真実の鏡
鏡に映っていたのは、口をポカーンと開けた
寝ぼけ眼のままのイケメン
「うぉお、…かっけぇ…」
思わず、鏡に前のめりになる
イケメンは、正義なので
どんな表情でもカッコイイ
例え、寝癖ボサボサでヨダレ垂れていようと
そんなものは、目を潰れるレベル
鏡のイケメンに手を振ると振り返してくれる
きゃっ♡ファンサが良い♡
サラサラの金糸の髪に怪しく揺れる紫暗の瞳
通った鼻筋、程よく綺麗に色づいた薄く艶やかな唇。彫りが深く彫刻の様だ。
輪郭も完璧でこんな造形の顔、自撮りした後にフォ〇ショ加工した後じゃないと現実で有り得んと思ってたわ。
ーーなにより
推しと見た目被りすぎてこんなん推すしかないやん
2.5でもこんなハイクオリティな人見たことない
「ナルシストも大概にしてください」
鏡に魅入っていたら、先程のイケメンが声を掛けてきた。
「最近の鏡は、喪女ではなくイケメンを映すのね」
普通、自分で喪女なんて言ったら虚しいが
ちゃんと立場を弁えたオタクなので、
自分が喪女ということはちゃんと自覚済みである。
「喪女?鏡は、己を映す真実ですよ」
「はっはー!真実となー!w」
「え?」
もう一度、鏡に向き合い、
モデルがよくやる虫歯痛いポーズ、首痛めポーズをキメ顔でしてみる。
何してるんだこの人は、という視線がチクチク刺さる
それでも、と
ここまでしといてまだ往生際が悪い私は
ゴクリと生唾を飲み込み
意を決して、確信を持つため
両手を挙げ、最後のポーズを取る。
「アヘッ!!!」
そうアヘ顔ダブルピースである。
「…うわ」
イケメン執事がドン引きしてる
そんな顔も可愛いよ♡♡♡バチコーン!!♡♡♡
「アヘェーーーッ!!!♡♡♡」
これは、酷い