第38話
「…これ分かんない。」
「教科書98ページを読んで下さい」
「これはー?」
「・・・66ページ!」
「これ」
「211ページ!!」
声を荒げる私と拗ねる要。
…完全なるデジャヴである。
「少しは自分で考えなよ。」
「そうだそうだ!神谷くんもっと言ってやって!」
参考書を片手に神谷くんが援護射撃。
その横で千里は必死に教科書をめくっていた。
2月後半の期末テストへ向けて、
神谷くんの家で開かれた勉強会。
今回ので2年生最後のテスト。
そのためこのテストで赤点をとるのは非常にまずい。
…のだが。
「…どうしようもう無理。」
「千里、まだ勉強始めてから30分も経ってないからね。」
「いやもう無理だって進級できる気しない。」
「諦めるの早すぎだわ。寝るなよおい。」
「大体さあ、日本史なんて将来使わなくね?」
「要お前は開き直るな。」
シャーペンを放り出して寝転がる千里と、
もはやペンを握る気すらない要。
神谷くんと目があって、はあ、と2人同時に溜息をつく。
今回のテスト、赤点が一教科だけならまだ許されるが、それ以上となると進級の危機となる。
…つまり。
「ちょっと待って俺たすき掛けできないわ。」
「ねえねえ英語って何からやればいいの??」
「「…はあ。」」
化学と数学が壊滅的にできない要、
そして全般的に勉強が苦手な千里は、
現在非常に危ない状況にいるのだ。
学年トップ10に常に入っている神谷くんと、
そこまではいかないが30番前後をキープしている私。
みんなで進級できるよう、テスト前に急遽勉強会を開いたのだった。
「…奈月ちゃんは数学得意だよね?」
「それなりには。」
「よし。じゃあ要に基礎の基礎だけ教えてあげて。俺は千里に英語叩き込むから。」
「よっしゃ任せて。」
別にすごくいい点数なんてとらなくてもいい。赤点を免れさえすればいいのだ。
幸い私たちの通う高校はそこまで偏差値の高い学校ではないため、
平均点はそこまで高くないだろう。
…だらけてやる気を出さない要に
無理やりシャーペンを握らせる。
「とりあえず、この問題やって!」
「…やってって言われてもできないし。」
「いいから!やってみなきゃ分からないでしょ!!」
「でも…」
「早くやれい!!!」
ペシッ、と持っていたノートで要の頭を叩けば、拗ねながらも問題に取り組み始めた。
横を見れば千里も同じように神谷くんに怒られていた。
…テストまではあと3日。
ここまできてもやる気を出さずに謎の自信を語っていた要を千里。逆に尊敬する。




