第3話 盗賊のミイ
「ここはどこだ?」
どういう状況か全く分からないので分かる範囲で情報を集めてみる。
まず視界が目隠しされてるから無い、聴覚も複数の足音と自分の息ぐらいだ。
触覚に頼ろうとも縛られて、何処かに運ばれているみたいだ。
ピクリとも動かせないのでかなりキツく縛られてある。
嗅覚は全く分からん。まあ人間だから嗅覚は無理だよね
何故捕まったのかも分からない。恨みは持たれていないはずだし
人身売買か身代金か?
人身売買は無いな、こんな虚弱体質な男を誰が買う?
となると身代金目的か・・。
色々と考えてたら段々不安になり
考える事を辞めたら不安が襲ってくる
情処不安定になりそうだ……
(ふう、どうやら着いたみたいだ)
目隠しと縛られてた紐を解いてくれたので辺りを見回すと沢山の盗賊が洞窟で酒を呑んでた。
「金さえ貰えば殺しはしないから安心しろよー、殺しは、な」
「ギャハハ、優しいな〜殺さないってさ、」
「ドガ、バキ」
何度も殴られて全体痣だらけになるまで殴られ続けてる
「おっと、殺したら金になんねーからそこまでにしろよー」
「あーい」
理不尽な暴力を受け牢屋に蹴られながら入れられる。
「ううう………」
「大丈夫?」
上を見ると獣人、見た目は可愛い白い毛並みの女の子。
よく見ると右腕が欠損してる。
心配そうにこちらを見てる
「うん、大丈夫……」
「またあいつら暴力を振るって・・」
この獣人の子も同じく誘拐されたのか、
「あなたも誘拐されたの?」
「私は・・ここの盗賊に裏切られたの」
私はミイ、元冒険家。 冒険家の中でも最上級であるSランク。
あの頃は有頂天だった、周りから天才と呼ばれ、才色兼備と自負してたの。
その時にBランクだった人も小馬鹿にしたわ。
ある日、少しのミスでドラゴンに右腕を持ってかれた時、私の冒険家としての活動は終わったわ。
パーティーの誘いも全く来なくなり、野次馬みたいな人も居なくなったわ。
Cランクの依頼も失敗続き、あの時Bランクと小馬鹿にしていた人からも馬鹿にされ
次第には酒場に行って酒を呑み、借金が増えていったのよ。
その頃に盗賊アリババ団からの誘いが来て、借金もあるしやることも無いから了承したわ。
最初のうちは、こんなに金貨が貰えるの?と思うぐらいの金貨を貰えたから喜んでたけど
それは信頼や安心を売る罠だったのよ
ある日、盗賊の仕事の途中で忘れ物をしてアジトに戻ったら、
私をいつ売るかの話をしていたわ
逃げようとしたけど捕まって、今の現状よ・・。な感じを隠す所は隠して伝えてみたわ。
・・・どうせ、話しても何も変わらないし。無言よりはいいかな。
「そうだったの・・酷い事を聞いてごめん」
「あっ、聞いて欲しくて言っただけだから気にしないで、というよりお互い名前知らないのに悩み話してたね。」
「アベルと言います、アベルって呼んで下さい。」
「私はミイ、ミイで良いわ」
「じゃあミイさんで良い?」
「別にさん付けなくても・・まあ呼びやすい名前で良いよ。少しの間だけどよろしくな、アベル」
「アベル? もう寝たのか。。神経は太いな」
(まあ、男にしてはちょっとナヨナヨし過ぎ、顔は良いけど全くトキメかないや……)