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しくじり転生 〜うまく転生出来ていないのに村まで追い出されどういうこと神様?〜  作者: Ruqu Shimosaka


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ダンジョンの管理者

 俺は床に手をついて魔力を流し始める。すると、四方にあった石が光り始めて、次に手をついている床に魔法陣のような物が輝き始めた。

 魔法陣が縦にも横にも増えていき、最終的には魔法陣が俺に向かって収縮してくる。一瞬避けそうになったが、変な事になっては大変だと我慢する。

 完全に魔法陣が俺の中に取り込まれると、目の前に何かが浮かび上がって消えた。

 管理者たちが祝福してくれ、ショッツも同じように祝福してくれた。


「おめでとう」

「ありがとう。ところで、最後に浮かび上がった何かは?」

「管理者の番号だって言われてる。けど何番かは分からないんだ。皆が管理者になったら色々と説明するよ」


 皆が順番に管理者へとなっていく。

 自分がやっているとどの様な状態か分からなかったが、外側から見ると光るのでわかりやすい。光っているので綺麗ではあるが、これで管理者として体が作り変わった事を実感できたかと言うと、そうでもない気はする。

 俺たちは管理者になると、ショッツが管理者としての能力を簡単に教えてくれた。

 簡単に教えてくれたのは、管理者として操作をするのが思った以上に難しかったからだ。正直数日で覚え切れるような操作ではないし、神が使っていたという言語はショッツに見せて貰った物と同じで、何が書いてあるのか全然分からない。


「別の世界で戦うなら操作を覚えるのは後で良いから、徐々に覚えてくれれば良いよ」

「そうするよ」


 最初にやって欲しいと言われた事だけを、ショッツや他の管理者たちから教わりながらこなして行く。

 とりあえずやる事が終わると、これで帰っても構わないとショッツに言われる。思った以上に管理者になるのは簡単なようだ。


「こんな簡単に管理者になれるんだ」

「そうだね。一人でも簡単になれる。一人で管理者になると実感がないからお祝いする訳さ」

「それで集まってくれたのか」


 集まってくれた管理者にお礼を言うと、自分の時もそうだったから気にするなと言われる。次の管理者が増えた時は俺もお祝いをしよう。

 ショッツに帰り方やこの場所に来る方法を尋ねると、他の階層と同じように入ってきた門に水晶が増えていると教わった。門を確認すると確かに水晶が増えている。

 ショッツから次に顔を出した時は、別の世界には行かず自分を訪ねてきて欲しいと言われる。


「僕の時もそうだったけど、管理者になると色々とやる事があって、すぐには来れないと思う」

「ダンジョンの管理を手伝わなくて良いの?」

「管理よりは討伐の方を手伝って欲しいけど、それも急ぎではないよ」

「分かった」


 ショッツや管理者たちにお礼を言って、俺たちはダンジョンからアルバトロスへと戻ることにする。

 荷物を持つと門の前に皆で立つ。ショッツが見送りに来てくれて、ショッツにまた来ると伝えると、門にある水晶を触ってから門に触れると門が開いていく。

 門の向こう側は階段になっており、俺たちは階段を上がっていく。

 階段を上がっているとダンジョンを踏破できた事を実感してきた。

 皆無言で階段を上がっていくと、いつものように草原前の湖までたどり着いた。

 湖を渡り切ったところで警備をしていた者たちが集まってきて、その中にはテレサさんもいた。


「エリザベスお嬢様」

「テレサ、やりましたわ。私たちは管理者となりましたわ」

「真ですか?」


 俺が本当だと伝えると、テレサさんは驚いている。急ぎ屋敷に戻る事になってダンジョンをテレサさんと出る事になった。

 ダンジョンを出て馬車に乗り込むと馬車は屋敷に向けて走り出した。

 管理者となったことで興奮しているのか、以前のように眠くなる事もなく馬車に揺られて屋敷に到着するのを待つ。

 屋敷に着くとレオン様の部屋へとすぐに向かう。


「お父様」

「ベス、帰ってきたか」

「ダンジョンを踏破して管理者になりましたわ」

「なんだと!」


 ベスが管理者になったとレオン様に伝えると、レオン様は慌てた。レオン様が皆を集めて話をする事にすると言うので部屋を変える事になった。

 トリス様、ルーシー様、ピート、エマ師匠と俺たちに関係ある人が集められた。

 レオン様が俺たちが管理者になった事を伝えると、皆がとても驚いている。皆から祝福された後に、今後の話になった。


「まずはエドとベスの婚約の発表だな」

「まず婚約なんですか?」

「ああ。婚約をしておかなければ、どちらも大量のお見合い話がくる」


 管理者になった事は王家に絶対報告をするので、婚約者がいない場合は大変な事になるとレオン様が言う。

 フレッドとアンも婚約しておくと言うので報告時に王家に伝える事になるようだ。リオとドリーは年齢的に問題ないのかと思ったら、ルーシー様がドリーに声をかけた。


「ドリー、以前に話した事は考えてくれましたか?」

「リオとの事?」

「ええ。ドリーとリオとの婚約についてです」

「リオとなら良いよ!」


 いつの間にかドリーはルーシー様からリオとの事を話されていたようだ。最近俺の近くにいない時間も増えてはいるが、いつの間にルーシー様と話をしたのだろうか?

 ルーシー様がリオに問題ないかと尋ねると、リオは完全に固まってしまっている。どうやらリオも知らない事だったようだ。

 ルーシー様がリオを揺さぶってドリーとの婚約が問題ないかと尋ねると、リオは壊れたように頷き続けている。

 ルーシー様はリオから手を離すと、俺の方に振り向いた。


「エドもドリーとリオの婚約は問題ありませんか?」

「えっと。リオなら信頼できます」

「では決まりですね」


 ルーシー様は嬉しそうにしているが、ピートは顔が驚きの表情で固まっている。

 そういえばドリーとリオの事については言っていなかったから、騙し討ちのようになってしまっているな。メイオラニアとしても悪い話ではないと思うので、許して欲しいところではある。

 ピートに謝っておくと、問題はないが言っておいて欲しかったと言われた。フィル師匠が気にしていたので良い理由になったと俺が言うと、ピートが納得した。


「ピート、俺とドリーの事で迷惑をかける」

「エド、気にするな。何にせよ婚約を祝福するのは変わらない。リング王国の王家から二人の婚約者が出たとなると、少々当家の利益が大きすぎるのが問題だが、管理者相手に文句は言えないだろう」


 ここでも管理者という身分は強い力を発揮するようだ。

 ピートはメイオラニアに帰ったらフィル師匠に伝えるというので、エマ師匠とフィル師匠の結婚式には俺も参列する予定なので、一緒にメイオラニアに向かって報告をする事にする。


「婚約については決まったな。発表の日取りだが、実は先ほど連絡が来てな……」

「連絡ですか?」

「ああ。王太子がアルバトロスに向けて出発していると連絡が来たのだ」


 王太子がアルバトロスに来るって、ルーシー様が帰ってこないので王太子自らが迎えに来たのか?

 ルーシー様がため息をついた後に喋り始めた。


「私は問題ないと伝えたのですが、少々待たせすぎたようです」

「そのようですな」


 レオン様がルーシー様に同意している。

 王太子とルーシー様は政略結婚だと思うが、随分と仲が良さそうだな。

 というか、王太子に管理者になったと知られたら王都に行かないとダメなのだろうか?


「あの、すぐに王都に行かないとダメですか? エマ師匠の結婚式を見に行こうと思ったのですが」

「皆が管理者になったからには一度王都に向かうべきですが、すぐに来られても王都の準備ができていませんから、皆を待たせる事になります。それならエマの結婚式の後でも構わないでしょう」


 王都に来ると待っている間に挨拶に来る人が多いので、それなら結婚式に出ておくと良いと言われる。挨拶も必要なのではないかと質問をしたが、管理者になった場合は気にする必要はないとルーシー様に言われる。

 今までと待遇が違いすぎて不思議な気分だが、レオン様やルーシー様と知り合いなだけで十分な気もするな。


「王太子が来てから報告をして、アルバトロス全体に婚約の発表をする事にしよう。その後に貴族たちに管理者が出たと公式に報告をする」

「はい」


 レオン様たちはまだ話す事があるとの事だが、ある程度の方針が決まったところで、俺たちは疲れているだろうからと休む事になった。

 皆割と元気なので、食事をして風呂に入ってから寝る事になった。


 それからは王太子が来るまで知り合いに挨拶に行ったり、王太子を迎えるための準備を手伝っていく。

 王太子が来るまで時間がかかると思っていたが、一週間もかからないうちに港に到着したと連絡を貰った。出迎えは俺たちは必要がないというので、俺たちは屋敷で待っている事に。

 俺たちが呼ばれるのを待っていると、誰かが部屋に入ってきた。

 リオが入って来た人に反応する。


「お父様!」

「リオ、元気そうで安心した」


 入って来た人が王太子だったようだ。俺たちが呼ばれて部屋を移動するのかと思っていたが、どうやら違ったようだ。王太子が来るとは、リング王国だと管理者の地位は本当に高いようだ。

 リオが俺たちを紹介した後に、王太子を紹介してくれた。


「ウィリアム・フォン・リング。リオの父で王太子だ。ダンジョンの管理者になった皆には私の地位は気にする必要はない」


 そうは言っても、俺たちには王太子を気にしないというのは無理なので、リオとベスがウィリアム王太子の相手をしてくれている。

 ウィリアム王太子は俺やドリーにルーシー様を助けた事のお礼を言った後に、王都で受ける手紙の内容が短期間で変わりすぎて意味が分からなかったという。


「ルーシーが助かったと言われたところまでは良かったのだが、リオがダンジョンに行くようになったと言われた辺りから、アルバトロスで起こる問題が多すぎて理解ができなくてな。王も同様だったため、私が直接アルバトロスに向かう許可が出たのだ」

「お父様が来られるのに許可が出るのは変だと思いましたが、お祖父様が王として許可をしたというのなら納得できました」


 部屋に居たレオン様がウィリアム王太子に謝っているが、ウィリアム王太子は短期間で色々と問題が起こっているのは分かっていると、謝る必要はないとレオン様と話している。

 管理者になった時のことや、ダンジョンからイフリートが複数逃げ出した事をリオとベスがウィリアム王太子に話していく。


「リング王国でアルバトロス以外でイフリートは確認されていない。ダンジョンから出たとしたら別の国だろうな」

「国内で被害は出ていないんですか良かったです」


 リオとベスの話が終わると、婚約について話が進む。ウィリアム王太子が気にしたのは当然リオとドリーの婚約であり、ルーシー様が管理者でメイオラニア辺境伯の娘なら問題無いだろうとウィリアム王太子を説得した。

 ウィリアム王太子は身分は気にしてないが、ドリーの年齢が気になると言う。


「リオは王族であるから話が分からなくはないだろうがな」

「そうは言いますがウィリアム。ドリーはリオと婚約をしなければツヴィ王国の王族から求婚されると思いますよ」

「どう言うことだ?」


 ドリーとガーちゃんの話をルーシー様がすると、ウィリアム王太子は納得した様子だ。

 そういえば忘れていたが、ドリーはツヴィ王国では人気になる可能性があるんだった。リオと早めに婚約しておかなければ大変な事になりそうだ。

 ウィリアム王太子がドリーにリオで良いのかと尋ねると、ドリーが元気よく頷いて同意したので、ウィリアム王太子も納得した様子だ。

 ウィリアム王太子が納得したところで、レオン様が話し始めた。


「それではまずベスとエドの婚約を発表する。発表のために貴族を集めて、皆が管理者となった事を報告する」


 ウィリアム王太子との話し合いが終わると、次はアルバトロスで発表する俺とベスの婚約の準備を始めた。


「ベスとエドにはアルバトロスの街中を馬車で回って貰う」

「回る?」


 回るって言うのは結婚の時にするものでは無いのか?

 俺とベスの婚約についての発表は、そこまで大袈裟なものでは無いと思っていたのだが、レオン様が話す内容だと俺の予想を大きく超えるものだった。

 そういうのはレーヴェの時に行うものだと思っていたのだが違うのだろうか?


「ベスとエドはアルバトロスで有名になりすぎた。婚約の報告をするだけだと屋敷の前が大変な事になる」

「俺も有名に?」


 屋敷の前が大変な事になるのはメイオラニアで起こった事だから分かるし、ベスが有名になってしまったのはエリザベス商会の問題であったり、サイクロプスの討伐で分からなくもない。


「エリザベス商会を作った一人だと、知っている人は知っている程度だったのだが、徐々に有名になっていったようだな。街のためにエドも諦めて欲しい」

「驚いただけで、嫌な訳ではないので問題はないです」


 嫌ではなくとも恥ずかしくはあるが、そうも言ってられないだろう。

しくじり転生の最初の構想で考えていたのはここまでで、次の更新でしくじり転生は完結します。

今後は回収しきっていない伏線を、外伝のような形で不定期で連載したいとは思っています。合わせて完全に放置してしまっている改稿作業も予定しています。


しくじり転生の完結とカクヨムで連載している小説が同時に偶然同時に完結してしまったので、新作を書き始めます。

タイトル(仮)は 路地裏の錬金術師 〜魔境のような村から出てきた錬金術師〜 

本日より、なろう、カクヨムにて、投稿を始めました。

↓に新作のリンクを表示させました(そのうち消します)。

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― 新着の感想 ―
[一言] 管理者達にラーメンとか日本の食いもん差し入れせんのか?(棒 王太子、ガーちゃん達に紹介しないの?ドリーの婚約者の親だし
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