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他称邪神のアイリスさん  作者: イトーちゃん
第一章 魔王軍元帥のアイリスさん
3/46

3.コンボ決まる分オリジナルより強い

 1.魔王城・郊外


 今日の仕事は俄然分かりやすくなったな。上官を平然と侮蔑する生意気な四天王をわからせる事だ。


 会議室に居たメンバーは魔王城崩壊回避の為に緊急転移魔法陣で郊外に排出されたようだ。


「元帥様は皆に恐れられているご様子でしたが……実際にどのくらいヤルのか確かめておきたいと思うのは魔族の本能でしょう?」


 マーメイドちゃんもやる気である。最初はみんなこうなのだ。

 魔大陸は強い者が偉いシンプルな世界だ。

 もっとも魔王軍に属する魔族共などはそれぞれの元居た国では雑魚扱いされていただろうがな。

 魔大陸一般の認識では魔王軍など意識高い系青春派魔族が起こしたサークル活動だと思われている。

 私はそこに紛れ込んだ顧問の教師みたいなものだ。実力差があるのは厳然たる事実だが人伝の言葉を信じられず、自分で確かめたくなるのも無理も無い。

 魔族の友情は殺しあってからがスタートなのだ。


 さぁ! 来い!


 私は腕を組んで仁王立ちした。

 強者の余裕として当然先手は譲ってやる。


 ボコォッと音を立てて私は巨大な水球に包まれた。

 おお……なかなか面白い魔法だ。

 泳いで抜け出る事など不可能な大きさの水球。

 呼吸が必要な生物なら溺死確実の速攻魔法だ。

 そしてつまり私にはただのアスレチックと言う事だ。


 ヘイヘーイ! 人魚さんからのサプライズかな? 水遊びするような季節じゃないよ?


 まだ冬だぞ。


 ミシッミシッと体に妙な圧力が掛かっているのを感じた。

 これは…水球が縮んでいる!

 10m……9m……8m……水球が収縮していき圧力が増していく。

 隙を生じぬ二段構えの魔法であった。

 このままビー玉みたいにされてもよかったのだがマーメイドちゃんを調子に乗らせる訳にはいかないのでピシュンピシュンと魔力ビームを連続射出した。


「はぁっ!」


 気合一発。マーメイドちゃんはトンボを切って華麗にビームを回避した。

 陸に打ち上げられた魚の分際で回避力高いじゃないの〜。


「どのくらい保つと思いますか?」

「アイリス様の気分しだいでしょうから何とも」

「飽きたらそこで試合終了……」

「ビーム当たらんしなぁー」

「当たってもらっては困るのだが……」


 おらっ!


 私は全身に纏う魔力を沸騰させて水の拘束をブワッと蒸発させた。


「ならばっ!」


 ヒュンヒュンと襲いかかってくる水の触手を私は影の触手でビッと迎撃した。


「賭けますか?」

「いつ終わるかですか?」

「元帥がその気になったら今すぐ終わるのだが……」

「何を賭けるんで? 晩メシですかい?」

「今すぐ止めてほしいのだが……」


 それは本人が聞いてる時にする賭けじゃあないぞ。ニルバーナちゃんが「100年かかると思います!」とか言ったら私はマーメイドちゃんを100年間嬲り続けるハメになる。


 宰相くんがそっとニルバーナちゃんに猿轡を噛ませた。


 殺すぞ。


「皆よ! 少しくらい私を応援してくれてもよいだろう!?」


 マーメイドちゃんが声援を求めるが無理があるだろう。


「応援はします。しますが例え世界中の生きとし生けるもの全てが応援したとしても結果は揺るがないでしょう。」


 私が世界を敵にまわさない限りありえないシチュエーションだが宰相くんの言うとおりになるだろう。


「やはり魔力ビームですかね。舐めプ中に他の技を使うとも思えませんね」

 ブチッ「悪魔カッターです!」

「隕石……」

「俺も魔力ビームですかね」

「ナイトメア・ボルテックス」


 こいつら試合時間の次はフィニッシュブローを予想し始めたぞ。

 私の技の筈が私が聞いた事の無い技が混ざっている……

 しかし緩い雰囲気だ。これは良くない。これから勇者と戦おうと言う者達とは思えん。

 天大陸の中でも辺境の弱小国を一つ落とした程度でずいぶんと驕ったものだ。

 こいつらは勇者という存在の理不尽さをまだ体感した事が無い。

 天大陸には大小30近くの人間国家があるのに対して勇者は現在9人しか居ない。

 そして勇者は大陸中心近くの大国が抱え込んでおり、人間国家同士の戦争の抑止力として運用されている。

 人間達からしても奇襲でマヌケな小国が一つ落とされた程度の事でまだ慌てるような時間じゃない。

 よってこんな大陸の端っこまで遥々勇者はやってこないのだ。

 正確には正義感を持て余した勇者が一人来てたのだが私がこっそり退場させておいた。時期尚早だったからだ。


 予行演習が必要なようだな……


 私は元帥として腑抜けた魔王軍幹部共に活を入れてやる事にした。


 これから私は勇者が持つ神器の権能を再現した魔法を使う。

 ここから先は全員参加だ。


 全員がギョッとした顔でこちらを見てすぐに居住まいを正した。


 まずは……紅蓮の鉤爪!


 私は両手の中で小さな疑似太陽を生成しちょっと前まで余裕をぶちかましていたギャラリーの中心に射出した。

 地面に着弾した疑似太陽はカッッと輝きながら爆発。キノコ雲を生み出した。


 そして……波濤の戦斧!


 爆風に煽られて態勢を崩していた幹部共が津波に飲み込まれる。

 マーメイドちゃんが水流を操作して仲間を手繰り寄せ、ニルバーナちゃんが空気の膜を作り窒息から逃れる。


 濡れたな? ……霹靂の投槍!


 ミノタウロスくんが分厚い土壁を生み出し雷槍を受ける。

 着弾の衝撃で土壁は吹き飛んだが電流は地面へと受け流され感電は免れた様だ。


 次のは簡単には防げんぞ? ……垂氷の双剣!


 一瞬にして大地の上を伝播した冷気が体を濡らした幹部共を氷漬けにして地面へと貼り付けた。


 止めだ……堕天の戦鎚!


 イフリートくんが放った熱波が氷を溶かし、ニルバーナちゃんが竜巻を発生させ無理矢理味方を吹き飛ばす。

 ゴンッと音を立て、先程まで幹部共が氷漬けになっていたあたりの地面が円柱状に陥没する。


 まぁこんなもんかな。分かった?


 まだ全部を見せた訳では無いがこれ以上畳み掛けると死者が出そうなので切り上げた。


「参考になったよ……」


 返事が出来るくらいの余力があったのは魔王くんだけのようだ。流石だね!


 ちなみに勇者はこの規模の攻撃を魔力消費為しで撃てる。神器を通じて世界から魔力供給が入るからね。

 神器に内包出来る魔力量の関係もあって連発してくる事はまず無いけど、継戦能力では勝ち目が無いと思っておくこと。


 元帥的要件を済ませた私はマーメイドちゃんへと殴りかかった。


「何故!?」


 何故って喧嘩の途中だったでしょ?

 魔力使い切ってバテバテだろうから私も魔法は使わないであげるよ。フェアだろ?


 2.結果発表


 15分TKO

 フィニッシュブロー マウントからの腹パン

 アイリス 自室謹慎3日

・神器の権能と保有国、保有者。

審判の鏡剣。裁き。聖辺勇斗

慈愛の聖杖。愛。聖辺愛理

名誉の長刀。魅せる。柳生宗一郎

畏怖の大鎌。恐れる。帝国。ティルファ。

煌天の昼杖。光。聖国。カリオラ。

静天の夜杖。闇。王国。ベルンハルト。

紅蓮の鉤爪。炎。共和国。レオン。

疾風の短剣。風。王国。カスパール。

垂氷の双剣。氷。聖国。シャーリー。

霹靂の投槍。雷。聖国。エクレール。

波濤の戦斧。水。共和国。ベアード。

堕天の戦鎚。重力。帝国。グレゴリオ。


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