第21話
お昼を食べた後も服を見たりゲームセンターに行ったりし、
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
外に出れば辺りはすでに暗くなり始めていて。
「そろそろ帰ろっか。」
「だね。あー、楽しかった!」
少しでも明るいうちに帰ろう、と3人で歩き始めた、のだが。
「・・・ん?」
視線を上げた時、ふいに視界に移りこんだ男の人。
目を離すことが出来ず見つめてしまう。
「・・奈月、どうした?」
不思議そうに私を見る千里と由香ちゃん。
考えるよりも先に、
口から嘘がこぼれる。
「・・ごめん、私さっきのお店に忘れ物しちゃったかも。
先に帰ってて!」
「それなら私たちも一緒に行くよ?」
「ううん、大丈夫!今日は楽しかったありがとう!」
「ちょ!奈月!?」
突然走り出した私の背後から、
戸惑ったような2人の声が聞こえる。
ごめん、2人とも。
でも私の事は気にしないで帰ってほしい。
というよりかは、ついてこられたら困るのだ。
「・・いた!」
先ほど見かけた男の人が歩いて行った道を辿っていけば、
前方に彼の姿をとらえることが出来て。
見たことあるリュック。
ちらりと見えた横顔は、やはり知っている顔で。
間違いない、あれは横山くんだ。
別に女の人と一緒に歩いていたわけでもない、
ただ1人で買い物に来ただけかもしれない。
むしろその可能性の方が高いだろう。
けれど、なぜか今彼の後を追えば。
知りたい事が知れる気がしたのだ。
「・・どこいくんだろう。」
夕方の駅前は仕事や学校帰りの人であふれていて、歩くのも一苦労。
さらに辺りの暗さは増していて、
気を抜けば見失ってしまうそうだ。
しかししばらく歩き続けた後、
彼は細い路地裏へと入っていく。
予想外の進路変更に慌てて彼の後を追いかける。
路地を曲がれば、
そこは今までとうってかわって静かで。
居酒屋のようなお店もある。
人もちらほら歩いている。
・・しかし、なんというか。
「・・怖。」
思わず声に出してしまう。
居酒屋より圧倒的に多い怪しいお店。
歩いている人のカラフルな髪色。
・・目を合わせないようにしよう、うん。
横山くんは回りに目を向ける事もなく、
真っすぐに路地を進んでいく。
・・この先に何があるんだろう。
まさか、なにか危ない事に関わってるとか?
いや、横山くんに限って・・。
私がそんな事を考えている間にも、
横山くんは歩みを止めることなく進んでいって。
怖い、けどここまで来て引き返せない。
横山くんが路地の突き当りを曲がったのを確認して、
私も後をついていく。
・・・しかし。
「・・・あれ。」
すぐに曲がったはずなのに、
そこの道に横山くんの姿はなくて。
辺りを見回してみるけれど、
横山くんらしき人は見当たらない。
焦ってとりあえず来た道を戻ってみようと
一歩後ろに下がった私。
・・そこに人がいる事に気づいていなくて。
「痛ってーな!」
「わ!すいません!」
誰かにぶつかってしまい、咄嗟に謝る。
・・待って、嫌な予感しかしない。
「よそ見してんじゃねえよ!」
ゆっくりと顔を上げれば、
そこにはガラの悪い男の人が3人いて。
嫌な予感、見事的中。




