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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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先客

 何と、ドリーが発見した穴の中には宝箱があったようだ。


「これが宝箱?」

「拙者も見た事は無いので絶対とは言えませぬ。ですが、宝箱は一度開けない限りは設置された場所から動きませぬ」

「それだと、この箱はフレッドが言った条件に当てはまっています」

「アン殿それと宝箱には、罠が有る場合も有りますので、無理に開けてはなりませぬ」

「分かりました。解除用の道具は有ったから使って開けてみましょう。一度降りて準備します」


 アンは降りてきて、道具を取り出すと靴を脱ぎ出す。


「不安定なので、足も使えるようにしていきます」


 アンは再び壁を登り始める。


「それでは開けます」


 解除中にアンが落ちてこないか、俺は確認しつつ見守っていると。


「これは思ったより簡単です。直ぐに開くと思います」


 アンがそう言った後に、本当に開いたようで。


「開きました、宝箱が移動できるようになったので持っております」


 アンが宝箱を持って降りてきた。


「これが宝箱です」


 アンが持ってきた宝箱は思ったより小さい物で、ドリーはそんな物が入った穴をよく見つけられたなと驚く。


「思ったより小さいね」

「そうなんです。だから私も最初は宝箱だと思いませんでした」

「なるほど」


 フレッドが宝箱の条件を知らなければ、無理やり開けていたかもしれない、危なかった。


「拙者も初めてみましたが、宝箱とはこのような物なんですな」

「さっきも言ってたけど、フレッドでも宝箱は見たことがないのか」

「宝箱を見つけられる確率は知りませぬが、かなり確率が低いでしょうな」


 宝箱は見つからないけれど、長くダンジョンに通っていれば、一回くらいは見るものだと思っていた。ドリーは元々運が良いが、宝箱まで見つけるとは…

 アンが宝箱をドリーに渡す。


「私は一瞬見てしまいましたが、最初に見つけたドリーが確認すべきでしょう」

「ドリー、見ていいの?」

「ええ。ドリーでないと、あの場所は見つける事はできませんでした」


 アンがそう言うとドリーは嬉しそうにしている。


「あけるね!」


 俺たちはドリーの後ろに周り、宝箱から何が出てくるか見ていると、薬草が出てきた。


「薬草ですかな?」

「おお!」

「一瞬だけ見えましたが、本物でしたか!」


 フレッドは薬草が何かわからなかったようだが、俺とアンは貴重な薬草だと分かったので驚く。

 フレッドが、俺にこの薬草は何かと聞いてくる。


「エド殿、これは何の薬草なんですかな?」

「珍しい薬に使う素材だよ。滅多に手に入ることがないんだ」

「それは凄いですな?」


 フレッドが良く分かっていない様なので、薬が何かを説明する。


「内臓や神経系が麻痺していき死にいたる病気、というか障害に使う薬なんだ」

「それは拙者も知っておりますぞ。これがその原料なのですか」

「滅多に見つからないから、俺も一度しか作ったことがないんだ」


 アンが驚いて、俺に聞いてくる。


「エドは、この薬草を使った薬を作った事があるのですか!」

「一度だけあるよ」

「アルバトロスでここ数年は薬が作られたとは、私は聞いた事がありませんよ!」


 そう言えばアンに俺とドリーの事情を説明していなかった。

 アンも仲間なのだから話しておくべきだろう、俺はフレッドに話をするから警戒して欲しいとお願いする。


「フレッド、俺とドリーの事情をアンに説明するから、誰か来ないか見ててくれないか」

「了解致した」


 アンが訝しげに俺を見てくるが、話を始める。


「アン、少し聞いて欲しいんだけど」


 事情を説明し終えると、アンは驚き納得した様子だ


「そう言う事ですか。貧民街での援助も納得が行きました」

「俺は魔法が使えたから救われたけど、貧民街には魔法が使えない似た様な境遇は多いだろ?」

「残念ながらその通りです」


 やはり貧民街は酷い場所のようだ。

 アンが、俺とドリーの秘密を人に話すとは思えないが、口止めをしておく。


「俺とドリーの出自は言わないでくれ」

「分かりました。秘密にします」

「お願いします」


 アンが秘密にしてくれると約束してくれた。

 俺はドリーに薬草をどうするか聞く。


「ドリーはその薬草をどうしたい?」

「んー、薬つくる? 宝箱はお母さんにお土産?」

「宝箱は好きにして良いと思う。薬は作っても良いけど、若干素材を買わないとダメだな」

「うん」


 アンが再び慌てて確認してくる。


「作れるのですか!」

「もう一個の採取するのが大変な苔は手持ちがあるんだ」

「驚きです。苔も滅多に手に入らないと聞きました」

「ドリーの友達に大きいトカゲが居るんだけど、トカゲの食糧だったんだよ。ドリーが分けて貰ってた」

「大きいトカゲ?」


 やはりドリーの友達はアンにも謎だったようだ、だが俺には他に説明のしようがない。


「うん、他に言いようが無いんだ」

「不思議な友達を持っていますね?」

「ドリーだからな」

「なるほど」


 ドリーだからでアンが何故か納得した様だ。ドリーが俺の友達も話し始める。


「にーちゃは、シカがともだち!」

「あれは友達なのかな?」

「ともだち!」


 昔助けたシカが俺に懐いたのだが、ドリーにも懐いていたので、どちらかと言うとドリーの友達な気もする。

 アンが呆れた様子で声をかけてくる。


「凄い生活をしていたんですね…」

「正直、俺とドリーは野生児みたいだったから」

「それにしては、二人ともしっかりしています」

「読み書き、計算は魔法協会で教わったから」

「協会?」


 俺が協会でも読み書きを教えている事をアンに説明すると、アンは驚いている。


「協会はそんな事までしてくれるんですか」

「アルバトロスだと別で教えてる場所があるから、協会で教わってる人は居ないけどね」

「魔法使いに教わるのは、私はちょっと畏れ多い気がします」

「みたいだね。以前もそう言われた」


 宝箱を見つけてしまったし、今日はどうするべきだろうか?


「それで今日は来たばかりだけど、どうする?」

「帰るべきでしょうな」


 フレッドが即答してくれる。俺も聞くくらいには帰るか迷っていたので、フレッドに同意する。


「そうだね。帰ろう」


 ダンジョンで見かける冒険者は、基本的に不干渉で挨拶くらいしかしないが、注意はすべきだろう。フレッドも同じような考えだったのか、俺に提案してくる。


「エド殿、魔法格闘術を使ったまま帰りませぬか」

「分かった。そうしよう」


 俺とフレッドは魔法格闘術を使い、ドリーが宝箱を袋の中に入れて、ドリーが飛んで持って帰る。


「流石に緊張しましたな」

「確かに。何もないとは思ったけどね」

「そうですな。アルバトロスの冒険者は言い方があれですが、行儀が良いですな」

「やっぱり治安が悪い場所もあるんだ」

「ありますな。どちらかと言うと珍しいですがな」


 治安の悪い場所は多いのかと思ったが、意外とそうでもないようだ。詳しく聞きたいが、今日は早く魔法協会に帰るため、さっさと馬車に乗って帰る。


「緊張するな」

「そうですな」


 何も起きないのは分かっているが、無駄に緊張している。

 協会へと帰ってくると、今日に限って受付に呼び止められる。


「エドワードさん、手紙が届いています」

「俺にですか?」

「はい」


 俺が手紙を受け取って差出人を見ると、トリス様になっていた。


「ありがとう御座います、受け取りました」

「いえ、仕事ですので」


 一度俺の部屋に戻ることにして、皆で移動する。部屋の中に入ると、俺は受け取った手紙を読む。内容は、俺とドリーがなるべく早く屋敷に来るようにとの事だった。


「トリス様が、俺とドリーになるべく早く屋敷に来るようにって」

「お母さん!」


 ドリーは喜んでいるが、俺としてはアンを協会まで連れて来ている事や、宝箱の件もありどうしようかと迷っていると、フレッドが行って来るようにと言う。


「エド殿、辺境伯からの呼び出しならば、すぐに行くべきですな」

「フレッド、だけどアンをどうする?」

「エド殿が時間がかかるようなら、アン殿は拙者が送って行こうと思いますな」


 フレッドがアンを送ってくれると言うので、トリス様の元へ向かうことにする。


「分かった。アン申し訳ないんだが、俺とドリーは辺境伯の屋敷に向かうよ」

「気にしないでください」


 宝箱の中身をどうしようかと思うと、アンが提案してくれる。


「薬草の保存はやっておきます」

「助かる」


 宝箱毎アンに預けて、俺とドリーは協会を慌てて出る。

 辺境伯の屋敷に着くと、メイドさんが出迎えてくれたが、いつもの部屋が使えないという。


「エドワード様、いつもお使いになっている部屋をお客様が使用していまして、ベアトリス様の予定が空くまで違う場所に案内します」

「お願いします」


 急いで呼び出されたが、トリス様は忙しいようで待つことになりそうだ。メイドさんに付いて歩いていくと、ガーデンテラスのような場所に案内されるが、先客がいる。


「あれ? 申し訳ない、この場所を使う予定でしたか?」


 先客が声をかけて来た。声の主を確認すると、ドリーと同じような年齢の男の子だった。

 メイドさんが非常に慌てた様子で謝罪している。


「お使いになられているとは知らず、申し訳ありません。違う場所に移動致しますので」

「いや。せっかくだから、一緒にお茶でもどうだい?」

「それは…」


 メイドさんは非常に困った様子だ。ドリーと比べて、非常にしっかり受け答えをしており、魔力もあるので貴族のご子息だと予想する。貴族であろう相手から、友好的に誘われて帰るのも失礼になってしまう。

 先客は俺とドリーに声をかけてくる。


「初めまして。僕はリオと言います、お二人の名前を伺っても?」


 貴族の名前が無いのは変だ。あえてリオは偽名を名乗ってくれ、貴族としては対応しないと意思表示をしてくれたのだろう。俺はリオを貴族ではない普通の人として相手をする事にする。


「俺はエドワード、エドと呼んでください」

「ドリーは、ドロシーなの!」

「エドと、えっとドリー?」

「うん!」


 ドリーの名乗り方が独特な為に、困惑しているようだ。だがドリーへの返答で、そこまで警戒する相手ではなさそうだと感じる。


「それで、エドとドリーは、何故此処に?」

「いつも使っている部屋が空いてないと言われたので、待機するのに案内されていたところです」

「それは僕たちの所為だね。すまない」


 やはりリオは、今回辺境伯が連れてきた客人と関係があるようだ。


「待つだけなら何処でも構わないよ。リオ、気にしないでくれ」

「それなら待つ間に、少し話し相手になってくれないか。上手く事が運ばなくて、気分転換したいんだ」

「構わないけど」

「なら、是非座ってくれ」


 案内してくれたメイドさんを見ると、非常に動揺しており失敗したかと思ったが、引くに引けないので座る事に。

 座るとお茶を出され一口飲んだ後に、リオから声をかけられる。


「それで何故、屋敷に来たか聞いても?」

「トリス様から呼び出されたんだ」

「トリス様? もしかしてベアトリス様のことかい?」

「そうベアトリス様の事だよ。ベスと同じ師匠に魔法を教わっていて、トリス様にも良くしてもらってるんだ」

「なるほど。エリザベス様と兄弟弟子なのか」


 俺の説明に、リオは納得した様子で頷いている。

 俺からも話題を振ろうと、上手くいっていない事について、リオに質問してみる。


「俺からも聞いていいかな?」

「僕に答えられる事なら」

「答えられないなら答えなくて良いんだけど、リオが上手くいっていない事はなんなの?」

「ああ、それは別に話しても構わないよ。薬を探してるんだ」


 リオが探している物は意外な事に、薬だという。


「薬?」

「そう、薬です。特殊な薬なので、港街のアルバトロスならばと考え、探しに来たのです」

「どう言う薬なのか聞いても?」

「内臓と神経系が麻痺していく病気の薬です。珍しい苔と、珍しい薬草が必要だと聞きました」


 それはさっき手に入った素材で作れる物では? 俺が答えようとすると、ドリーが先に答える。


「ドリー、つくれるよ!」

「え?」


 リオが驚き固まっり、すぐにドリーに聞き返してくる。


「本当に作れるのですか!」

「うん!」

「作った事がある人が、ほぼ居ないと聞いていますし。素材が無いと聞いていますが、本当に?」

「ドリー作ったことあるし、さっき薬草をダンジョンで見つけたの!」


 ドリーが作った事があると、言うのが信じられないようだ。

 リオが、俺とドリーは、魔法使いでは無いのかと聞いてくる。


「お二人は、魔法使いでは無いのですか?」

「ドリー、魔法使いで、薬師だよ」


 俺は、ドリーの言っていることが本当であると、リオに伝える。


「リオ、ドリーが言ってる事は本当です。元々薬師だったんですが、最近魔法使いになったんです」

「それでは、本当に必要な素材があるのですか?」

「ええ。足りなかった薬草は、先ほどダンジョンで手に入れました」

「では、お母様は助かるかもしれない」


 どうやら病気になっているのは、リオの母親のようだ。

 リオがお願いしてくる。


「お願いがあります。薬を作って頂けませんか?」


 貴族であろうリオの母親ならば、魔法で延命されているだろうが、急いで作った方が良いだろう。


「分かりました」

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追記・修正

リオからお茶に誘われて断るのは失礼だと受ける

リオが貴族としてフルネームを名乗らないので、貴族として相手をしないように意思表示をしていると受け取って普通の人として相手をしている。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字報告になるかと思います。 リオが驚き固まっり →リオが驚き固まり
[気になる点] エドここまでは比較的思慮深い人間だったしメイドだって困ってるとこなのに、屋敷にこれなくなった原因であろう知らない人間と会話した挙句めちゃくちゃ情報渡すじゃん。 どしたん? 上位存在か眼…
[良い点] 話しがサクサク進むのは進展が早く楽しいです。 [気になる点] エドは貴族教育を受けていると以前に出ていましたが辺境伯の特殊な客に辺境伯家から紹介されたわけでもないのに気軽に同席したり、普通…
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