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天色のなみだ  作者: 夏目はるの
32/70

第32話

「行ってきまーす!」


雨野さんに声をかけて要と共に玄関を出る。


普段通りの服でいいよね、と出かける前日

千里に言えば、なぜかとても怒られてしまい。


その後2人で(強制的に)服を買いに行き、

今日の服は全身千里監修のコーディネート。


…なので、普段は着ないようなものばかり。


横を見れば要もいつもとは雰囲気が少し違って、妙にドギマギしてしまう。


「…奈月。」

「はい!?」

「声でか。」


急に話しかけられ思わず大声が出てしまった、恥ずかしい。


そんな私を見て、彼はふっと笑う。


「…服、似合ってるよ。」

「…っ!…どうもありがとう。」


不覚にもどきっとしてしまい敗北感。


要も似合ってるよ、と下を向いてそういえば、頭上からは少し照れたような要の声が降ってきた。




2駅先の大きなショッピングモールへ向かえば、やはりクリスマス。

沢山の人達で混み合っていて。


鈴香さんがこの前欲しがっていた香水、

拓海さんが壊れたと嘆いていたイヤホン、

そして雨野さんにはマフラーと手袋を買おうと計画していた私達。


「俺この中入んの・・」

「いいからほら!行くよ!」


女性向けの雑貨店の前で渋る要の手を引いて

お店の中へと引っ張る。


確かこのお店の香水を見てこの前いいなって言ってたんだよね。

・・どれだっけなあ。


「・・・あった!」


たくさんの香水が展示されているコーナーで探すこと数分。

お目当てのものを発見することが出来て。


「私お会計してくるね。」

「え、俺をこの中で1人にすんの。」

「すぐじゃん。」


顔をしかめる要を放っといて(おい)、レジを終えれば

要はいまだに香水のコーナーの前に立っていて。


「どうしたの?」

「・・いや、俺このにおい好きかも。」


そう言って要が手に取ったのは青い瓶に入った香水。


「なんかすっごい落ち着く。」

「ほんと?」


「わ、いい匂い。」


思わず声に出てしまう。


ラベンダー?の香りだろうか。

確かに落ち着く、私も好きな香りで。


「・・これ買おうかな。」

「いいじゃん。買っちゃえば?」

「でも要がいい匂いって言ったやつだからなあ。なんか癪。」

「後でビンタな。」

「ビンタはひどい!!」


おどける私に要が笑う。

結局自分への香水を買うのはやめて、

拓海さんと雨野さんのプレゼントを買いに別のお店に向かった。



・・実はその数週間後、

千里と共に訪れたこのお店で青い瓶の香水を買ったのは内緒。


私が気に入ったから買ったのであって、

別に要が好きだって言ったから買ったわけではないのだ、断じて違う。

・・・違うもん。





「すみません。たいやき2つください。クリームとあんこで。」

「はいよ~。」


買い物の途中。

美味しそうなたいやき屋さんを見つけた私達。


長時間歩いて足も疲れていたため、

休憩がてらたいやきを食べる事に。


「はい。」

「ありがとう。」


近くにあったベンチに座って、

2人でたいやきを食べる。


焼きたてのたいやきはとてもあったかくて、

中のあんこもおいしくて。


「・・幸せ。」

「・・・奈月の幸せは150円で買えんのか、安。」

「今たいやきのおいしさに浸ってるから黙ってて。」

「うーわ、冷た。涙出てくる。」

「どの口が言うんだか。」


ケラケラと笑いながら涙が出てくる、なんて言い出す馬鹿。

その後も何が面白かったのか要はずっと笑っていて。


「もーらい!」


そんな彼の隙を狙ってクリームのたいやきを1口かじる。


「うわ!それ一口ってレベルじゃないだろ!」

「おいし~!!」

「・・・俺があんこ食べれないのしってるくせに。」


要が悲しそうに声を上げる。

ええもちろん、知っての犯行ですとも。


あんこも好きだけどクリームも美味しいな。

今度はクリームにしてみよう。


なんて考えいれば、

要がいまだにいじけている事に気が付いて。


「まあまあ、そういじけんなって。」

「いじけてねえよ。」

「そういう日もあるよ。」

「いや誰のせいだと思ってんだ。」


ポカッ、と軽く頭を叩かれる。

大げさに痛がってみれば、彼はまた笑いだして。


少し休憩するつもりだったはずが、

気付けば時間が過ぎていて。


買い物の続きをしようとベンチから立ちあがり、

また2人で歩き出した。

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