1章 8話 宿泊。。
1章 8話 宿泊。。
「あなた、出張に来たら誰と晩御飯食べる?」
「まあ、普通は現地の同僚ですよね。滅多に会えない仲間なんだから。」
「そうよね。そうだとしたら怪しいわね。こんな時間に一人で、、」
らんは少しニヤケながら、
「どう?かける?この後さちこちゃんが来てるかどうか?」意外な申し出に驚いたが、面白そうだ。
「確かに怪しいけど、、わざわざ広島で会う事はないでしょ。観光で一日一緒におれるならまだしも、、明日には名古屋には戻るんだし、、」
私は、そう言って会わない方にかけた。
らんは、さちこが来る方にかけた。
今日の晩御飯をどちらが払うか。。
「ブログ、、」
え?
「出会い系の子ってね、自己紹介も兼ねてブログとかしてる子が多いの。そこに、、、」
そう言って、らんは携帯の画面を見せてくれた。
〜明日は広島でお好み焼き食べて来まーす!〜
ピースサインのさちこの写真にこの文字が、、
あ!、、
らんはニヤリと笑ってこちらを見た。
やられた、、
そっか、さちこちゃんは広島に来るんだ!
しかしらんがこんな会話をしてくるなんて、だいぶん打ち解けてきたなぁ。
そう思いながら、少し喜んでいる自分がいた。
ターゲットの営業車はビジネスホテルに入っていった。
私達も後に入って行く。
チェックインをするターゲットとらんと私。
私は自分のチェックインを済ませるとすぐにフロントのソファーで待つ事にした。
部屋にはらんだけが向かう。
この後、どう行動するんだろう。
さちこと合流して、、お好み焼き屋に行って、、
ラブホテルかな。。
ここには宿泊はしないだろう。
こうゆうホテルは、意外と女を連れ込むと面倒だ。
フロントに夜中でも人がいるから、宿泊客じゃないと中々入りにくい。しかも出張で会社名で予約しているだろうから、、
らんもしばらく経ってエレベーターから降りて来た。
そして、ソファーで待つ。
ここのホテル周辺の地図を携帯で見ている。
そして、エレベーターからターゲットが出てきた。
歩いてどこかへ向かう。
私とらんも後を追う。
まあ、駅に向かうのだろう。
このホテルから駅は歩いて5分ぐらいの所にある。
そして、、駅前。
さちこだ!
やっぱりだ!
少し背の小さい可愛らしい女の子がいた。
まあ、俺はタイプではないけど可愛いな。。
そう思いながららんを見る。
いや、、この女は別格だ。
人の多い所を一緒に歩くとよくわかる。
すれ違う男共がほぼ全員らんを見ているのがわかる。
それはそうだろう。。
どこかの女優さんとマネージャーにでも見えるのだろう。
そして、追跡が始まった。
追跡っていっても、お好み焼き屋さんに行ってホテル、、
でも、その方がありがたい。
少し疲れてるし、何しろ、、腹が減った。。
案の定、駅前のすぐにお好み焼き屋がある。
そこに仲良く腕を組んで入って行った。
じゃあ、私達も腕を組んで入ってみようか、、
と思い、腕組んで見ます?
と冗談を言ってみたら思いっきりシカトされた。
お好み焼き屋。
楽しげに会話をしている二人。
地元ではない広島で、羽根を伸ばしている。
楽しげな二人を見ていると、こちらが悪い事をしている気がしてきた。
らんは気づかれないようにカバンに仕込んだ小型カメラで録画している。
店を出た。
仲よさそうに寄り添って歩いている。
そして、繁華街の外れにあるラブホテルに入って行く。
例によって後を追う。
運良く隣の部屋が取れた。
部屋に入るターゲットとさちことらんと私。
正直、もう録音は懲り懲りだ。
もう証拠は充分揃っているはず。
私はミッション完了だと思っていた。
それよりも、、
らんと、お泊り。。
男として何もしなくて帰るのか、、
私は自問自答していた。。
私もらんもお好み焼き屋でお酒を飲んでいなかった。
部屋に入るなり、らんは、
「もういいでしょう。録音は。ホテルに入る所も録画したし、もうここまでね。とりあえず乾杯しましょう。」
と言って、ビールを注いだグラスを私に渡した。。
私は少し気が抜けた。緊張がほぐれた。
一気にビールを飲み干すと、、
朝早かったせいか、いつのまにか寝てしまった。
朝、、
目覚めると、らんはコーヒーを飲みながらテレビニュースを見ていた。
「起きた?シャワーでも浴びたら?帰る準備が出来次第ビジネスホテルに行って精算して帰りましょう。」
時間は7時前か、、
相当疲れてたな。。
私はらんの言う通りにした。