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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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大規模魔法の練習

 エレンさんは手紙を書いて、魔法協会に居るエマ師匠に届けるようメイドさんにお願いする。

 エレンさんは俺たちを連れて、魔法の訓練をしている場所へと移動してきた。


「まずは魔法の制御を奪う方法ですね。私が魔法で水の玉を出すので、エドは少量の魔力を使って、私が出した魔法の中で魔力で混ぜ合わせるように、しながら同じ魔法を使ってみてください」


 俺は手順を確認する。

 エレンさんの魔法を、俺の魔力で混ぜて、同じ魔法を使う。で、魔力は少なめ。


「エレンさん魔力は少量ってどの程度ですか?」

「私は一単位の魔力で魔法を使いますので、一単位よりかなり少なめで試してみてください」

「分かりました」


 エレンさんが少なめの魔力でと注意するのだから意味があるのだろう。


「では水の玉を出します」


 エレンさんが水の玉を出したので、制御を奪おうと言われた通りに少量の魔力で、エレンさんの魔法と混ぜ合わせるようにして、同じ水の玉を魔法で使う。すると簡単に制御がとれた。


「制御を取れました」

「もう少し苦労するかと思いましたが上手ですね」

「苦労ですか?」

「奪う魔法に対して魔力が少なすぎると、制御を奪うには反発するような手応えがあり手こずります」

「もしかして、それが大規模魔法の暴走に繋がるんですか?」

「そう言う場合もありますが、協力する場合は反発はそこまでしません。大規模魔法で暴走するのは魔力制御の許容量があるからです」

「許容量ってことは、魔力が多い人が制御するのは許容量が多いのが理由なんですね」

「その通りです」


 俺たちが魔力量が多いとは言われているので、大規模魔法の制御に向いていると言われた理由がよくわかった。

 エレンさんが少ない魔力で試した理由も教えてくれる。


「今回、エドが魔獣に魔法を奪われそうになりましたが、奪われなかったのは魔力不足が理由の一つだと思います」

「奪われるほど魔力が多くなかったんですか」

「もしくは魔法が間違っていたかですね。同じか近い魔法を用意しないと制御を奪えません」

「魔法を当てないと無理なんですか」

「そうです」


 相手が使っている魔法を当てるのは難しそうだ。

 その後、エレンさんはベスやドリーにも魔法の制御を奪うことを試させる、ベスは苦手で、ドリーは俺と同じようにあっさりと制御を奪う。


「魔獣と戦う時や、有って欲しくは無いですが、対人戦の時は使えると戦い方の幅が広がります。練習すると良いですよ」

「「「はい」」」

「それと、魔法を奪われる時は制御が難しくなるなど違和感を感じるので、すぐにわかると思います」

「暴走時に制御を奪うのも同じ方法なんですか?」

「そうですね。暴走中や暴走しかけは、本当に少量の魔力で制御を奪えます」


 同量の魔力が無いと魔法を教えられない訳ではなく、魔力差があっても魔法は教えられるようだ。

 だが同時に、俺の暴走中はエマ師匠がすぐに止められなかったようだが、俺は普通の状態では無かった。もしかしたら、神のようなものの記憶が、暴走を止められなかった理由に関係していたのかもしれない。


 エレンさんは複雑な魔法を使って、お互い練習してみると良いと言う。


「後は奪われ難くする複雑な魔法ですね。お互いに試して奪おうとしてみてください」

「「「はい」」」


 俺たちは一人が魔法を使い、二人が魔法を奪うように練習する。火や水などの簡単な魔法は奪えるが、二つ混ぜると中々奪えなくなり、三つ以上になると運が良ければ奪えるという感じになった。


「三つ以上は難しいです」

「難しいですわ」

「うん!」


 俺たちがクイズのように魔法を出し合って、魔法を奪い合っている。俺たちが難しいと言うと、エレンさんは慣れだと言う。


「魔法を奪うのが上手くなるのは一番は慣れですね。魔法の発想はどうしても偏りがあるので、見ただけで判断できたりするようになります」

「数をこなすしか無いんですか」

「今、エドたちがやっているように、人と魔法を奪い合うのが一番効率的な練習ですね」

「なるほど」


 その後もエレンさんが言うように魔法を奪い合って練習していると、エマ師匠が来たようだ。


「エレン、来ましたよ」

「エマ、頼んだ物は持ってきてくれましたか?」

「持ってきはしましたが、量が多いので運ぶのに時間がかかりました」

「エドたちの魔力だとそうなりますか」

「ええ、ですが協会からは有り難がられますよ」

「運ぶのが大変だと言う量なのです。それは喜ばれるでしょう」


 どうやらエレンさんはエマ師匠への手紙で、何か持ってくるのをお願いしたようだ。エマ師匠は頼まれたものを持ってきたようだが、量が多い。屋敷内を歩いてこないで、載せ替えたのだろうか小型の荷馬車に荷物が乗っている。


「エドたちも袋から出すのを手伝ってください」


 エマ師匠はそう言うとエレンさんと共に布を広げ、その上に持ってきた袋を置いて中身を出していく。中から出てきたのは、今日ダンジョンで使った魔獣や動物を中に入れられる不思議な魔道具だった。


「今日この魔道具使いました」

「便利ですからね。収納の魔道具はダンジョンがある都市には必需品です」

「確かに重さも軽くなるし、持ち運びがとても楽でした」

「それ以外にも都市によっては、これで食料を賄っていたりする場合もありますよ」

「食料を?」

「アルバトロスは港が有りますし農地や川などあるので、食料が不足することは滅多にありませんが、場所によってはダンジョンからの獲物を計算に入れて、都市を運営している場合もあるらしいです」


 ダンジョンから獲ってくる獲物の量を計算に入れて、都市を運営するなんて驚きだ。ダンジョンの敵はリスポーンするから計算上は可能と言うことか?

 ベスが収納の魔道具を知らなかったのは、アルバトロスはダンジョンに頼らない運営しているからかもしれない。


「結構な量があるのでエドも手伝ってください」

「はい」


 俺はエマ師匠に言われて収納の魔道具を広げる手伝いをすると結構な量が布の上に広げられる、エレンさんに収納の魔道具をどう使うのか聞く。


「これって、どうするんですか?」

「収納の魔道具は一回使うと魔力がなくなってしまうので、魔力を補充するのです」

「大規模魔法の魔力を吸わせるってことですか?」

「その通りです」


 確かにそれなら暴走する前に吸わせてしまえば安全かもしれない。

 エレンさんが俺たちの誰が大規模魔法を使うか聞いてくる。


「それで誰が大規模魔法を制御しますか」

「そう言えば、三人の魔力を使うから一人しか使えないのか」

「そうです」


 俺たちは相談するとベスは断ってくる。


「私は制御を奪うのにも時間がかかりましたから、今回の制御は任せますわ」

「俺か、ドリーか」

「にーちゃ、がんばって!」

「あれ? ドリーは今回いいのかい?」

「うん!」


 ドリーがやる気を出すかと思ったら、ドリーは俺に譲ってくれるようだ。


「なら俺がやろうかな」

「決まったようですね。エド、今回は魔力を収納の魔道具に近づければ勝手に魔力を吸ってくれます」

「分かりました」


 エレンさんがベスとドリーに制御の渡し方を説明する。


「ベスとドリーは、魔法ではなく魔力として出し、エドが制御を渡すのをより簡単にします」

「魔力ですわね分かりましたわ」

「後は魔力の制御を取られる時に、抵抗しないで渡すように心がけます」

「抵抗を感じた時に、渡すように意識すればいいですの?」

「その通りです。最初はベスからやってみましょう」

「分かりましたわ」


 エレンさんに言われてベスは準備をする。


「では行きますわ」


 そう言うとベスは全力で魔力を出す。ベスの魔力を、俺は魔力を出して制御を貰う。


「できました」

「次はドリー」

「はい!」


 ドリーは元気に返事をすると、全力で魔力を出した。俺はベスと同じように制御を貰う。


「できました」

「エドも全力で魔力は出していますか?」

「はい」

「では収納の魔道具に魔力を近づけてください」


 俺は三人分の魔力を制御しながら収納の魔道具に近づける。すると魔力が吸われていく感覚がある。


「魔力が吸われていきます」

「そのまま吸わせてください」

「はい」


 魔力が全てなくなる前に吸われるのが止まった。


「魔力が吸われなくなりました」

「まだ魔力が残っていますか、驚きですね」

「もしかして多めに用意してあったんですか」

「エマに用意して貰ったので分かりませんが、私は魔道具の数が多いと思いました」


 エレンさんはそう言うってエマ師匠に確認する。


「エマは多めに用意したのでは無いのですか」

「多めではなく、足りる量と思っていましたが足りませんでしたね」

「エドたちの魔力量はそんなに多いのですか」

「エドが最初に暴走した時、止めるのに私は魔力量を間違えたくらいですから」

「暴走で魔力量を間違えるなんて、聞いたことない」

「私も驚きです、次からは多めに魔力を使って止めていました」

「そうですか」


 エレンさんは納得したようだ、俺としては暴走は神の記憶が気になりはする。だが俺たちの魔力量が多いのは事実のようだ。

 エレンさんが俺に感想を聞いてくる。


「エド、魔力の制御はどうでした」

「普段よりは難しかったかもって位です」

「それは凄いですね。魔力量が多いからか魔力の許容量もかなり大きいようです」


 残った魔力をどうするか聞くと、量が少ないのでそのまま制御を手放していいと言われた。なので制御を手放す。

 エレンさんが片付けを始める。


「大規模魔法が終わったので収納の魔道具を戻します。手伝って下さい」

「はい」


 皆で収納の魔道具を片付けると、エレンさんが流派について説明してくれる。


「今回の魔法を混ぜることが属性流派の基礎であり、真髄でもあります」

「混ぜることがですか?」

「はい、属性流派は分類することで魔法を細かく分け。分けたものを再度混ぜ合わせるのです」

「そうすると、相手に魔法が奪われにくくなると言うことですか?」

「それもありますが、威力が上がることがあるのです」

「威力が上がるんですか?」

「そうです。詳しく話すと時間が掛かるので、属性流派に興味があるのなら教えます。また聞いて下さい」

「はい」


 エレンさんの説明に俺なりに考えてみる。科学的にみると細かく分けた場合に威力が上がると言うのは理解ができる。だが物理法則を無視している魔法に関係があるのだろうか、とも疑問にも思う。


「それと自然流派は、大規模魔法が流派の入り口になります」

「基礎ではなく、入り口ですか?」

「自然流派は研究が多岐に渡るので、ほぼ共通した魔法が少ないのです。例外として共通しているのが、大規模魔法という魔法を合わせて制御する事です。ですが自然流派は全員が制御できる必要はないです」

「確かに制御は合う人がやればいいだけなんですね」

「その通りです。自然流派と名乗ってはいますが、他の流派と違って定義が曖昧な流派ですね」

「なるほど」


 俺たちが納得したところで、エレンさんは質問がないかと聞いてくる。俺は大規模魔法に関係ないが、収納の魔道具が気になり聞いてみることにする。


「今回のことに関係ないのですが、聞いてもいいですか」

「構いませんよ」

「この魔道具はどういう物なんですか、ここまで効果が凄いもの初めて見ました」

「この収納の魔道具ですか、古いもので謎が多いのですよ。しかも作り方も簡単で、ダンジョンに鍾乳石のような石が、上に生えているのは知っていますか」

「天井で光ってるやつですか?」

「その通りです。それを材料にして数種類の素材を混ぜて作ります」

「凄い効果なのに簡単に作れるんですね」

「そうですね。使ったら毎回魔力を補充しないとダメなのが面倒です。昔から改良しようとしていますが無理らしいです。なので寝る前に魔法使いが、魔力を使い切るのに使われていますね」

「あれ? 俺やったことないですけど」

「魔力が余る魔法使いの方が珍しいので、忘れるんですよ」


 エレンさんの説明で、エマ師匠が大量に収納の魔道具を持ってきた理由が分かった。協会の魔法使いは補充をほぼしていないのだろう。

 だからエマ師匠は大量に魔力を補充させるから、協会から感謝されると言っていたわけだ。

 エレンさんは詳しく知りたければ、ジョーに聞くようにと言う。


「エド、更に詳しく知りたいのであればジョーから聞くことをお勧めします」

「分かりました」


 そう言えばダンジョンから直接帰ってきたので、収納の魔道具に今日狩った魔獣を入れっぱなしなことを思い出す。


「そう言えば狩った魔獣を入れっぱなしなんですが、これってどうすれば」

「それに関しては、冒険者ギルドの解体場に、収納の魔道具から取り出す魔道具があるので持っていくといいですよ」

「分かりました。急いだ方がいいんですよね」

「その中にあれば日持ちもするので、明日でも問題ないですね」

「そうなんですか、本当に便利ですね」

「その通りね」


 驚いた事に中に収納した物は日持ちするらしいなら、明日解体場に持って行って解体して貰おう。というか日持ちするのなら薬草なども入るのだろうか?


「エレンさん、収納の魔道具に薬草って入るんですか?」

「聞いた事ないですね、エマは知っている?」

「私も知りませんね」


 どうやらエレンさんとエマ師匠も知らないようだ、今持っているダンジョンの薬草を入れれないだろうか。


「今持っているダンジョンで採ってきた、薬草を入れて試してみれば分かりますか?」

「それは無理です。ダンジョン内だけの機能だから、ダンジョンから出てしまうと入れられなくなります」

「そうなんですか」

「不思議な制約がある魔道具なんです。薬草については、ジョーに聞いてみると良いですよ」

「分かりました」


 この収納の魔道具は本当に不思議な存在だ、ダンジョン限定で動くらしい。やはり気になるので、協会に帰ったらジョーに色々聞いてみよう。


「そう言えばエド、使った収納の魔道具はギルドに回収されますが、魔法使いだと言えば返してくれるので、自分で魔力を入れると良いですよ」

「冒険者には使い捨ての魔道具だけど、魔法使いには繰り返し使える魔道具なんですか」

「流石に使える上限はあるので、買い替えか自作する必要があります」

「回数制限はあるんですか」

「はい、ですが毎回買い直すより魔力を込めた方が簡単です。それに魔道具が魔力を入れるために戻ってくる場所は、結局自分のところよ」

「確かに」


 収納の魔道具は流石に回数無限に使えるわけでは無いようだ。

 回数制限はあるが材料は簡単だと言うし、協会に大量の在庫があるのも理解できる。

 しかしエレンさんはダンジョンについて詳しい。


「エレンさんはダンジョンに詳しいですね」

「私もダンジョンに行ったりします」

「エレンさんもですか」

「属性流派は意外と多いのです、好き勝手に魔法が使える場所って意外とないですから」

「なるほど」


 確かにそこらで殺傷力のある魔法を使っていたら危ない。

 俺からの質問は終了し。ベスやドリーも質問は無いというので、今日は解散になった。

1話から人物の年齢と髪の色を追記しています。最新話を読んでいる人が分からないと思うので書いておきます。

ベスはまだ修正してませんが、年齢と髪の色です。

エド  一四歳  シルバーブロンド

ドリー 八歳   シルバーブロンド

ベス  一四歳  ストロベリーブロンドの赤髪に近い

エマ  三十手前 チョコブラウン


感想に年齢が予想より高いと言われたので、こちらにも少し説明を書いておきます。

エドは十二から一五くらいで考えていました。保護者がいる状態で十二歳以下の子供をダンジョンへは向かわせないだろうと。

周囲が心配しているのは一四歳が八歳の子供の面倒を見ているからです。エドに対して周囲は、大人一歩手前の対応をさせているつもりです。

エドが一四歳になったのはエドがドリーの面倒を見ていたという設定上、何歳なら面倒を見れるか考え、六歳差ならいけるかな?っとエドはドリーの六歳上となりました。

ドリーの年齢が非常に悩みました。守ってくれる人が居ればダンジョンに行ける年齢となると、正直八歳も厳しい気はするのですがギリギリ?


そうなるとベスが我儘すぎるとも感じるので、年齢を下げるかと考えました。ですがエドと同年齢のままで、ベスが魔法を覚えなくても問題視されていなかった理由を加筆したいと思います。

ネタバレになるしなと書いていなかったのですが、ネタバレの内容が最新話から20話分位後の話になりそうで、流石に話の間隔が遠すぎるので加筆しようと思います。

加筆したら最新話の後書きに理由を書いておきます。


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― 新着の感想 ―
エドの年齢が思ったよりだいぶ高かったな 初めて会う人との会話でベアトリスとエリザベスの名前を出す時愛称で読んだりしてて何してんだこいつと思ってたけど、まぁ子供だからしょうがないか~周りの大人も無反応…
[一言] 言われてみれば予想よりも大きいかも? この年頃は一歳ですごい成長するから難しいよな
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