第22話
「なに、高校生?若けー!」
「こんな時間になにしてんの?」
それはこっちのセリフだ、
と言いたくなるのをこらえて曖昧に笑っておく。
「もしかして迷子?案内してあげようか?」
「大丈夫、俺ら怪しい人たちじゃないからさー。」
さきほどまでぶつかられて不機嫌だった男性も、
仲間の言葉にゲラゲラと笑っていて。
「大丈夫です迷子じゃないです、ぶつかってすいません失礼します!」
とにかくこの場から逃げようと早口でそういって
来た道を引き返そうとする、が。
「えー、ちょっと待ってよー。」
ガシッと1人に腕を掴まれる。
その力が予想以上に強くて、振りほどくことが出来ない。
「すみません急いでいるので!」
そう言って逃げようとするけど、
彼らはゲラゲラと笑っているままで。
・・どうしよう、怖い。
あーもう。
横山くんは見失うし、変な人につかまるし。
どうすることもできなくて、
涙がこぼれそうになった。
「あのー、すいません。」
後ろから誰かの声が聞こえた、そう思った瞬間に男の手が離れて、
その誰かの腕の中に抱え込まれる。
「うえ!?」
突然の事に変な声が出て、
驚きで出かけていた涙が引っ込む。
「なに、お兄さん知り合い?」
「そう。悪いけどこいつ連れてくな。」
「はあ?そいつがぶつかってきたんだぜ?」
「そりゃ悪かった。」
全く悪いと思ってない声色で男たちと会話を続ける誰か。
抱え込まれているため顔を見る事は出来ないが、
その声は何回も聞いたことがあって。
今度は安堵で涙が出そうになった。
しかし相手はガラの悪そうな3人組。
ここから逃げる事は出来るのだろうか、と不安になったのだけれど。
最初はぎゃーぎゃー騒いでいた3人は
数分後にはすっかり大人しくなっていて。
「もういいから消えろ。」
その彼の一言で、一目散に去っていく。
「ありが・・いてっ!」
お礼を言おうと彼に向き合えば、
とんできたのはデコピンで。
「お前は馬鹿か!」
「うっ・・。」
「どう考えたって夜に女子高生が1人で歩いていい所じゃないだろ!」
「・・・はい。」
「俺が来なかったらどうするつもりだったんだよ!危ない事くらい分かれ!」
「・・・ごめんなさい、拓海さん。」
こんなに怒ってる拓海さんは初めてかもしれない、
というくらいに彼は怒っていて。
その後の私の言い訳のチャンスは与えられないまま
数十分お説教は続けられた。
「・・ごめんなさい。」
怒られてどんどん小さくなっていく私を見て、
ため息をつきながらも拓海さんは私の頭をポンポン、と叩く。
「・・まあ、無事でよかったけどよ。」
その言葉にまた涙がこぼれそうになる。
仕事終わりで篠山荘へと向かっていた拓海さんは、
駅前を1人で歩く私を見かけたらしい。
私が歩いていく方向が篠山荘方面ではなく、
しかも治安の悪い方へどんどん向かっていくものだから、
慌てて拓海さんは私を追いかけてくれたのだそう。
・・よく見ればスーツ姿の拓海さんの髪型は少し乱れていて。




