第10話
「・・そういえば花火やるのにライターもマッチもないね。」
「「・・あ。」」
神谷くんの言葉に皆で顔を見合わせる。
持ってきた野菜もお肉も大体終わって、
焼きそばを食べながらそろそろ片付けて花火をしようと話していた私達。
花火は海に来る途中でちゃんと買ってきたのに。
火をつけるものの存在を忘れていた。
「完全に忘れてた・・。」
「あ、私買ってこようか?」
すぐ近くにコンビニがあった事を思い出し、
財布をもって立ち上がる。
「俺もついてくよ。」
「大丈夫。コンビニ近いし。ゆっくり食べてて。」
「奈月ちゃん一人でいけまちゅか~」
「千里あとで覚えときなよ」
正面に座っていた千里にデコピンをしてから、
コンビニへと歩き出した私。
あとでって言ったのに~!と後ろから千里の叫び声が聞こえる。
・・・まあ気にしない気にしない。
道なりに歩きはじめれば、
コンビニを少し先に発見することが出来て。
早く目的のものを買って皆の下へ戻ろう、
と歩き出した、のだが。
「わっ!」
足元にあった段差の存在を忘れ、バランスを崩す。
世界がスローモーションになったように感じて、
わたし転ぶんだ、なんて冷静に思った。
「っと!」
しかし転んでしまう事はなくて。
誰かが前から私の体を支えてくれたのだ。
「何やってんの。大丈夫?」
呆れた声で私の体を起こす。
「・・ありがとう。惚れそう。」
「思う存分惚れなさい。」
「・・でもこういうのってさ。
知らないイケメンが支えてくれるのが王道じゃない?」
「何あんたそんなに転びたかったのいいよ私が転ばしてあげ」
「嘘ですごめんなさい」
私の言葉にハハッ、と乾いた声で笑った彼女。
千里さん怖いです、目が笑ってないです。
どうやら飲み物が終わってしまったらしく、
私1人で買ってくるのは大変だろうと
千里も買い出しに行くことになったようだ。
「いい感じに暗くなってきたね。」
「ね。でももうこんな時間なんだね。」
「そう考えると寂しくなるな~」
そんなことを話しながらコンビニへの道を歩く。
「ねえ奈月。」
「なにー?」
「・・・やっぱなんでもない。」
「え、なにそれ?」
「気にしないで。」
急に名前を呼ばれて横を向いたけど、
辺りが暗くなってきていて千里の表情は見えなくて。
何それ気になる!と千里をつつけば、
何でもないよ馬鹿、と軽く背中を叩かれる。
「要くんとやっぱラブラブだなって思っただけ。」
「だーかーらー。要とはそういうのじゃないってば!」
「どうだか~」
今度はニヤニヤしながら千里が私をつつく。
話しながら歩けばコンビニはすぐで、買い物を終え
皆の下へとジュースを抱えて2人で歩いた。




