1章 2話 提案。。
1章 2話 提案。。
その女性は、少しニヤケながら私を見つめる。
私が所長?
さっきの主婦っぽい女性は、、??
同一人物にしては声が違う。
この後から入ってきたいい女。
こっちが本物の所長?
じゃあ、さっきの中年のおばさんはからかってたのか??
私が明らかに動揺していると、楽しむかのようにその美人は言った。
「まあ、私の変装は見破れないか。」
!!
何!?
変装だって??
「変装!?」
その美人の顔を見る。。
先程のおばさんを重ねる。。。
確かに、、面影はあるか、、
「まあ、これもどうやって変装してるのかは内緒。スタイルも細工すれば変えられるのよ。どう?あなたの憧れの探偵は?」
いや、、しかし、、変装か、、、
だけど腑に落ちない事が一つある。
「変装しても声は、、?さっきの女性と声が全然、、」
「全然違うかしら?どう違う?」
「いや、今の方が全然綺麗な声。さっきのは、、中年のおばさんにしか、、」
「あら、探偵は声ぐらい変えられるものよ。」
あ!
今まさに話したこの声は!さっきのおばさんだ。。
私は、関心してため息をついた。。
「すごいですね〜。。全然分からなかった。」
「まあ、こんな変装をしなきゃいけないのは1年で1回あるかないかよ。。」
すかさず、その美人所長は言う。
「あなた、中々いい観察を持っている。じゃあ、一つ質問。さっきのおばさんと今と、、同じところが一つある。それはなんでしょうか??」
「え?うーーんと、、ホクロか、、、眉毛か、、、何だろう。。」
「その局地だけを見るのは探偵としてはダメよ。もっと大きい所から見ないと。」
大きい所、、、局地、、、、
分かった!
「女性だ。。性別!」
「そう。」
美人所長は、クールに一言言った。
やっぱり本物の探偵はすごいな、、私は妙に満足していた。。
「で、、あなたを雇うかどうか何だけど、、」
あ、、そうだった。これは面接だ。。
「あなた、、本当にここに入りたい訳ではないでしょう?」
何でもお見通しか。。この美人所長もタダモノではないな。
「なぜそう思うのですか?」
私は逆に聞いた。
「お、、図星だね。。」
美人所長はからかうように笑顔で言った。。
この女、、かまかけやがった。
こうゆう女と付き合ったら面倒くさいだろうな。。とっさにそう思った。。
「ここに興味本位で来た?それはないでしょう。。何か依頼でもあるのかしら?依頼する前に下調べをしているとか、、」
なるほど、、これが探偵気質、、って言うのだろう。
勝手に想像してやがる。。。
私は、本音を話す。。
「今日こちらにお伺いしたのは、ご提案です。石井所長。」
「提案??」
「はい。この隣の街で探偵事務所を開こうかと思っています。で、、ただ、、うちで手に負えない、、つまり人手が足りない時はこちらで請け負って頂ければと、、」
美人所長は、少し驚いたような顔を見せた。しかし、それは一瞬だ。きっと頭の回転の速い女だろう。。瞬時に理解したはずだ。。
「つまりは、、提携。。」
さすが察しが速い。
「はい。。」
「あなたそう言って、やりたくない案件をこちらに振りたいだけでしょう。。」
何て頭がいい、、私は正直に話す。
「いえ、請け負いたくない案件なら断って頂いて大丈夫です。あくまでお願い、、と言う事で。。」
美人所長は、片肘をついて少し考え込んでしまった。
その時、、密室のドアの向こうから物音が聞こえた。誰かが帰ってきたらしい。
「あ、、ちょうどいいかも、、」
美人所長はそう言って部屋を出て、帰って来たらしい人に声をかけた。
「いいところに帰ってきたわ!ちょっと紹介したい人がいるから少しこちらに来て。」
その美人所長と現れたのは女性、、、
!!
私は、空いた口が塞がらないかと思った。
それぐらい、、、
超美人だ!!!
私はこんなに美しい女性は初めて見た。。
美人所長が普通に見えてしまう。。
「ちょうど帰って来たから紹介するわ。こちらはとなり町で探偵事務所を開くご予定の石川君ね。」
超美人は、、
私を冷たい目で見ているだけだった。。
「石川君、紹介するわ。この子はらん。うちの所員ね。」
らん、、。
この愛想がない超美人。。
美人で愛想がないのは性格が悪いと昔から相場は決まっている。
私はこの先、何か嫌な予感がした。。