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3章 2話 動揺。。

3章 2話 動揺。。


なんだか微妙な空気。それはそうだろう。なんせライバル同士なんだから。こうゆう時は空気の読めない私の出番だ。

「皆さんはなぜ探偵を始めようと思ったんですか?」


私の思いがけない言葉にみんなの時間が止まる、が、次の瞬間場が和んだ。

「そっか〜、知りたいよなぁ、石川君」

青田が笑いながら声をかけてきた。

竹川はキーボードの手が止まっていた。

石井所長はとうに忘れたわ。と言って優しく微笑んだ。

らんは、、

無表情だ。やはりこの話しはあまりしたくないのか。

昔に何かあったってのは前に聞いたが。。


「僕はね〜、正義感!って言いたいけどお金の為かな、やっぱり。」

青田が答える。正直でいい奴だと思った。

「それを答えるのは企業秘密ですね。」

竹川が冷静に言う。メガネをクイっとさせながら。


そして、一人の男が入ってきた。

「皆さんおまたせ致しました。」

歳は60歳から70歳ぐらいだろうか、長身で一見ダンディーにも見える。が、眼光は鋭い。昔は怖かったんだろうな、と思わせるオーラがある。

「私が今回皆さんをお呼びだてした、前川です。」

そう言ってその男はソファーの前で挨拶した。

我々も一人、一人、名前を言って挨拶する。

そしてソファーに腰掛ける。

「色々お調べしまして、名探偵と呼ばれる御三方、あ、失礼、四人さんをお呼びだてしまして大変失礼致しました。ただ、失礼を承知で来て頂いたには訳があると思って頂いて構いません。」


探偵側は何も声を発さない。この流れで早く依頼内容を聞きたいからだ。空気を読めない私でも前川の話しを待っている。

「もうお互いの自己紹介は済んでるだろうから、早速依頼内容を。」

そう言って前川は1枚の写真を全員に渡す。

そこには、、

!!!

嘘だ。

その写真を見てすぐにらんを見る。

らんも少し、ほんの少しだが目がびっくりしている。

あの冷静ならんでもびっくりするこの写真。

しかし、コンビを組んでいる私しからんのその微妙な変化に気付かないだろう。

私は明らかに動揺している。が必死に態度に出ないようにした。


そこに写っている写真。

そこには、ニューナンブが写っていた!


私は動揺を隠して他の三人の探偵を見る。

普通に写真を見ている、っぽい。

それはそうだろう。この拳銃の写真が一体?ぐらいしか思わないだろう。


前川はみんなが写真を見たのを確認すると、こう依頼した。

「その拳銃を取り戻してほしい。」


!!!

何!?

このニューナンブが前川のだって!?

流石に、心臓がバクバクしてきた。

らんもきっと心が動揺しているんだろう。

と思い、らんをチラ見した。

もう興味がないのか写真をテーブルに置いて綺麗な脚を組んでまっすぐ前川を見ている。


さすがクール女子。こうゆう所が年下なのに尊敬できる所だ。


石井所長がみんなの心を代弁して聞く。

「これは穏やかな話しではありませんね。前川さん。そう言った話しは警察にお話しするのが筋ですが、まあこれでは言えませんわね。」

「その通り、石井君。警察には言えんのだよ。警察には。事件が起こる前に取り戻してほしい。そして犯人を突き止めて欲しい。」


もう事件は起こりかけてるよ。おっさん。と心の中で毒つく。


「詳しくお話しをお聞かせ下さい。」

冷静に竹川が言う。そのメガネクイは辞めてほしい。

「盗まれたって事っすねー。」

青田が確信を言った。この人にかかれば全然深刻な話に聞こえなくなる。


「言える所までだが、10月にはあったのだよ。そして先週ない事に気付いた。」

青田は指で数えだした。11、12、1、、、

「5ヶ月間の間に盗まれた、、って事っすか?」

「滅多に開けない金庫って所かしら?閉まってあったのは。」

すかさず石井所長が推理する。

「流石よく分かるな。そうだ。金庫だ。そこの更に奥の隠し扉に閉まってあったのが盗まれていた。」

「その金庫にはこの拳銃以外にも何か閉まってありましたか?」

今度は竹川が冷静に質問する。

「その隠し扉は拳銃だけだが、その手前には現金が400万ぐらい。それだけだ。」

「で、その400万も一緒に無くなっていたって事すか?」

聞き方は軽いが真剣に質問する青田。

「いや、400万は盗まれていない。拳銃だけだ。」


しばし、沈黙。四人の探偵は頭の中で推理している。

恐らく、思った事は同じだろう。

ピンポイントで拳銃を盗んだ。しかも隠し扉がある金庫だ。

これは完全にプロの仕業だ。

「部屋は荒らされていなかったんですか?」

私が聞く。

「荒らされてはいない、が、多少物色した後があった。まあ、それは今思えば、ってレベルだが。」


私は探偵三人が、ひとつ重要な事を聞かないといけないのに誰も聞かない事に興味を持った。

誰が質問するか、黙っていよう。


「この拳銃、どうやって手に入れたんすか?」

青田、、それは確信すぎるぞ。

その質問は後でいいだろう。

「それは言えない。」

ほらな。

「この拳銃、使用した事はありますか?」

竹川、、それを聞いてどうする?

「それは言えない。」

ほらな。

「弾は一緒に全部取られたんですか?」

さすが石井所長!

それだよ!その質問!過去の話しより今、進行形の話しをまずは聞かなきゃな。

「ああ、、全部取られた。」

「何発ですか?」

「全部で、二発だ。」

やっぱり、、

「しかし、もう弾も湿気ってるし、錆びてるから撃てないとは思うが、、」


!!?

もう撃てない?

そう言われたら、弾は錆びてたな。

拳銃そのものにびっくりしたが、冷静に考えると錆びた弾で撃てる訳がない。

じゃあ、元旦のあのビルの発砲はこの件とは関係ないのか。


「皆さんに言える事は、この拳銃の過去の事は一切話せない。ただこの拳銃を取り戻して欲しい。差し当たり、」

そう言いながら、奥のチェストの引き出しから札束を持ってきた。

札束4つ。

「ここに400万ある。引き受けて貰えないなら、口止め料で一人100万取って頂き帰って頂く。ここにサインして貰って。」

口止めの誓約書だ。

用意周到だな。

「もし引き受けて頂くなら、手付けと経費含めて一人400万今日用意する。もちろん追加の経費があれば請求して頂いて大丈夫だ。そして、無事拳銃を取り戻して頂けたら、

その探偵には1000万払おう。もちろん警察にばれずに取り戻すのが条件だ。」

お、、、

あのニューナンブをこの男に渡せば1400万か!綾から依頼料貰わなくても、初月の売上としては最高だな!

なんて、思えれば私は幸せな性格だった。

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