第24話
階段を下り終われば、
そこには重たそうなドアが一つ。
ポニーテールの女性がそのドアを開ければ、
すぐに聞こえてきたのはサックスの音で。
「あ、丁度始まった所ですね。」
そういって彼女は微笑んで、
私と拓海さんを1つのテーブルに案内する。
中はそんなに広くはないが、
基本的な構造は普通のカフェと同じような感じで。
ただ1つ大きく違うのは、
お店の奥の方に小さなステージが設置されていることだ。
入った瞬間に聞こえたサックスはそこから聞こえてきていて。
今まで楽器を弾いた経験なんて全然ない。
もちろんジャズの事も全く分からない。
しかしそんな私が聞いても、
とても綺麗だと感じる演奏で。
そのステージでは4人ほどの男女が演奏を行っていた。
サックスを吹いているのは40代くらいの男性、
ベースを弾いているのは背の高い眼鏡の男性で、
ドラムを叩くのは髪の短い女性、
ピアノを弾くのは私と同い年くらいの男の子。
・・って。
「横山くん!?」
思わず大声を出してしまって拓海さんからデコピンを食らう。
・・痛い。私のおでこがへこんだら拓海さんのせいだからね。
なんて心の中で文句を言いながらもう一度ステージを見る。
・・間違いない、あれはやっぱり横山くんだ。
頭の中でたくさんの疑問が浮かんできたが、
気付けばそれも忘れて演奏に集中してしまっていて。
「ありがとうございましたー!」
演奏が終わりそろって礼をする4人に、
私も精一杯の拍手をする。
横山くんもペコリと礼をして、そして顔を上げて。
私と目が、合う。
「・・奈月ちゃん!?なんで!?」
「・・・えへ。」
私と拓海さんを交互に見て、
横山くんは驚いたように目をしばたかせた。




