記憶と記録
フレッドが満足するまで食べ終えた後に、解体場へと向かい処理をお願いする。
アンに明日からの予定を聞いておく
「アンは明日からどうする? 仕事もあるだろ?」
「私は好きに動くようにと言われたので、エドたちがダンジョンへ向かうなら行けますよ」
「そうなのか。なら調子が悪いとか無ければ明日も行こうか」
「分かりました」
魔獣に関しては前から持ち帰っていたが、普通の動物に関しても一部持ち帰る事にして、炊き出しに使って貰う事にする。
「アン、今日狩った動物の肉は炊き出しで使って欲しいんだけど、良いかな?」
「皆さんが良いなら助かりますが、良いんですか?」
「拙者は問題ありませんな」
「ドリーも!」
「分かりました。それならありがたく頂きます」
皆が同意したので、アンを送るついでに肉を持って行こう。
「それじゃ、アンを送るついでに肉を置きに行きたいんだけど」
「それなら私が炊き出しの調理をしている場所まで案内します」
「お願いします」
アンが必要な量を考えてくれ、フレッドが狩ったヤギを一頭そのまま持って行く事にした。解体されて、肉になったヤギを馬車に乗せる。
「流石に肉が邪魔だね」
「四人いるから狭いですな」
「次回から大きい馬車をお願いしようかな」
「協会に余っているなら、そうした方が良さそうですな」
「聞いてみるよ」
そう言えば今回はヤギを解体場で捌いて貰ったが、炊き出しの場所で捌けるなら収納の魔道具で持っていって、取り出した方が良いかもしれない。
「アン、炊き出しの準備をしている人で、誰か皮を剥いでいない状態の動物を捌ける人いる?」
「私もそれは分かりません」
「そうか。俺がやっていっても良いんだけど、収納の魔道具に入れたまま持っていけば、馬車で邪魔にならないかなって」
「そうですね。一度聞いてみます」
アンに案内されて炊き出しを準備する場所へと着くと、ヤギを下ろして持っていく。
「ここに置いてください」
「分かった」
「人がまだ居るようなので、捌けるか聞いてきます」
アンは別の場所にいる人に聞きに行って、すぐに戻ってくる。
「よほど変な物でない限りは捌けると言われました」
「それなら取り出す魔道具を持ってくるかな」
「はい、取り出す魔道具をお願いします」
「フレッドがダンジョンを出た後に大量に食べるから、小さい取り出す魔道具も作りたいな」
「確かに。小さい取り出す魔道具もあると便利そうですね」
「どちらも今日帰って確認してみるよ」
「エド、お願いします」
今日の今後やることも決まったので、アンを送って行った後は魔法協会に戻る。
「エマ師匠を誘ってジョーの所に行こうか」
「うん!」「了解致した」
エマ師匠を誘ってジョーの元に行く。
「ジョー、今日もよろしく」
「おう。装備はどうじゃった?」
早速ジョーの質問に、フレッドが今日使った感想を述べた。
「ふむ、やはり軽いんじゃな」
「はい、拙者にはもう少し重量が必要ですな」
「元になる盾がないので、一から作るしかないじゃろな」
「やはりそうなりますな」
「ならば金属から選ぶべきじゃろが、ワシもツヴィ王国の魔法使いが使うようなのは知らんからのう」
ジョーでもツヴィ王国の魔法使いが使うような金属は知らないらしい、それなら俺が地球の知識から何か探すべきだろう。
色々と知識から情報を引き出していて違和感を感じる、前世となっている自分はこんなに物を知っている人では無かったはずだ。違和感を感じて色々調べていると気付く、これは記憶というか記録なのでは? 普通思い出せないような事まで繊細に思い出せる。瞬間記憶能力に近いかもしれないが、前世の自分はそんな物なかった。
自分の勘違いに唖然とした。色々思い出してみると、違和感を感じるような状況は今考えるとあった。シャンプーとトリートメントを作り出した時は気付かなかったが、普通はシャンプーとトリートメントの成分なんて、成分が書いてあるラベルを見た程度では覚えていないだろう。だが俺は何の違和感もなく、前世の記憶から成分の情報を取り出していた。
「エド殿、どうされた?」
「いや、考え事をしていた」
「そうですか?」
「ああ」
俺が唖然として考え込んでいると、フレッドが心配してくれた。
「盾にいい金属はないかなと考えていたんだ」
「拙者の為にですか、感謝致す」
「また思いついたら話すよ」
「了解致した」
今ここで、これ以上考えても皆を不安にさせてしまうので誤魔化した。だがまた前世の事を考えそうになるので、ジョーに取り出す魔道具の作り方を教わる事にする。
「ジョー、取り出す魔道具の小さいのを作り方を教えてくれる?」
「構わんぞ」
ジョーの許可が出たので、俺は取り出す魔道具を作る事にする。素材をジョーが持ってきて作り方を教えてくれる。通常の取り出す魔道具同様に作り方は簡単で、あっさりできてしまった。
「簡単だね」
「土台がないだけじゃからな。取り出した物が地面に落ちる事になるから、必要なら敷物を持っていくんじゃぞ」
「そう言うことか。分かった準備していくよ」
狩った獲物はそのまま入れるから敷物はあまり必要ないかもしれないが、準備だけしておこう。
「今日はそれだけか?」
「いや、まだ相談したいことがあるんだけど、まずは鉱石かな?」
「鉱石まで取ってきたんじゃな」
「新しく入ったアンが鉱石を知ってて、取ってきたよ」
「そうか。それなら見せて貰うんじゃ」
ジョーに言われて鉱石を入れた収納の魔道具から、取り出す魔道具を使って鉱石を出していく。
「ふむ、普通のもあるが珍しいのも取ってきとるんじゃな」
「珍しいの?」
「ああ、ダンジョンの上に有って中々取れないんじゃ。錬金流派の魔法使いが欲しくて、魔法で壊したりして取って来るんじゃ」
俺には取るのが無理だと思っていたが、魔法で壊せば良いのか。
「魔法で壊せば良いのか」
「いや、効率が悪いのでお勧めしないぞ」
「そうなんだ。簡単に取れてたけど」
「うむ。魔法でも取れはするが砕けるんじゃ。集めるのが大変なんじゃ」
「それは確かに大変そうだ」
「じゃろ?」
それならドリーが言った飛ぶならどうだろうか。
「それなら飛んで取るのはどうなの?」
「飛んでじゃと? 考えたことは無かったが、力が入らんと思うぞ」
「鉱石を掘れるほど力が入らないか」
「じゃと思う」
俺が納得していると、ジョーは質問してくる。
「それで、これはどうやって掘ったんじゃ?」
「アンが登って取ってきたよ」
「登って?」
「普通そう言う反応になるよね。俺もそうだった。アンはヤモリの特性を持った獣人で壁に張り付けるんだ」
「壁に張り付けるなど、獣人でも初めて聞いたわ!」
「俺も驚いたよ。だから登って片手で鉱石を掘ってたよ」
「なるほど」
今回は短剣で掘ったので、次は道具を持って行った方が良いだろう。
「今回は道具がなくて短剣だったから、道具を作ってあげたいんだけど」
「ふむ。アンと言うのは、魔道具を嫌がっておった子かの?」
「そうなんだけど。今回のダンジョンで魔道具を持つことを了承してくれたから、魔道具を作ろうと思ってるんだ」
「了承したのか。ダンジョンは危険なとこじゃから、金で考えずに命を優先で行動した方が良いからの」
「俺もそう思う。魔道具を使う事を了承してくれて良かったよ」
「そうじゃな」
ジョーは再び鉱石を確認した後に。
「ワシが欲しいくらいの鉱石じゃからな。しっかり作れるんじゃが、エドどうする」
「それじゃ、ジョーにも鉱石を渡せるように、簡単に掘れるような物を作って貰おうかな」
「そうなると少し時間が掛かるんじゃ。とりあえず、ワシが使ってる道具の予備があるからそれを持ってけ」
「ジョーの道具って、そこまで高級品じゃなくても良いきがするけど?」
「ワシのも、採掘道具自体は消耗品じゃから気にするな」
「それなら借りてくよ」
「使い潰して良いぞ。使い潰すのが気になるなら、鉱石を持って帰ってくれば良いぞ」
「アンも使い潰すのは気にしそうだから、鉱石を持ってこようかな」
「ワシは嬉しいんじゃが、そこまで気にせんで良いぞ」
鉱石を採掘するのはアンに相談しないとダメだが、とりあえずジョーの道具を借りる事にしよう。
ジョーがアンの採掘道具を作り始めそうなので、慌てて飛ぶ為の魔道具についても聞く。
「ジョー、飛ぶ為の魔道具が欲しいんだけど」
「飛ぶ為の魔道具か。あれは作るのはそこまでじゃが、素材が大変でな」
「すぐには作れない感じ?」
「そうじゃな。素材を注文しとくといいぞ」
「分かった」
「後は、飛ぶだけなら大きい杖があれば飛べるんじゃ」
「そう言えば、フレッドもそんな事言ってたな」
「うむ。確かどっかに杖なら余っておったぞ」
「それじゃ、探してみても?」
「そうじゃな。好きに調べてくれ」
ジョーの許可が出たので俺は杖を探しに行こうと思うが、アンの短剣なども貰っていきたい。
「ジョー、アンの短剣も貰っていきたいんだけど」
「構わんぞ」
「後は、俺が使ってる弓より強い弓ってあるかな?」
「ふむ、有るかもしれんが。一度本人を連れてきて、合うものを探してみた方が良いじゃないかの?」
「そうかも。一度連れてくるよ」
「そうしておくんじゃ」
弓の強さはジョーの言う通り、アンが丁度いい物を選んだ方が良いだろうと納得する。とりあえず今はドリー用の杖と、アン用の短剣を探しに、ジョーの倉庫になっている部屋に入って探す。
「ジョー、とりあえず欲しいのは、これだけ何だけど」
「構わんぞ」
ジョーは俺が持ってきた物を、確認することもなく返事をした。
「後は採掘の道具も欲しいんだけど、どこに置いてあるか分からなくて」
「あー…どこじゃったっけ?」
「ジョーも分からないのか」
「うむ」
ジョーが少し探すと出てくる。
「これじゃ。持ってけ」
「ありがとう」
後は薬草だが今日はそこまで採取できなかった、同じように採取していた人がいたのかもしれない。
「薬草は少なかったから、魔法薬はもう少し溜まってからにしようかな」
「うむ、ワシは問題ないぞ」
「今日はこの位かな」
「そうか、ならワシは採掘道具の魔道具を作りたいんで一人にして貰っていいか?」
「分かった、採掘道具お願いします」
「任せておけ」
手伝おうかと思っていたが、どうもジョーがやる気になってしまったので、任せる事にする。
ジョーの部屋から出て、エマ師匠に飛び方を教えて貰えるか聞いてみる。
「エマ師匠、飛び方を教えてもらませんか」
「いいですよ」
杖が一本しか無く、俺よりドリーの方が飛びたそうだったので、ドリーのやる気があるのなら先に練習させたい。
「ドリー、杖で飛ぶ練習してみるか?」
「うん!」
ドリーはやる気のようだ、訓練場まで移動してエマ師匠に教えてもらう。
「飛び方は色々あるのですが、基本的には属性で言うと風を使います」
「風って暴走すると吹き飛ぶって言ってたやつですか?」
「そうです。制御を間違えると大変な事になるので、大きい杖を使い、細かい制御ができるようにします」
「ちなみに魔道具だと何が違うんですか」
「魔道具は、魔法を一定にする効果があります」
「杖とやってることは同じなんですか」
「そうです。ですが自分で制御をしなくて良いので楽なのです」
「なるほど」
ドリーもエマ師匠の説明で理解できたようで、練習してみるようだ。
「ドリー、注意する事は失敗して上空に上がりすぎても、急に下に降りてこない事です。上がりすぎてしまったら私が迎えにいきますので」
「わかった!」
「では私がお手本を見せるので見ていて下さい」
「うん!」
ドリーの返事を聞いた後にエマ師匠は宙に浮いた。
「魔法の説明が難しいのですが、魔力が動いているのが見えますか?」
「エマししょーの、まわりに回ってるの」
「そうです。ドリーは魔力量少なめから試して下さい」
「うん!」
エマ師匠とドリーは身長が違うため、エマ師匠と同じ魔力量だとドリーは吹き飛んでしまうのだろうと、俺は予想する。ドリーはエマ師匠の言う通りに、徐々に魔力を増やして行くと浮き上がり始めた。
「飛べた!」
「ドリー、上手ですよ。方向を変えると指向が変わるので、魔力量を調整しながら移動してみて下さい」
「わかった!」
ドリーは最初はゆっくりと確認していたが、徐々に動きが良くなり結構な速度で飛び回るようになった。
「楽しい!」
「ドリーは上達が早いですね。普通はここまで早く飛べませんが」
結構な速度でドリーは飛んでおり俺は危ないのではと思い始めたが、エマ師匠は気にした様子がない。
「エマ師匠、あの飛ぶ速度が速くないですか?」
「上に凄い勢いで飛び上がらない限りは制御できているので問題ありません」
「あれでも凄い勢いじゃないんですか?」
「消えたと感じますね」
「そんな速いんですか」
確かにそれに比べたらドリーは速いが普通に飛んでいる。ドリーは満足するまで飛び降りてくる。
「にーちゃ、楽しかった!」
「それは良かった」
「うん!」
ドリーは飛ぶのが気に入ったようだ。
「次は、にーちゃ!」
そう言うとドリーは杖を俺に渡してくる、俺は早速飛ぶのを試してみる。実は俺もドリーが楽しそうだったので、試してみたかった。
「行きます」
魔力を徐々に出して風で浮かぼうとするが、効率が悪い気がして重力を意識して飛ぼうとする。
重力を意識したからか少量の魔力で飛べ、思った以上に安定している。
「浮かびました」
「それでは移動してみて下さい」
俺は移動しようとするが、重力のため移動が難しい、これは失敗かもしれない。
「すいません。やり直します」
「はい」
俺は再び風を想像して飛び上がると、体を安定させる。安定したところで、他の方向へと移動させると先ほどとは違い安定して移動させられる。うまく飛べるようになり、俺は気が済むまで空を飛んだ。
エドの記憶が記録になってるのは長く書いても面白くないかと短めにまとめてます。
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