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1章 9話 合格。。

1章 9話 合格。。


らんとビジネスホテルに戻り精算して広島駅に向かった。

乗ってきたレンタカーで駅に向かう。

あの二人は?

明け方、6時頃部屋を出ていったらしい。

ターゲットは会社に行くのだろう。

さちこは、

おそらく広島見学でもして、帰りに一緒に帰るのだろう。

我々の仕事は完了した。

今回は出張先で、女と会うかどうかがポイントだったので、さちこと会った時点でほぼ任務完了だった。


そして、広島からの新幹線内でらんはタブレットに報告書をまとめている。

改めて思ったが、らんは事務能力に長けている。

色々な下調べもそうだが、探偵向きというより、秘書向きだな。

こんな優秀な秘書がいたらいいのにな。美人だし、、

そう思いながら、流れる車窓を見ていた。


そして、事務所に到着する。


「お帰り。メールで報告書読んだわ。今回の任務完了ね。」


もう一人の美人、、石井所長が笑顔で迎えてくれた。

この人は人を安心させる何かを持っている。

私と歳は離れてても5歳ぐらいしか変わらないだろうに、らんといい石井所長といい、すごい人達がいる事務所だ。

きっと残りの5人も優秀なんだろうな。

あいにく、他の所員はいなかった。

そして、石井所長は私にこう話しかけた。


「そして、石川君。あなたも合格よ。」


私は、一瞬何のことか分からなかったがすぐに思い出した。

あーそうか、これは提携するかどうかのテストみたいなもんだったな。

合格も何も、私は運転以外何もしていない。。

「いえ、、石井所長、、なんか何もできなくて、らんさんに助けられてばかりで、、」

「まあ、最初はそんなものよ。それより、合格と言ったのは別の意味よ。」

「別の意味??ですか?」

「あなた、らんと2回もホテルに行ったのに何も手を出さなかった。ちゃんと仕事のために欲望を抑えれる、って事ね。」


え??

手を出さなかったも何も、、寝てしまって出しようがなかっただけだが、、

続けて石井所長は話した。

「今回の案件、あなたを試す意味もあった、それは承知だと思うけれど、らんに手を出すかどうか、、そこが最大のテストだったのよ。」


え??

らんに、手を出すか、、だって??

あーー、、なるほど、、

仕事を忘れて、パートナーの女に手を出す奴となんか提携なんて出来るわけがない。。

「あーーー、なるほど。」

私はそれしか言えなかった。。が、、一つ腑に落ちない。


「でも、、もし、、私がらんさんに襲いかかってたら、テストも何も傷つくのはらんさん本人だと思うのですが、、」

いくらテストでも、自分の部下が傷ついていいわけがない。

聡明な石井所長がそんなリスクをするのだろうか?

「あー、それなら大丈夫。らんはうちの事務所で一番の武闘派よ。合気道に空手、、、あとなんだっけ?」

そう言いながら、らんの方を見た。

「柔術です。」

「そうゆう事。」

石井所長はコーヒーを飲みながら、椅子に座った。

私は開いた口が治らない。

そして私に問いかける。

「ところで、隣町での探偵事務所。場所は決まっているのかしら?」


「え?あ、、ええ、、」


じゃあ、と言って紙とボールペンを私に差し出す。

「ここに住所書いて、オープンしたら営業開きのお祝いを届けるから。」

さすが大人。

私は、事務所の住所を書き込んだ。


そして、私はいしいゆか探偵事務所を後にした。


1ヶ月後、、、


いよいよ新しい事務所のスタートだ。。

初日、、

どんな事件が来るんだろう。。

最初は嫌な仕事でも受けるしかないだろうな。。

そう思いながら、新しい事務所の看板を外から眺めていた。


「石川君!」


そこに石井所長とらんが来た。


「いよいよオープンね。しかし、、なんでこんな場所を。」

そう言って石井所長は、新しい事務所をまじまじと見る。

らんは、少し笑っていた。

「まあ、安いのもありますけど、誰でも親しみがあるじゃないですか?やっぱり探偵事務所って行きにくいからその行きにくいハードルを下げたくて、、。」


私は中へどうぞ、というジェスチャーをしながら中へ案内した。

「まあ、あなたらしくていいかもね。」

石井所長は中へ入りながらそう言った。

何かお茶でも、、と思ったが、石井所長は忙しいからお祝い品だけを渡してすぐ帰ると言う。


「お祝いものって、なんだと思う?」


出た!石井所長のクイズ。

私は無難にお菓子?とか缶詰め?とか言ってみる。

もちろん、わざわざクイズにするぐらいだからそんな簡単な答えではないだろうが、、


「お祝いは、、目の前にいる、、らんよ!」


!!!

え!?

結婚??


「まさか、結婚相手とか思った?」

図星だ。。

「お祝いと言うのは、このらんを出向させるわ。そうしたら提携の意味が強くなるでしょ。しかもらんは事務能力、情報収集に長けてるから、ほら、あなたの所、、人がいないでしょ?電話番はどうするの?」


それは、、、、

超嬉しい!!

人手の事より、らんにまた会いたかった。

それが一緒に仕事ができるなんて。

私は、超感謝した。


そして、石井所長は席を立った。

「いい?石川君。どんな事でも専門分野ってのがいるのよ。

例えばうちなら、尾行のプロ、盗聴のプロ、変装のプロ、交渉のプロ、鍵開けのプロ、それぞれプロがいる。

その中でも情報収集のプロであるらんをあなたに貸す。

この意味を分かって頑張ってね。」

そう言って石井所長は他との約束があるから、と言って帰っていった。


らんは、事務所の中を見渡す。。


「これからよろしくね。まあ電話番はぐらいはできるから。」

そう言って、らんは考え込む。。

「そうだなー、、なんて呼ぼうかな、、あなたの事。」

確かに、、

今までらんは、私の事を『あなた』と呼んでいたな。

「まあ、この建物だと、、、差し詰め、、店長でいいかしら?」

「店長??なんでやねん!?」

私は思わず関西弁で突っ込んだ。


まあ、この建物だったら仕方がない、、

いや、やはり私の憧れていた探偵像からはかけ離れる。

「せめて、所長と呼んでくれよ。。」


らんは、にやけながらソファーに座る。

こんなニクい仕草もいちいち美人だ。


「ところで、女探偵の7つ道具って何か知ってる?」

七つ道具?

まあ、私も探偵に憧れたからそれぐらいは分かる。

『万年筆型のライト』とか、『どんな鍵穴でも開けてしまうピン』とか、、


「うーん、、何だろう?女性限定か、、」

らんは小さいビンに入っている錠剤らしきものを取り出した。

「これ、、なーーんだ。。」

ん?薬。。

「店長、気が張ってて逆に寝れなさそうだったからね〜。これのおかげで良く寝れたでしょ。。」


え??

まさか???


「合格できたのは、これのおかげかもねー。」

らんは小悪魔の如く笑う。

いや、、

最早、悪魔だ。。


「らん、、そうゆう事か!通りで2回とも良く寝たはずだ。思い起こせば、らんがコーヒーを入れた後と、広島の時はビールをグラスに注いでくれたな。。あの時か。」


「早速、推理ね。。ご名答!」


私は、大きくため息をついてタバコに火を付けた。

そっか、あの時睡眠薬を飲まされたか。。

なんて女だ!


しかし、、らんが続けて言った、『合格できたのは睡眠薬のおかげ』ってのもまんざらでもない。

確かにらんみたいな女とホテルに行って何もしないなんて、未だに自信がない。しかも2回も。。


!!

まさか!?


らんは俺のテストの意味を知っていた??

としたら、俺を合格させる為に?

わざと薬を入れてくれたのか?

身を守る為だけに睡眠薬、ってだけでもやり兼ねないが

実は俺を合格させる為に、、、


私はタバコを咥えたまま、らんを見た。


「店長、タバコを咥えながらの考え事って、名探偵みたいね。見ようによっては。」

「らん、もしかして、、」

私が話そうとすると、らんは遮るように会話を被せてきた。

「さ、もうその話はいいじゃない。それより私の机はどこ?

パソコンはセキュリティーは大丈夫?しっかり稼いでよ。店長!」


そう言って、らんは2個しかない机の一個にカバンを置いた。

そうだな。

もうそれはどっちでもいいか。

何にしろ、憧れの探偵事務所がオープンした。


『いしかわ探偵事務所』

その後に、一つ付け加えた。

『変わった案件承ります。』


そう、、変わった案件、、これならただの不倫調査は来ないだろう。

しかし、敷居が高いのも嫌なので、事務所は雑居ビルと雑居ビルの間にある小さいコンビニ。

ここの跡の建物を借りた。

後々、業界連中からは、『コンビニ探偵』と揶揄される事になるが、、

らんから『店長』と呼ばれるのもこの建物の事を皮肉って呼んでいる。


こうして、小さい小さい元コンビニの建物から憧れの探偵事務所がスタートした。


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