表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーンゴースト  作者: ゆめあき千路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/81

047:ヒアデス・クラス②

 トリエスター教授はあれこれ指示を出して忙しく、ユニスも呼ばれた。

「私は全体の指揮を取るから、ここから離れられないんだ。踏破と探険に行くのは君たちだぞ」

「俺もかよ?」

 晶斗がギョッとする。

 ユニスは天を仰いだ。ここでも何かやらされるとは思っていたが、遺跡の踏破であったかと自分の予測の正しさを評価する。


「ユニス君と一緒に契約しただろうが。あれは本物の雇用契約書だ、嫌とは言わせんぞ」

 聖都を出る前、検問に引っ掛かった際の用心に、トリエスター教授に雇われたという証明書類を作ったのだが、実際にこき使われるとは予想外だった。


「未踏破の迷宮には魔物が出るかもしれん。シェイナーが入れば、それだけで歪みも魔物の出現も押さえられるはずだが、ユニス君だけでは心配だろう」

「といったって、こんな急に踏破隊を組めないぞ。他に護衛戦闘士はいないし、いくら優秀なシェイナーが一緒でも、踏破と探索と救助に俺一人は勘弁(かんべん)だぜ」


「うーむ。マックス保安官、人手を集められないか?」

 トリエスター教授に呼ばれたマックス保安官は厳しい顔つきで首を横に振った。

「近在で発掘中の連中に声をかければ護衛戦闘士も何人かいるが、集合させるのに時間がかかるぞ。なにせ、この広い遺跡地帯のあちこちの遺跡に散らばっているからな。良くて半日後だ」


「おーい、その話、待ってくれ、俺たちも協力させてもらうぞ」

 人垣をかき分け、ラクス・フラッターが現れた。その後ろにオレンジの製服を来た発掘団のメンバーらしき人人が総勢九人。その背には発掘団の赤いロゴが染め抜いてある。

よほど急いで来たのかフラッター以外の全員が息を切らせていた。


「やあ、フラッターさんか。良いのかね、君のチームは別の遺跡を探査中だったんだろう?」

「新しい遺跡に潜れるチャンスを逃せるか。探査と固定なら学術院にも負けない自負があるぞ。この遺跡地帯(サイトゾーン)では二十年の実績だ」

 フラッターの精悍な顔つきは、どう見ても三十代半ば。発掘団を率いた活動歴があるならそこそこの年齢(とし)だろうが、身のこなしは晶斗に劣らず敏速だ。


「新発見の遺跡の固定は、最優先だ。俺たちは固体化が完了するまで、トリエスター教授の指揮に従う。どうかね、協力させてくれないか。成果の取り分は学術院が六、こちらが四で良い」

 フラッターの申し出をトリエスター教授は了承した。そして、二つのチームが使用するコンパスとジャイロの周波数を合わせるよう、カタヤ助教授に指示した。

 フラッターが指示すると、発掘団は、カートに積み上げて持参した大量の機材をおろし、梱包(こんぽう)を解き始めた。


「あんた、そうは見えないが、護衛戦闘士あがりなんか?」

 じろじろと観察する晶斗へ、フラッターは(たくま)しい手を差し出した。

「まあな。よろしく頼む。君たちとはもう少し知り合いになりたいしな」

「こちらこそ、よろしく。ところで、フラッターさん、東邦郡にいたことは?」

「遺跡の発掘ならあるよ。だが、シリウスに会ったことはなかったがね」

「そうだな、護衛戦闘士なんて似たようなもんだしな」

 晶斗とフラッターは遺跡の固定化に入るメンバーの選出を相談し始めた。


 トリエスター教授と発掘チームは、全員が遺跡に入る準備に気を取られている。


 この隙だ。

 ユニスはこっそり野次馬の群れに紛れると、人垣をくぐり抜けた。


――――脱出成功。

 このままほとぼりが冷めるまでどこかに隠れていれば…………。


「ん?」と、ユニスは前方を睨んだ。

 風体の悪い三人組がとことこ歩いて通り過ぎる。

「今のは……?」

 遺跡によくいる盗掘者風の男たちだったが、その一人の、もじゃもじゃ髭とガードベストの汚れ具合に見覚えがあった。

 向こうはユニスに気付いていない。

 だが、最大の衝撃は、続けてすぐにやって来た。


 三人組から少し遅れて歩いてきたのは、忘れようもない、白ずくめの魔物狩人ではないか。


 ユニスは目を丸くして、彼を指差して確認した。

「プリン」

 ス……!?、と言う前に、プリンスの手がすばやくユニスの口を塞いだ。

 ユニスが硬直して目をパチクリさせている間に、風体の悪い三人組は、ずっと先に行ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ