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後悔しない人生を。  作者: わをん
3/4

1日目 夜

書きたいことを書きました。

よろしくお願いします。

病室の机の上でリストとしてやりたいことを書いていった…。

俺「そうだな~。うまいものをたらふく食いたいし、遊びたいし…」

神「なんかしょうもないっすね。笑」

俺「な、うるさい!ジョークだよ。ジョーク」

神「なんでもいいっすけど一週間ですからね。わかってます?笑」

俺「わかってるよ!」

いざ、後悔していることと考えるといまいちピンとこない。俺は何がしたかったんだ。死ぬ前はいろいろ考えていたが、急にわからなくなってしまった。生きていることに安心してしまったのだろうか。

神「…間違えたかな。」

俺「ん?なんか言ったか?」

神「いや、なんでもないっすよ笑」

ぽつりと何か言ったような気がしたが神は笑っていた。」

神「それでどうするんですか?」

俺はいろいろ悩み、後悔リストを書き記した。

俺「とりあえず帰るか。」

神「了解であります。笑」

俺「やっぱりついてくるのな。」

神「当り前じゃないっすか~俺たちは一心同体なんですから~笑」

俺「はいはい…。」


両親が先生と共に病室に入ってくると軽く検査された後に解放され、病院から出た。

今は午後の4時あたりだ。病室のカレンダーでは9月であることを確認していたが、温かさは無く、何となく風が冷たいような気がした。今、両足で立ち、自分の目で周りの景色を見ていることが少し違和感に感じた。ベットの上で横になり、そのまま…。だったかもしれないのだ。本当に奇跡だ。

母「〇〇、行くわよ。」

俺「わかった。今行く。」

俺は、父が乗ってきた車に乗りこみ、神も後に続き俺の隣に座り、俺たち三人が話しているの黙って見ていた。


二階建ての一軒家が見えてくる。白を基調とした一般的な普通の家だ。家に着くと何とも言えない感情が胸を奥からこみ上げてきた。

両親「お帰りなさい。」

俺「ただいま。」

なんだか照れ臭かったがまたただいまが言えることに涙が出そうになった。

家に入り、靴を脱ぎ、二階へと上がる。二階の一室が俺の部屋となっている。入ると、懐かしいにおいと共に帰ってきたんだという安堵感を覚えた。俺は昔から本を読むのが好きで一人でずっと読みふかしていた。まさか、そのまま残されているとは思わなかった。

神「へ~。たくさんありますね。お、漫画もあるじゃないっすか。笑」

俺「おい、勝手に触るなよ!」

神「いいじゃないですか~減るもんじゃないし。笑」

勝手に本棚に手を出し漫画を読み始めた。


母「〇〇ー、ご飯が出来たから降りてらっしゃい。」

もうそんな時間かと時計を見ると6時を回っていた。外も暗くなっている。

俺「てか、お前はどうするんだ?」

神「心配ご無用!俺は神なので腹は空きません。笑」

俺「心配してねーよ。まったく便利だな。」

階段を降り、一階に行くと懐かしいにおいがした。

母「あなたの好きなカレーよ」

俺は母が作るカレーが大好きだった。あの、とろけるような味が何ともたまらなく毎回お替りをしていた。

母「では、食べましょ。」

三人でそろえていただきますをするとカレーを一口いただく。このとろけるような味がまた食べられるなんて…。

俺「おいしいよ。母さん。」

母「そう。よかった。たくさん作ったからお替りしてね。」

そういうと二人とも笑顔で食べ始めた。


変わらない家、変わらない部屋、変わらない二人、変わらない味。

当り前にあった日常を思い出していた。二人に愛された俺は何をしたのだろう。何か返してやれたのか。ふと急に考え、テーブルに一粒の雫が落ちた…。

父「〇〇、どうした、傷が痛むのか?」

二人は心配そうな顔で俺を見ている。

なぜだか、涙があふれてくる。

変わらない家があったことが嬉しいのか?違う

変わらない部屋があったことが嬉しいのか?違う

変わらない二人が居たからか?違う

変わらない味があったからか?違う


俺は二人に何もせずにこの世からいなくなってしまうことに後悔していたのだ。

考えつかなかったことに自分自身が腹立たしかった。自分がこうして生きていることの意味とは?


残りのカレーを涙を流しながらきれいに完食すると、二人に笑顔で

俺「ごちそうさま。明日も食べるから残しておいてね。」とそれだけ伝えると二階へと上がっていく。

ポケットにしまっていた後悔リストを丸めてゴミ箱へと捨てる。後ろからついてきていた神は笑みを浮かべていた気がする。

俺は伝ってくる涙を無造作に手で払い、あることを心に決めた。





俺もカレーが食べたい。

感想や評価、意見なんでもいただけると幸いです。

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