第17話
次の日のお昼休み。
昨日の要の話を千里にも話し、
由香ちゃんと3人でお昼を食べる約束を取り付けた。
喧嘩は無さそうだよねえ、と笑う千里に私も頷く。
いつもニコニコしていて穏やかな横山くん。
由香ちゃんも拗ねる事はあっても本気で怒る事はほとんどない。
そのため2人が喧嘩、というのはあまり想像できなくて。
大したことじゃ無ければいいけど、と話しながら中庭へと集合した。
・・・のだが。
「ちょ!どうしたどうした!」
少し遅れて現れた由香ちゃんは私と千里の顔を見た瞬間、
突然大粒の涙を流し始めたのだ。
「ほら!とりあえずこっちおいで!」
「あーよしよし。いったん落ち着こう。」
2人であたふたしつつもとりあえず由香ちゃんをベンチに座らせ、
彼女を挟む形で私たちも腰掛ける。
「・・もう私の事好きじゃないのかもしれない。」
しばらく泣き続けた後、
真っ赤な目をして由香ちゃんはそう話した。
突然の言葉に私も千里も驚いて、
一瞬言葉が詰まる。
「っいや、それはないよ!横山くん由香にべた惚れじゃん!」
由香ちゃんの背中をさすりながらそう言う千里に
私も大きく頷く。
横山くんが由香ちゃんの事をとても大切に思っているのは
見ているだけでも伝わってくる。
告白したのだって横山くんからだったはずだ。
しかし由香ちゃんはゆっくりと首を振って、
震える声で話し始めた。
彼女によると、
事の発端は少し前に久しぶりに中学校時代の友人と出かけた時の事。
2人で食事をしていた最中に、突然まじめな顔になった友人。
言った方がいいのか迷ったんだけど、
と前置きしつつ彼女が話し出したのが。
「女の人と2人で?横くんが?」
「うん・・・。」
驚いて思わず大声を出してしまう。
その友人によれば、平日の放課後、
駅前を横山くんと少し年上の綺麗な女性が2人で並んで歩いていたというのだ。
しかしそれだけだ。
別に手をつないでいたわけでも、寄り添って歩いていたわけでもない。
だからその時は由香ちゃんは何も気にしていなかったようで。
「帰ったら聞いてみるねって。心配してくれてありがとうって。
その事はそう言って別れたの。」
その日の夜、毎日電話するのが日課だという(可愛すぎ)2人は、
いつも通り電話で日々の話をし。
そういえば、と軽い気持ちで友人が話していた事を
横山くんに聞いてみたという。
その時由香ちゃんは特に気にしていなかったのだ。
横山くんなら聞いたら答えてくれるはずだ。
お姉ちゃんはいないはずだから、いとことか?
いやたまたま会った中学校時代の友人かもしれない。
でも、きっとその程度の事だ。
そう思っていたのに。
「答えてくれなかった、と。」
千里の言葉に由香ちゃんは頷いて、またポロリと涙をこぼした。




