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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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ベスの母親と追加の依頼

 シャンプーとトリートメントの依頼を受けた次の日、用意した精油を馬車に積んで、辺境伯の屋敷に向かう。

 屋敷に着くと、出迎えてくれたメイドさんに事情を説明して、精油を運んでもらう。

 今日も俺たちは、魔法の訓練をする場所に先に向かうとの事で、案内してもらう。


「ベス、今日もよろしく」

「エド、よろしくお願いしますわ」

「昨日、薬師組合に行ってきたから後で話すよ」

「分かりましたわ」


 ベスと挨拶を済ませ。

 エマ師匠が昨日と同じ順番で、全力で魔法を使うと説明したので、俺から魔法を使う。


「では行きます」


 昨日と同じように、ゆっくり丁寧に魔力を動かすことを意識して、魔法を発動させる。

 ベスに魔法を見せるためだろう、エマ師匠は長めに魔法を使うことを指示してきた。

 長めに維持をしていると、消していいと指示されたので魔法を消す。


「エド、ご苦労様です」

「いえ」

「では次は、ベス行けますか?」

「はいっ」


 昨日何か掴んだ様子のベスは、気合が入っているようだ。

 ベスが集中した様子で魔力を移動させ魔法を使うと、安定した様子で魔法が維持されている。


「できましたわ!」

「ベス、上手く行っているようですね」

「はい!」

「では、もう少しだけ魔法を維持してください」

「分かりましたわ」


 エマ師匠の指示に従いベスは魔法を維持している、少しするとエマ師匠は次の指示を出す。


「次は魔法を消してみてください」

「そう言えばエドとドリーは、消していましたわね」

「はい」

「やってみますわ」


 そう言うとベスは気合を入れて魔法を消そうとし始めた。中々消える事ない魔法だったが、徐々に魔法で作った水の玉が圧縮されるように徐々に消えていく。

 消えて行く水の玉を見ながら、どう見ても力技で圧縮しているように見える。

 ベスらしいと言えばらしいのだが、そんな事が出来てしまう事に驚きだ。


「やっ!」


 最後の気合いと共に魔法は消え去る。

 エマ師匠と、エレンさんを俺は確認すると、苦笑している。


「ベス、無事に魔法を消す事が出来ましたね」

「エマ、ですがエドやドリーのようには、消せませんでしたわ」

「方法が違うからですね」


 エマ師匠と、エレンさんは、俺とドリーがしている魔法として消す方法や、上書きする方法などをベスに教えていき、ベスは納得したようだ。


「色々あるのですね」

「はい、今後は色々試して行ってほしいです。ただ注意点があります」

「注意ですの?」

「魔法の制御を外すと、魔法は魔力が無くなるまでは存在します」

「と言うことは、水の玉を魔法で出していましたが、その制御を外すと落ちてくる、と言うことですの?」

「そうです、更に水は魔力が無くなっても存在する特殊な魔法なので、場所によっては非常に危険です」

「水は特殊なんですの」

「はい、特殊な水の魔法を調べて行ったのが錬金流派ですね」

「錬金流派ですの?」


 そう言えば、ベスには流派の説明をしたところを、聞いた事がなかったなと思っていると、エマ師匠とエレンさんが、ベスに主流の各流派の説明をして、ベスは納得したようだ。


「魔法使いにも、派閥のようなものがあるんですのね」

「派閥と言えば、派閥と言わないで流派と言っているのは、魔法使い同士は探究者であり教え合って高め合う、という理念の元で流派と名付けられたと教えられました」

「では、流派が違っても魔法を教えてくれるんですの?」

「都合が合えば大半は教えて貰えますね、流派を複数所属することも可能ですし」

「そうなんですの、少し不思議な感じがしますわね」

「そうかも知れません、魔法使い以外では聞いた事がないですから」


 俺も聞いた事がなかった流派ができた経緯を聞け、魔法使いは特殊な立ち位置にいるのだなと理解した。

 エマ師匠がベスに他に質問がないか聞くと、無いと答え。


 次はドリーが魔法を使い、少しして消すように言われる。ベスはドリーが魔法を消し、魔力の制御を手放すのが観察できたのか感心している。


「今まで魔法を使うところまでしか見れていなかったようです、ドリーが魔法を消して魔力の制御を手放すのが分かりましたわ」

「あえて気づかないように教えていたのもあります、制御を手放すのを先に覚えると、水が落ちてきたら水浸しなら良いですが、溺れてしまうこともあるので」

「確かに、それは危険ですわ」


 制御を手放したわけでは無いが、記憶を飛ばしている時に似たような目に遭って溺れかけた俺は、確かに危ないよなと思う。


 魔法の訓練が終わり、ベスの鍛錬を何故か一緒にする事になった。

 ベスの護衛騎士であるテレサさんに、剣や弓を中心に、槍など使った事がない武器も教えてくれる。

 体を動かす機会が減っていたから丁度いいと、最初は思っていたが。

 運動量が上がるにつれ呼吸が荒くなり、ひたすらテレサさんに鍛えられた。


「あ、ありがとうございました」

「はい、エドワードは鍛えがいがありそうです、ドリーも才能はありますが無理はできませんね」


 なんとか最後まで鍛錬を耐え、荒い呼吸の中にお礼を言うと、テレサさんに褒められたが、息が上がり切っていてまともな返事ができない。

 息を整えていると、一度別れて風呂に入って汗を流す事になり、返事もできないままメイドさんに案内されて、風呂に入る事になった。

 風呂から上がると服が用意されており、何か既視感があるなと思ってメイドさんに聞くと、依頼した服がもう一着できたらしい。


「もうできたんですね」

「元々急ぎで作って頂いていましたので、一着だけですが出来たとのことで」

「そうなんですか、ありがとうございます」


 メイドさんに皆が集まる部屋に案内され、お茶を飲んで待っている。

 少しすると皆が部屋に入ってくる、ドリーが俺に駆け寄ってきて、服を見せるように前に立つ。


「にーちゃ!」

「ドリーも服ができたのか、似合ってるよ」

「にーちゃも、にあってる!」

「ありがとう」


 ドリーもベスに選んでもらった服が出来上がったようで、嬉しそうにしている。

 ベスにお礼を言うべきだと声をかける。


「ベス、ありがとう、服もう出来たんだね」

「昨日の話をした後に確認させましたら、一着なら完成させられると言われましたわ」

「そうなのか、態々ありがとう」

「いえ、実は服の確認をさせた後に、お母様からもシャンプーとトリートメントは、量が欲しいと言われてしまいましたわ」

「えっ」


 次々に話が膨れ上がっていく、グレゴリーさんの先を読んでの行動は功を奏しそうだが、俺のできる範囲を超えてしまっているので相談しよう。

 そして相談で思い出す、ベスに組合でのことを話さなければ。


「そうだベス、昨日は組合で相談してきたんだ」

「どうでした、数は揃えられそうですの?」

「今は作り方を教えても問題なさそうな人を探すと言われた」

「確かに辺境伯の名前を出したところで、流そうとするのは居ますわね」

「人選した後に、どう作って行くかも聞かれて」

「どう作って行く?ですの?」

「そう、最初は俺の資金で作れる量を作って貰って、ベスに買い取ってもらうつもりだった」

「そう言えば、最初の資金を渡すのを私は忘れましたわね」

「それは問題ないんだけど、薬師組合に渡すように言われた手紙には、資金は全て辺境伯が出すと書いてあった」

「あら、私それは聞いておりませんわよ」

「やっぱりそうなんだ、昨日言ってなかったから」


 やはりベスも聞いてなかったことのようだ。

 後は辺境伯が資金を出すのなら、商会を立ち上げて継続して作って行くかも、相談すべきだろう。


「それと資金を出すのなら、商会を立ち上げて工場を作るかどうかって聞かれて」

「そうですわね、私だけなら様子見で良さそうでしたが、お母様が欲しがっておりますから分かりませんわ」

「そうなると、商会を立ち上げる事になるのかな?」

「判断しかねますわね、お母様に尋ねますわ」


 そう言うとベスは手紙を書いて、メイドさんに渡して返事を貰って来るようにと言う。

 返事が来るまではする事がないので、買ってきた精油と、混ぜ合わせた精油をメイドさんに持ってきてもらう。


「シャンプーとトリートメントの香りを変えるのに精油を買ってきた。混ぜると匂いが若干変わるけど、好みは分かるはず、俺とドリーが精油を混ぜて作ったものもあるから」

「沢山ありますわね」

「混ぜてない単体の物は匂いがそのままだから、好きな花だったり物があれば確認してみればいいかも」

「では、エドとドリーが混ぜて作ったものを中心に試していきますわ」


 俺とドリーが作ったものを順番を出していき、ベスはそれを試して行く。


「どれもいい匂いですが、これがいいですわね」

「それ、にーちゃがつくった!」

「あら、そうなんですの?」


 ベスが選んだものを確認すると、ドリーの言う通り俺が作ったものだった。

 ベスが選んだ物はドリーに褒められたもので、ドリーの嗅覚と感性は人の好みを当てるのが非常に優れているようだ。


「そうみたいですね、ドリーにベスに良いと褒められたやつです」

「そうなんですの」


 ドリーが俺が作ったものをベスに教えていく。


「これと、これと、これも、にーちゃが作った」

「あら…」


 何故かベスが俺をじっと見ているので、催促かと思って、シャンプーとトリートメントを混ぜた精油で、試作すると提案する。


「それで試作してみるよ」

「お願いしますわ」


 入れ物に印を付け、メモもして忘れないようにした。

 その後に、ベスが手紙を持たせたメイドさんが帰ってきて、ベスに何かを伝えた。


「エド、ドリー、エマ。来るようにと、お母様に呼ばれましたわ」

「来るようにって、ベスが?」

「いえ、皆でですわ」

「え、今すぐってこと?」

「はい、事情は説明しているので、服装は気にしないと伝えられましたわ」

「分かった」


 俺は覚悟していたのでそこまで動揺しなかったが、エマ師匠は予想外だったのか、非常に動揺しているようだ。


「ベス、私もですか?」

「二人の保護者の意味も含め一度顔を見たいと、同じように伝えられておりますわ」

「分かりました…」


 エマ師匠は自分は関係ないと思っていたようだ、だが逃げられないようだ。

 いつ行けば良いかと思ったら、すぐにでもと言われて皆で慌てて部屋を出る。

 部屋の前に着くとベスが入室の許可を取り、許可が出て室内に通され、椅子に案内される。


「私がエリザベスの母で、ベアトリス・フォン・リング・メガロケロスですわ」

「エリザベス様に魔法を教える事になりました、エマと申します」

「エドワードです」

「ドロシーです」


 ベスの母親はベアトリスと言うらしい、自己紹介が終わるとベアトリス様はエマ師匠にお礼を言っている。


「エマ、エリザベスに魔法を教えられるようにしていただき助かりました」

「いえ、私は説得に失敗しましたから」

「聞いています、弟子のエドワードが説得に成功したと」

「その通りです、エドワードが居なければ今教えていることは無かったかと」

「弟子の功績は師匠のものとまでは言いませんが、エマがエドワードを弟子にしていてくれた事が、今回は重要だったのです」

「確かに弟子にした時期は、エリザベス様と会うのに合っていたかも知れません」

「そうですね、これからもエリザベスの事をよろしくお願いします」

「はい」


 エマ師匠への会話はこれで終わりのようで、本当に顔合わせだけだったようだ。

 後は保護者として見守っているだけのようだ。


「エドワード」

「ベアトリス様、なんでしょう」

「エリザベスのこと助かりました」

「いえ、必死にやった結果上手く行っただけなので」

「だとしても十分以上の成果です、本当に頭を悩ませていた問題ですから」


 流石に恥ずかしくなったのか、ベスがベアトリス様に反論しようとする。


「お母様、その程度でやめてくださいませ」

「本当に困っていた事が解決したんですもの、お礼を言うのは当然です」

「せめて私がいない場所でやってくださいませ」

「ベスが最初からちゃんと魔法を覚えていれば、こうはならなかったんですよ」

「それは…」


 ベスが言葉に詰まると、ベアトリス様は色々思う事があったのかベスに説教をした、ベスは反省したのかしゅんとしている。


「ベスの事はとりあえずは良いでしょう、今はエドワードとドロシーが作ったシャンプーとトリートメントですね」

「シャンプーとトリートメントなんですが、ベアトリス様の手紙が、ベスと薬師組合に渡したもので違うようなんですが、資金を辺境伯が出して頂けるのですか?」

「資金については、お礼も含めての話だったのだから気にしないで」

「分かりました、ありがとうございます」


 ベアトリス様は内緒で、ベスのお礼をするつもりだったのかも知れない。

 そんな予想をしていると、生産について聞かれる。


「それではまず、生産についてですわね」

「今は薬師組合に、作り方を教えても問題ない人選をして貰っています」

「情報が漏れるのは好ましくありませんね」

「はい、それと生産を頼むのか、継続的に生産するのかどちらが良いでしょうか」

「私も使ってみたところ欲しくなりましたので、継続的に作るので問題ありません」

「そうなると商会を立ち上げることを勧められたのですが、俺では経営できると思えなくて」

「ベスとの魔法の訓練も続けて欲しいですし、エドワードには他にもやる事があるでしょう、経営者を探すべきでしょうね」


 ベアトリス様は考えた後にベスに話しかける。


「エリザベスの護衛で、テレサが居ますでしょ」

「居ますが、テレサがどうしましたの?」

「兄弟に商売をしている人がおりませんでしたか?」


 ベスは分からなかったのか、テレサさんに直接聞いている。


「テレサ、どうだったかしら」

「はい、当家の三男が小規模ですが店をやっております」


 テレサさんの話を聞いたベアトリス様が、テレサさんに尋ねる。


「その方に、エドワードがこれから作る商会を任せられませんか」

「私のことではないので恐らくですが、断られることはないかと」

「そうですか、一度話が聞きたいので今度連れてきてくださいませ」

「かしこまりました」

ーー流派というのに違和感があって変えたいが今の候補としてーー魔法を考えているが違和感があり悩み中。

今のところは物語を進めることを優先しているので良さそうな案が思いついたら変えるかもしれません。


追記 ↑感想を貰って自分なりに納得できたので、流派のままで行こうと思います。


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[気になる点] 魔法使いの地位って辺境伯家に婿入りできるくらい高いんでしょうか!? [一言] 娘の婚姻先が他国しか無くなる可能性が大いにある危機から救ったとなればなかなかの大恩だものね。。 辺境伯家と…
[一言] 流派は別に流派のままでいいと思う。 絵画も新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派、象徴主義などの流派があるようですし、そのようなものなのでは? 武道なんかで使われる流派が最も耳慣れており、…
[一言] 派閥だと、排他的な感じがするので 流派のいいかも
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