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小二郎の旅立ち!

 俺は、将来留守家に行ってもいいように、今まで以上に勉強や武芸に励んでいた。

 合戦に出ることもありそうだからな。


 その間に中央では、年号が弘治から永禄に変わったり、三好長慶と足利義輝の和睦が成立し、京都に帰還したり、あと信長が尾張を統一したりといろいろなことがあったようだ。


 東北にいると畿内の情報なんて入らないと思うかもしれないが、京や堺に伊達家と親交のある商人もいるし、なにより流通経路が存在する以上遅れてとはいえ、情報は入ってくるのだ。

 こっちに来るまでに情報が錯綜しているかもしれないから注意が必要ではあるが。


 そんななかで永禄4年、俺も元服し政景となった。

 俺の御付きの家臣として皆川伊賀と中村八郎右衛門がついた。

 伊賀と中村は留守家に行く際にも俺に随行させるらしい。

 そして伊達家の次期当主も兄上で正式に決定した。親父に兄上と小二郎と一緒に呼ばれ、他家に養子入りしても兄上を補佐し、伊達家を盛り上げていくよう言われた。どうやら近いうちに兄上に家督を譲るつもりらしい。まあ、家督を譲っても実権は手放さないつもりのようだけど。


 正式に次期当主となったため、兄上は最近、鬼庭良直や家臣団最上位である桑折景長らとともにいろいろと自身の政権の構想を練ったりしている。

 俺も一応元服したから、一緒に呼ばれるようになった。

 まあ、それ以外でも暇なときは兄上の部屋にいっていろいろ話したりしているんだけどね。


「六郎、この種子島というものは戦でも使えるかもしれんな」

「兄上、すでに畿内などでは武器としても使われているようですよ」

「そうか。わが伊達家でも使っていくべきかもしれんな」


 鉄砲を撃ってみたいと、兄上が言ったので俺も兄上が撃つのについてきたのだ。

 鉄砲は数年前にすでに伊達家にも入ってきていたようだが、実際に戦で使われたりはしていない。

 なにしろ弾薬や火薬も少ないから存在しても使えないし、数も少ない、そしてなにより有用性にみんな気付いていないようだ。


「若君様、六郎様、そのようなものは武士が使うものではございませんぞ」


 ほら、勇将として名高い鬼庭良直ですらこんなことを言ってるよ。


「そうは言うがのう周防(鬼庭良直)、この種子島があれば戦の形も変わるぞ」

「うむ、六郎の言う通りだな。もう少しわが家の種子島の数を増やしたいところよのう」

「兄上、奥州の他の家ではおそらくまだ種子島の有用性に気付いていないと思われます。今のうちに使えるようにしてはいかがでしょうか」

「そうだな。しかし、父上にはこの有用性が分からないだろうな」


 やっぱり兄上は、開明というか新しいものでも受け入れることができるんだけど親父や一族重臣たちは、保守的なところあるからなあ。というより東北全体が保守的って言えるんだけどね。

 兄上が伊達家を継いでも周りが頭の固い人物のままだと苦労するだろうな。






 永禄6年10月、一個下の弟小二郎が陸奥石川郡領主の石川晴光の養嗣子として婿入りすることになった。

 俺を北の留守氏に入れるつもりの為、先に弟の小二郎が家を出ることになってしまった。


「彦太郎兄上、六郎兄上、小二郎は石川家に行くことになりますが、どうかお元気におすごしください」

「うむ、小二郎も寂しいかもしれんが頑張るんだぞ」

「石川はこっちよりは暖かいと思うけど体に気をつけろよ」


 一応後で親父や俺たち一族、重臣達の前での見送りがあるとはいえそこでは話をしたりできないからな。兄上の部屋で別れの挨拶を聞いていた。


 年も一個しか違わないから、一緒に遊んだり、勉強したり武芸の稽古をしていただけに寂しくなるな。

 優秀と言われる俺(小さいころから自我があるから理解が速いだけだが)と比較されて大変だっただろうがまったく文句も言わずに頑張っていたもんな。

 むしろ前世持ちじゃないはずなのに、あそこまで理解が速いんだから本当の天才は小二郎なんじゃないだろうか。


 これからも会えるだろうけど今までのようにはいかないからな。

 親父には兄上を支えるように言われたけど婿入りして石川家の人間になる以上石川家のために動く必要がある。兄弟とはいえ敵対することになるかもしれない。

 戦国時代だから仕方のないことだとは分かっていてもきついものがある。


読んでいただきありがとうございます。

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