。

 俺たちはダンジョンから帰って報告しに行くと、エマ師匠は部屋にいなかったので、アンの装備をジョーと研究していた。俺たちは寝る前まで作業していたので、会う事なく数日過ごしていた。ドリーの風呂はアンが協会の風呂を気に入ったこともあり、ドリーとアンが一緒に入っていたので問題なかった。

 エマ師匠はかなり疲れているのか顔色が悪い。魔力が回復しきっていなさそうだ。エマ師匠は俺とドリーに気づいて話しかけてくる。


「エド、ドリーよく来ました。二人に魔法を使って貰いたく、ベアトリス様に呼んでもらったのですが、まさか薬を作ってくるとは」


 エマ師匠は俺とドリーの大量の魔力を当てにしたのかもしれない。

 今回作った薬は、簡単に作れる薬ではないので、薬を作って持ってくるとは思ってなかったようだ。


「偶然素材が手に入ったので作ってきました」


 俺とエマ師匠が会話をしていると、トリス様が止める。


「エド、先に王太子妃様を」

「分かりました」


 エマ師匠とは後で話すことにして、王太子妃様を診察することにする。当たり前のように通されたが、俺とドリーが診察しても良いのかと、若干戸惑いながら確認していく。

 診察をすると喋るのも無理そうで辛そうだ、薬の量を多めにしなければダメだろう。トリス様に診察結果を伝える。


「症状がかなり進行しています。薬の量は一本分全て飲ませるべきだと思います」

「やはりそうですか」


 俺の診察結果に、エマ師匠や周囲の人たちも同意する。

 だが一つ問題がある、薬を飲み込む力が有るかどうかだ。この世界で俺は注射に出会った事がない、そもそも薬が飲み薬なので飲ませるしかないのだが。


「一つ問題があります、薬を飲み込む力があるかどうかです」

「やはり、それが問題になりますか」

「はい、管を入れて無理やり飲ませる方法もありますが、負担がかかります」

「私も含めて、全員の魔力を使って大規模魔法で一時的に回復させます」


 俺は、この病気が自分の免疫から攻撃を受けることで発症していると思っており。その病状に、治癒の魔法が効果があるのか俺は疑問に思っている。


「それで回復しますか?」

「王都では一時的に回復はしたようです。ですが、再発して薬が無ければ完治は無理だと判断されました」


 病気の進行状態がどの程度で魔法を使ったのか分からないが、王都で一時的に回復をしているのなら、魔法を使うべきだろう。

 回復する可能性は高い方がいいので、俺も魔法に参加しようと思う。薬を飲ませるのはドリーにお願いしよう。


「分かりました。それならば薬を飲ませるのをドリーに任せ、俺が魔法を使います」

「ドリーが一人でできますか?」

「薬師として、ドリーは一人前なので安心してください」

「エドがそう言うのなら、任せましょう」


 トリス様が同意してくれたので、俺はドリーに声をかける。


「ドリー、頼めるか?」

「うん!」


 ドリーは返事をすると、薬を飲ませるのに必要だろうと、持ってきた道具を取り出して準備していく。


「準備できたよ!」


 俺はドリーの準備ができたと言うので、トリス様に魔法を使おうと提案する。


「トリス様、魔法を使いましょう」

「では、魔力量の多いエドが大規模魔法を、皆は魔力を分けてください」


 俺は順番にトリス様たちから魔力を受け取る。流石、王太子妃様の周囲にいる魔法使いで結構な魔力量だが耐えられそうだ。

 免疫が自身に攻撃しないようにしつつ、体力を回復させようと魔法を作り出す、魔法を作るのが大変だがなんとか出来上がった。


「ドリー、魔法の準備ができたよ」

「うん!」


 ドリーの返事と共に俺は魔法を発動する。回復したようで王太子妃様が呻き声をあげる。すかさず、トリス様が王太子妃様に声をかける。


「ルーシー、薬を飲むのです!」


 トリス様と王太子妃様は仲が良いのかもしれない、王太子妃様の名前だと思われる名前を叫んでいる。

 俺は大規模魔法を発動させたことで若干の疲れを感じつつ、ドリーの手伝いをする。


「処置は完了しました。あとは薬が効くのを待つだけですが」

「では、待ちましょう」


 一時間くらい見守っていただろうか、王太子妃様が声を出す。


「トリス」

「ルーシー、調子はどうですか」

「楽に…なりました…」


 特効薬だとしても一時間で薬が効くのは変だ。注射や点滴ではなく飲み薬なのに、薬の効果が出るのが早すぎる。何故だ?

 そして思い出す。そう言えば薬は二種類あった、ドリーは普通の薬か、魔法薬か、どちらの薬を飲ませたんだ?


「ドリーはどちらの薬を王太子妃様に飲ませたんだ?」

「魔法薬!」


 つまりこれは魔法薬の効果か。急いでいたから事前に相談するのを忘れていた。

 魔法薬にしたところで、薬の成分が変わるわけではないので、問題はないだろうが、最初から王太子妃様に試すのは心臓に悪い。

 トリス様と王太子妃様は会話をした後に、俺とドリーの会話が聞こえていたのか声をかけてくる。


「私もどちらの薬を使うのか伝え忘れましたね」

「魔法薬は思った以上の効果です。魔法薬にしても薬効が変わるわけではないので、こんな短時間で効果が出るのは魔法薬だからでしょう」

「これで早いのですか」

「はい、この病気は体内で自分自身を攻撃することで起きていると、俺は予想しているので時間がかかると思ったのですが」


 俺の説明にトリス様は不思議そうな顔で聞き返してくる。


「自分自身を攻撃ですか?」

「そうです。普通は病気の元に対して攻撃する筈が、攻撃先が自分へと変わってしまうのです。だから魔法で回復しても再発してしまうのでしょう」

「そんな事が?」


 トリス様は不思議そうにしているが、エマ師匠は納得したようだ。


「魔法を掛けても再発してしまう病気がありますが、そう言う事ですか」

「全てがそうだとは言いませんが、その可能性が高いと俺は思ってます」

「面白い仮説ですね。新しい魔法が必要になるかもしれません」


 エマ師匠は新しい魔法を作り出す気のようだ、いつか薬以外でも治せるようになるかもしれない。

 王太子妃様は徐々に回復していき、俺とドリーが居なくても問題無いくらいには回復したので、王太子妃様の薬師や魔法使いと交代した。

 トリス様はまだ部屋に居ると言うので、魔力が空になったエマ師匠と共に部屋を出る。


「王太子妃様が回復して良かった」

「しかしエド、よく薬を作れましたね。今アルバトロスの街中が、薬の材料を必死に探し回っていますよ」


 知らなかったがアルバトロスの街中で探していたらしい。俺たちはダンジョンとジョーの部屋を往復していただけだったから、知らなかったのかも。


「ダンジョンとジョーの部屋を往復してた以外、行動してなかったので知りませんでした」

「それだと、知る機会がないかも知れませんね。ですが、ジョーならもう少し早く知ってそうですが?」

「ジョーも今日知ったらしく慌ててました」

「ジョーは割と人と交流する方ですので、珍しいですね」

「珍しい鉱石が手に入ったのと、俺が色々頼んだので部屋にずっと籠ってたんです」


 俺の説明にエマ師匠は納得したようで頷いている。


「しかし、素材はどうやって手に入れたのです?」

「今日、ダンジョンでドリーが宝箱を見つけて、薬草が中に入っていました」

「すごい運ですね」

「俺もそう思います」


 エマ師匠はドリーの強運に驚きつつ、まだ素材が必要だった筈だと聞いてくる。


「もう一つ珍しい素材が必要だった筈ですが、どうしたのですか?」

「苔ですね。それは元々持ってたんです、ジョーに相談した時にエマ師匠も居た気が?」

「そうでしたか?」


 エマ師匠は覚えていないようだ。もしかしたらエマ師匠はドリーの相手をしていたかも知れない。ジョーの部屋で作業している時はエマ師匠は暇なので、ドリーの手伝いをしたり見守っているのだ。


「ドリーを見てて聞いてなかったんですかね?」

「そうかも知れません。もう少し早く知っていれば良かったんですが」

「どちらにしろ薬草がないので作れませんでしたよ」

「それはそうですが。苔を探しに遠方まで人を派遣していると思いますよ」

「そう考えると、悪いことをした気分になりますね」


 アルバトロスは港町なので河川も有るが海が近いので、探している苔が生えるような環境ではない。そうすると結構な遠方まで騎士や冒険者を派遣したのでは。

 そんな事を考えていると、ドリーがリオを発見したようだ。


「リオ!」

「ドリー、お母様が治ったと聞いて」

「ドリーがなおしたよ!」

「ありがとう、ドリー」


 リオは泣きながらも嬉しそうにしている。

 俺としてはリオが王族だと知ってしまったため、声が掛けづらい。すると丁度ベスが通りかかり声をかけてくる。


「エド、ドリー、それにリオどうしました?」

「ベス。今、王太子妃様の治療をしてきたところなんだ」

「急ぎ呼ばれましたが、治療ということは治せたと言うことですの?」

「俺とドリーで薬を作ったよ」

「エドとドリーは薬を作れたのですか」

「うん」


 ベスも、俺とドリーが薬を作れたとは思わなかったようで驚いている。


「と言うことは早く行かないと、リオ参りますわよ」

「うん。ドリー、エド、本当にありがとう」


 ベスは急ぎ去ろうとしたところで、思い出したように俺に声をかけてくる。


「エド、明日は私の所にも来て欲しいですわ」

「えっと、明日は呼ばれてないけど?」

「え? 呼ばれてないんですの?」

「トリス様から何も言われなかったけど」


 ベスは、俺の返答が予想外だったのか固まった後に、明日も来るようにと言う。


「明日も来てください、お母様もお慌てになっているんですわ。私からお母様にも話しておきますわ」

「分かった」

「では、リオ参りますわ」


 そう言うとベスは急いで移動していく。

 リオってやっぱり王族なんだろなっと思いながら、俺はエマ師匠の顔を見ると引き攣っている。


「エマ師匠、リオってやっぱり王族?」

「私も挨拶しましたが、王太子の第二子で、王太子が国王になれば第二王子です」

「やっぱり」

「詳しくは明日ベアトリス様か、ベスから説明があると思います」

「はい」


 その後は何事もなく魔法協会まで帰れた。ジョーの部屋を尋ねるとアンとフレッドが居た。


「皆、治療は成功した薬はしっかり効いたよ」

「おお、それは良かったですな」

「うむ、薬はどっちを使ったんじゃ?」

「私も気になります」


 フレッドは普通に喜び。ジョーとアンは、魔法薬を使ったのか、普通の薬を使ったのかが気になったようだ。


「結局は魔法薬を使ったよ、急いでたから決める前に処置してしまった」

「なかなか豪快じゃな」

「俺が大規模魔法使って治癒をして、ドリーが薬を飲ませたから。ドリーに任せたらね…」


 効果が出るのが早かったし結局的には良かったのだが、王太子妃様に試すのは怖い。


「効果が出るのがかなり早かったから正解だったけど、相手が相手だったからね」

「同じ素材を使っておるんじゃ、効果はあるじゃろし問題はないじゃろ」

「そうは思うけどね」


 俺とジョーの会話中に、エマ師匠がジョーに話しかける。


「ところでジョー、協会に薬を作ったと報告しましたか?」

「あ、まだじゃ」

「急ぎ報告しましょう、皆が必死の形相で探し回っていますよ」

「うむ、魔法をぶつけられそうじゃ報告してくるぞ」


 ジョーはそう言うと部屋を出て行った。しかし、報告って何処にするんだろうか?


「エマ師匠、報告って何処にするんですか?」

「メガロケロス地方魔法協会長ですね」


 協会長と言われるとターブ村のウォルター協会長を思い出すが、協会がある場所なら協会長は居るのだろう。


「そうか、当たり前だけどアルバトロスにも協会長が居るんですね」

「アルバトロスの協会長は、メガロケロス地方を統括している協会長でもありますね。協会長は、エドとドリーにも関係ある人なので、今度挨拶しに行きましょう」


 俺とドリーに関係ある人?


「俺とドリーに関係ある人ですか?」

「そうです、会えばわかりますよ楽しみにしていて下さい」

「はい」


 報告する場所が近いのか、もうジョーが戻ってきた。


「ふう、皆が探しているのを知らなかったのと言ったら、怒られただけじゃった」

「薬を作り出しているのですから、それで十分ですね」

「エマもお疲れ様じゃな、ずっと辺境伯の屋敷に居たと聞いたぞ」

「そうですね。魔法薬で自分の体力を回復させたりして、魔力を回復し易いようにしていましたが限界でした」


 エマ師匠はかなり無茶をしていたようだ、ジョーも同じ意見だったようで心配している。


「無茶をしておったんじゃな。錬金流派の奴らでも魔法薬で体力回復するやつは中々おらんぞ」

「かなり無茶をした自覚があるので、魔法薬の効果が切れたら少し寝込むことになりそうです」

「ならワシがエマが寝込んでいる間、必要ないとは思うがエドとドリーを見てるぞ」

「エドとドリーは明日また辺境伯の屋敷ですが、ジョー良いのですか?」

「また行くんか、それなら話を聞いて来てエマに伝えるぞ」

「そうですか、確かに治療後の事が気になります。お願いします」


 どうやら明日はジョーが付いてきてくれるようだ。

物語上書く隙間がなかったので補足。

エドとドリーが診察しているのは、作ってきた薬と魔法薬以上の物を作れる物が他にいないので、診察もさせるべきだと言う判断。

薬を飲ませるのをドリーなのを周囲が止めなかったのは、そろそろ王太子妃が限界なため急いでいた。魔法薬を止めなかったのも同じ理由で、皆急いでいたため気付かなかった。

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[気になる点] >作ってきた薬と魔法薬以上の物を作れる物が他にいないので、  ◇ ◇ ◇  『物を作れる“者”』では?  あとがきは誤字報告の対象ではないので、こちらに…
[一言] 魔法って結局使い続ける事で練度が上がり、魔法の効力が上がるってのはないのかな?魔力量が多いからとはいえ治癒魔法歴が長い訳でもない主人公に大規模魔法を任せるの不安じゃないか?御付きの人も外見か…
[一言] ベスと知り合い炊き出しを始めたらフレッドと会ってアンと仲間になることができて採取ができるようになって、ドリーが空を飛べるようになって宝箱を見つけて、アンが問題なく宝箱を開けられて、入っていた…
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