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天色のなみだ  作者: 夏目はるの
51/70

第51話

高校に入ってから、奈月は少し変わった。

前よりも本当の笑顔が増えたのだ。


理由は千里との出会いだろう。


千里は少し強引な所があったけれど、奈月の事を本当に大切にしていて、

奈月も千里の話をすることも多かった。

2人のような関係を、親友と呼ぶのだろう。


委員会を通じて佐川とも仲良くなった、

そう話していた時もとても嬉しそうで。




高校2年生の夏、皆で海に行った。


皆が海に入ってはしゃぐ中、

奈月は海に入る事が出来なかった。

皆に痣の存在がバレることを嫌がったからだ。


体調がすぐれなくて海には入れない、

そう話した奈月をみんなはとても心配して。

その時の奈月の心苦しそうな表情は今でも覚えている。

皆を騙してしまっている事に、罪悪感を抱えていたのだろう。


それでもビーチパラソルの下で海を眺めていた奈月の表情は穏やかで。


皆も暇さえあれば奈月の所へ行き、

体調を心配したり冗談を飛ばしあって笑ったり。


海で遊んで、

バーベキューをして、

花火をして。



線香花火を眺めて微笑む奈月の横顔を、

俺は絶対に忘れない。




恥ずかしくなって軽口で誤魔化してしまったけど、

クリスマスにはデートに誘った。



「クリスマス、千里と2人で出かける事になった。」

「奈月に聞いた。良かったな。」


クリスマスの前日。

照れ臭そうに笑って俺にそう告げた神谷。


「お前モテるのにヘタレだからなー。」

「うるさいよ。」

「よく頑張りまちたね~」


俺のからかいに笑って肩を叩く。


「とか言ってる要は?奈月ちゃん誘えたの?」

「・・・一応。」

「なんだよ一応って。」


誘えたは誘えたけど誤魔化しちゃった、

そう素直に言えば神谷は吹き出して。


「お前の方がヘタレじゃん。」

「うるせえよ。」


形勢逆転。

その後しばらくいじられ続けてしまった。



クリスマス当日。


プレゼントに選んだのはネックレス。

奈月はとても嬉しそうに笑ってくれて。


…本当は。

渡すときに、告白をしようと思っていた。


何回も頭の中で言葉を反芻させて。

何度も口に出そうとした。


けど、言えなかった。


怖かったのだ。

奈月のそばにいれなくなる事が、怖かった。


俺の余計な感情が奈月を1人にしてしまうのではないか、

そう思うと怖くてたまらなくて。


俺は結局弱虫だ。

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