第28話
辺りが白く染まっている。
歩くたびに雪が固まる音がして、冬が来た、と強く実感した。
「雪!雪だ!!」
いつもの通学路、はしゃいで雪を踏みまくる私を見て要が笑う。
「なんだよ子供かよ。」
「うるさいな!もう今年は雪降らないのかと思った〜。」
「それはないだろ。」
要には一瞬で否定されたが、
別にこれは大袈裟な言い回しではない。
なんせクリスマスまであと数日の今日。
今日まで寒い日はあったものの雪が降る気配は全くなく。
テレビでも今年は初雪が遅すぎる、と何度か取り上げられていたのだ。
「奈月!要くん!おはよう!!」
「…嘘だろ。」
散々子供だのなんのと要に馬鹿にされながらの登校。
しかし学校に着いたらそんな要のからかいも止んで。
彼ははあ、とため息をつく。
「はやく!こっち!雪合戦やろう!」
笑顔で神谷くんが私と要を手招きする。
朝にも関わらず、校庭で雪玉を投げ合っていたのは千里と神谷くん。
端の方では由香ちゃんと横山くんが2人で雪だるまを作っていた、なにあれ可愛い。
「…お前ら何歳だよ…。」
「ほら、みんな雪降ったらテンション上がるんだよ。」
「いや普通に考えて朝は寒いだ…っおい!」
「当たった〜!!」
突然飛んで来た雪玉は要の背中にクリーンヒット。
犯人はもちろん神谷くん。
それで火がついたのだろうか。
あれだけ渋っていたのに着けていた手袋を速攻で外して
雪玉を作り始める要。
そして神谷くんの方へと走って行った。
周りを見れば、私達以外にも雪で遊んでいる人たちは多くいて。
よく見ると受験間近の3年生の姿もある。
勉強ばっかでストレスが溜まっているのだろうか、雪玉の硬さとスピードが半端じゃない。恐ろしすぎる。
「うはっ!?」
バホッ
と急に大きな音がして視界が暗くなった。
少し経ってから顔に冷たさを感じて、
雪玉が顔面に当たったんだと気づく。
前方から聞こえてきた笑い声。
間違いない、笑っている奴が犯人だ。
「…要、許さん。」
「ぼーっとしてる奈月が悪い!!」
「…カナメ、ユルサン。」
「なんで片言!?…あれ、ガチで怒ってる?」
半笑いで私の赤くなった鼻をつつくから、
要を絶対雪に埋めてやろう、と決心した。
結局そのあと始業ギリギリまで雪で遊んだ私達は、
教室をビチョビチョにしてしまい、
先生からお叱りを受けたのだった。




