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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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魔法格闘術の練習

 昨日の空を飛ぶ魔法は楽しかったなと、朝起きてから考えていると、ドリーも起きてきた。


「にーちゃ。きのうの杖、ドリー使いたい」

「飛ぶのに使った杖か?」

「うん」

「良いよ」

「やった!」


 ドリーも空を飛んだのが楽しかったようで、杖をおねだりされた。俺が飛びたくなったら、ドリーから借りるか新しく作れば良いだろう。ドリーの杖もジョーに相談して、しっかりした物を作って貰っても良いかもしれない。


「ドリーは今日も、お母さんのおみやげ探すの!」

「そう言えば昨日は、ドリーが気に入ったものが無かったね」

「うん」


 ドリーは昨日、探し回っていたが結局気に入ったものはなかったようだ。


「今日もダンジョンに行きながら探そうか」

「うん!」


 ドリーもやる気の様なので、ダンジョンに行く準備をしていると、フレッドが訪ねてきた。

 いつものように、エマ師匠を呼びに行ったが部屋に居ないようだ。朝早くから出かけているのだろうか? 俺たちはエマ師匠不在で朝食を食べた後に、魔法協会を出た。


「フレッド助かったよ。今日は荷物が多かった」

「お気になさらず。アン殿の装備と、取り出す魔道具も有ったので、流石に一人では無理でしょうな」

「そうだね。一人だと何回か往復することになってたよ」

「仲間なのですから、手伝うのは当然ですな。それと馬車が大きいのを借りれて良かったですな」

「そうだね。今日も既に荷物が多いから助かったよ」


 協会に馬車の大きさを尋ねると、大きい方が余っているので好きに使って良いと言われ助かった。

 そういえば、馬車の御者を毎回頼んでいるが、自分で出来る様になった方が良いのだろうか。


「御者も練習した方がいいのかな?」

「協会の雇っている御者ですから気にする必要はないと思いますがな。気になるなら覚えても良いとは思いますが、拙者は馬が苦手で…」

「あれ? フレッドは乗馬が苦手なのか、俺は屋敷で乗馬も教わってるけど」

「ツヴィ王国も貴族は習いはしますな。ただ、魔法格闘術で身体能力を上げて走ると、馬と走る速度がそう変わらないのですな」

「そんなに速く走れるのか。それだと、乗馬があんまり重要視されないかもね」

「魔力の無駄遣いになるので、乗馬も覚えるべきなのですがな」


 相変わらず、ツヴィ王国の魔法使いは身体能力が恐ろしいな。


「そう言えば、エド殿も魔法格闘術をダンジョンで練習してみますかな?」

「少しやってみようかな。フレッド教えてくれるか?」

「拙者で良ければ、無論お教え致す」

「お願いするよ」


 アンと合流して、ダンジョンに向かいながら装備を渡していく。


「とりあえず短剣と、採掘道具を貰ってきたから使って」

「ありがとうございます」

「弓は魔道具を教わっている人の所に有るのを、選んだ方が良いんじゃないかって言われた」

「そうですか分かりました。それと、代金はどうすれば良いですか?」

「お金じゃなくて、鉱石を持って行けば良いと思うよ」


 俺の返答が予想外だったのか、アンが聞き返してくる。


「鉱石ですか?」

「そう。アンが高い場所で採掘した鉱石は珍しいらしくて欲しがってたんだ」

「確かに珍しい鉱石でしたが、珍しいなら採掘している人がいるのでは?」

「魔法使いが無理やり魔法で壊して取ってるらしいけど、粉々になって回収が大変だって言ってた」

「それは大変そうですね」

「だよね。だからアンが取ってくる鉱石は貴重みたい」

「分かりました」


 冒険者でも採掘している人は居るとは思う。だが高い場所にあるので、アンのような特殊な能力がないと、採掘は難しいのだろう。だからジョーも、自分の採掘道具を貸してまで、掘ってくる様に言っているのだろう。

 ダンジョンに着くと、アンは気合を入れている。


「上の方にある鉱石は見つけたら採掘しようと思うので、時間がかかると思いますが、よろしくお願いします」

「分かった。気にしなくていいよ、まだ様子見でもあるし」

「はい」


 今回はアンの弓も無いし、短剣だけで獲物を狩るのは現実的ではない。今日は連携の確認や、俺の魔法格闘術を練習すれば良いだろう。

 採掘しながらのんびりと進んでいくと、昨日と同じようにヤギがまた佇んでいる。


「ヤギは狩る人居ないのかな?」

「拙者達には丁度いいですし、色々試してみますかな?」

「そうしようか」

「せっかくなので、エド殿の魔法格闘術を練習してみませぬか」

「いいね。やってみるよ」


 フレッドの提案に同意して、魔法格闘術を発動しようとするが、フレッドの様にはすぐに発動できない。


「難しいね、やっぱり」

「エド殿はまだ二回目ですからな」

「それじゃ、やってみようか」


 俺は自分の剣を抜いて構えようとするが、フレッドに止められる。


「エド殿、その剣だと折れるかもしれませんな。拙者の剣を使ってみてくだされ」

「分かった」


 確かに俺が今使っている剣は、刀身が細めなので折れなくても歪みそうだ、フレッドから剣を借りて構える。


「危なそうなら拙者が盾で止めますので、好きに戦ってみてくだされ」

「うん、行きます」


 ヤギに向かって踏み込むと、力を入れすぎたのかヤギを飛び越えてしまう、慌てて戻るが、体が言う事を聞かない。ヤギと鬼ごっこをするように、走り回る様な状態が続いた。偶然剣がヤギを切り裂き、ヤギは息絶えた。


「難しいっ」

「最初はそんなものですな。壁に突っ込まなかっただけマシだと思いますな」

「確かに何回か壁に突っ込みそうになったよ…」

「突っ込む前に止まれているので、十分成功ですな」

「ツヴィ王国の魔法使いは、壁に突っ込んで覚えるって事?」

「大半はそうですな」


 俺は、ちょっとだけリング王国の魔法使いで良かったと思った。というか、ツヴィ王国の魔法使いは、壁に突っ込んで怪我をしないのだろうか。


「壁に突っ込んで怪我しないの?」

「しますな。魔法の使い方は、魔法格闘術より治療用の魔法が一番最初に上手くなりますな」

「なるほど…」


 それは非常に痛そうだ。俺は壁に突っ込まないように注意しないと。


「それでは次に行ってみますかな」

「ああ」


 他の獲物でも魔法格闘術を試して行くが、注意をしていたが結局、壁に突っ込んでしまった。とても痛かった…


「本当に痛かった…」

「こればかりは、どうしようもないですな」

「フレッドも壁に突っ込んでるの?」

「拙者は結構な回数突っ込んでいますな。獣人の身体能力なのか力が強い様でしてな」

「更には魔力が多いのも合わさってか」

「はい。ただ獣人の身体だからか、痛みはそうありませんでしたな」

「そう言うとこも強いのか、獣人凄いね」

「うむ、兄からは羨ましがられました」

「俺もフレッドが羨ましいよ」


 一度壁に突っ込んだ身からすると、痛みがそうないフレッドは非常に羨ましい。フレッドとそんな話をしていると、ドリーが話しかけてくる。


「にーちゃ。ドリー、飛びたい」

「そうだな」


 アンは採掘を、俺は魔法格闘術の練習で、フレッドは俺の付き合い、ドリーはする事がなく暇になってしまっていた。壁に突っ込んむ可能性がある、俺がやっている魔法格闘術を、ドリーにさせるのは流石にダメだろう。

 俺としては飛んでも問題ないと思うのだが、ダンジョンでの経験が俺より多いフレッドに危険がないか尋ねる。


「フレッド、俺は飛んでも良いと思うんだが。危険はないと思うか?」

「拙者も問題ないと思いますな。ドリー殿の魔力は非常に多いですし、上空からの方が敵を早く発見できるので有利になりますな」

「なるほど。今日は行くつもりがないけど、この次は草原になってるんだ」

「それなら練習しておいて損はないと思いますな」


 フレッドに聞いた限りだと、俺が思っていたより飛ぶことは意味がありそうだ。俺は、ドリーに飛んでいいと許可を出す。


「ドリー、飛んで良いよ。天井に当たらない様にね」

「うん!」


 俺と同じように、壁ではなく天井に突っ込んでしまうと、痛いと思うので注意をしておく、ドリーなら失敗するような事は無いと思うが。


 その後はドリーが飛んで獲物を見つけたり、見えない場所にあった鉱石ぽい物をアンに確認している。


「思った以上に飛んでるのは役に立つな」

「そうですな。拙者もここまでとは思いませんでしたな」

「鳥の魔物だけは注意しないといけないけど、ここで出てくるのなら問題は無さそうだね」

「ですな」


 それからも俺は何回か壁に突っ込みつつも、魔法格闘術が上手くなってきた気がする。


「フレッド、俺の動きが割と良くなった気がするけど、どう?」

「最初に比べるとかなり良くなりましたな」

「今日はこの位にしようかな。治してるから痛くは無いけど違和感が」

「急ぎすぎも良く無いので、その位で今日は終わりにしますかな」

「そうするよ」


 アンが集めていた鉱石も結構な量が集まったので、今日は帰ることにする。


「そう言えば今日も食べて帰る?」

「拙者は食べたいですな」

「そう思ってパン持ってきましたよ」

「アン、それは助かる」

「アン殿、感謝致す」


 肉だけ焼いて食べていたのでパンは助かる。ダンジョン近くでも露店があるのでパンは売っているが、高いので買う気がしないのだ。それに、食事をしにダンジョンに来ている訳では無いので、パンなど持ってくるのを忘れていた。


 ダンジョンの出入り口近くにある獲物を捌いていく。今日は小型の取り出す魔道具を持ってきたので、食べるものを選べる。

 ダンジョンから出ると、今日もまた凄い量を料理していく。量が多いので、焼くだけではなく煮たりしていく。


「そう言えばエド、薬草で焼くお肉を、炊き出しで出して良いですか?」

「良いけど、薬草使うと高くならない?」

「安いのだけ使いますので」

「そこら辺に雑草みたいに生えてるやつか」

「そうです」

「それなら好きにしたら良いよ」

「ありがとう御座います」


 フレッドが満足するまで食べた後は、解体場で魔獣の解体をお願いして、協会に届けてもらうようにお願いした後に、アンを連れて魔法協会まで戻ることに。


「ここが協会ですか」

「来るのは初めて?」

「はい」

「普段、用事がある様な場所じゃ無いもんね」


 治療費については実はそこまで高くは無いのだが、あまり訪ねてくる人はいない。

 協会の前で立っていても仕方がないので中に入ることにする。アンは、俺たちが住んでいる寮に入る許可証がないので、受付で発行して貰い奥へと進む。エマ師匠を尋ねると、まだ帰ってきて居なかったので、ジョーの部屋へと向かう。


「思った以上に広いんですね」

「そうだね。研究できるように、一部屋が広めになってるから」

「そうなんですか」


 ジョーの部屋に着くと、ノックをしてから声をかける。


「ジョー、居る?」

「エドか、とりあえず入るんじゃ」


 ジョーは部屋に招き入れてくれた、ジョーは早速俺に尋ねてくる。


「それで、今日はどうじゃった?」


 一瞬なんの事かと思ったが、ジョーが聞きたいのは鉱石の事か?


「もしかして鉱石の事?」

「そうじゃ」

「結構採掘してきたよ」

「おお」

「その前に採掘してくれたアンを紹介したいんだけど」

「おお、急ぎ過ぎていたわい。失礼じゃったな」


 ジョーが改めた様子でアンに挨拶している。


「ワシはジョセフ。ジョーと呼んでくれ」

「アンと言います。ジョー、よろしくお願いします」

「アン、こちらこそよろしく頼むんじゃ」


 アンとジョーの挨拶が済んだところで、俺はジョーに収納の魔道具を渡す。


「これが今日採掘した分だよ」

「おお、いっぱいあるんじゃな」

「アンが頑張ってくれたよ」

「これを使って何を作るか楽しみじゃ」


 ジョーが楽しそうにしていると、アンがジョーに尋ねる。


「これで魔道具のお金の代わりになるでしょうか?」

「ん、どう言う事じゃ?」

「お金の代わりに鉱石を持ってきたつもりだったんです」

「ああ、別に金はいらんぞ。だが鉱石は欲しいぞ」

「それなら今後も鉱石を持ってきます」

「無理せんで良いんじゃぞ。この鉱石を、この量なら結構な額になるんじゃ」


 アンが採掘していた鉱石は、ジョーが珍しいと言っていただけあり、高い鉱石みたいだ。


「それでも魔道具には足りないと思いますが?」

「この鉱石は時価みたいなもんじゃから、買おうと思えば買えると思うぞ」

「そうなんですか?」

「普段中々売りに出ないので、ワシみたいのが買い漁るから高いんじゃ」


 ジョーのような魔法使いが買い漁るのなら、それは高くもなるだろう。



「それは良いんじゃ。何を作る?」


 ジョーとしては興味のない話だったらしい。作るものはアンが取ってきたのだからアンの装備にしたいが。


「アンが頑張ったから、アンの装備を作りたいけど、弓なんだよな」

「弓か。流石に金属だと、ツヴィ王国の魔法使いでもないと無理じゃろ」

「ツヴィ王国の魔法使いなら使えるんだ」

「使えたはずじゃ」

「弓ですかな? 使える人は居ると聞きますが、拙者も実際に見た事はありませぬな」


 鉄の弓を引く魔法使いか、魔法を打ち出した方が早そうだ。だから魔法使いは滅多に弓を居ないのかも知れない。

 しかし鉄か。地球の知識で、合金を使ったコンパウンドボウが思いつくが、複雑だから作れるだろうか? 悩んでいるとジョーが話しかけてくる。


「エド、どうしたんじゃ」

「思いついた弓があるんだけど、上手く動作するか、そもそも作れるか分からなくて」

「それなら一度やってみるんじゃ」

「分かった。だけど先にアンが今使う弓を貰ってくよ」

「おお。そうしろ、倉庫のは好きに持っていっていいぞ」

「分かった。アン探しに行こう」

「はい」


 鉱石を楽しそうに並べているジョーを放置して、倉庫になっている部屋でアンの弓を探し行く。

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