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「後処理はこちらで済ましておきますので、お嬢様方は先にお屋敷にお戻りください」


 ミサトが事務的にそう告げる。

 この国にはこういった事後処理を行う部署がある。少しばかり悪い気がしないでもないけど、原因を作ったのは皇国の連中だ。桜陽が責任を感じることはない。


「では行きますか、十四番。今回の件は貸しですからね」

「はいはい。せっかくだから他の三人にも会いたいのだけれど?」


 エースの称号を持つ桜陽の他に「絵付き」と呼ばれる魔法少女がこの国には存在する。始まりの十三人の魔法少女の中でも特に強い四人がそう呼ばれている。


「残念だけど、あの娘達とは今、連絡をとっていないのですよ」


 キングは王都でメイド喫茶を経営しているのは知っている。ジャックは北方で雑貨屋の店主だと聞いた。クイーンに至ってはすでに魔法少女ですらない。桜陽も、魔法少女を事実上引退している。まさしく隠居の身だ。


 連絡を取ることは可能だが、このタイミングで十四番に会わせたくはない。

 こいつは正直言ってやばいのだ。


「そっか、それは残念ね」


 十四番は本当に残念そうな声でそう言った。ちょっとだけ心が痛む。そして美少女の憂い顔の破壊力は半端なかった。

 桜陽は気を取り直して問いかける。


「結局あなた、何をしに来たのですか」


観光とかいっていたけど、そんなはずはないだろう。


「反対派のあぶり出しかな」


 それは良いけれど、この国であんな大立ち回りをしないでほしかった。


「それで、わかったのですか」

「まあね。あとは帰ってからやるわ」


 敵がわかったのなら問題はないだろう。

 ならば早く帰ってもらいたい。早く片付けてほしいと思った。十四番が居たらまたトラブルが起きそうだ。もう巻き込まれたくはない。それは本心だ。


「それじゃあ、王都観光と洒落込もうかな」


 そんな桜陽の願いを、十四番は打ち砕く。かと言って一人で首都に行かすわけには行かないだろう。王宮からメイドを派遣してもらう事も考えたが、それはやめた。


「じゃあ、ケイに連絡しておきます」


 キングである板橋桜騎はケイと呼ばれていた。王都でメイド喫茶を経営している。魔法少女のくせに天敵であるメイドに身を落とすとは、一体どんな心境なのだろうか。とは言え、桜騎に任せておけば間違いないだろう。桜騎はあれで面倒見が良いのである。


「そう? じゃあ、よろしくね。あの人に会うのも久しぶり。楽しみね」


 十四番は、楽しそうだった。ならば問題ないだろう。


「お腹が空いたわね。早く行きましょう。今日のディナーは何かなぁ。メイドさんは料理の腕も素晴らしいのでしょう?」


 それは間違いない。我が国のメイドは何をやっても最高である。

 とはいえ、もう少しの間この厄介な客の相手をしなければならないのかと思うと、とてつもなく気が重かった。


「ほら早く!」


 そう行って走り出す十四番は、それでも、とても可愛らしかった。それをみた桜陽は思わず口に出してしまった。


「なまらファンタスティック」


 我に返った桜陽は苦笑しながら、十四番の後を追った。

お気づきかと思いますが、皇国の魔法少女は、なまらちゃん(雪ミク2014)がモデルです。

続編を考えてもいいかもしれない。

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