表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

悪魔ノ 八

家を出てから30分。僕は市役所前のバス停に立っていた。



昼間なのに、ひっそりと静まり返っている市役所は、それも当たり前で今日は休みの日曜日。



いつもなら誰もいないはずの市役所の駐車場には、何人かの人だかりができていて、僕はその中に合流した。



『サトルくん』



僕は集団の中で急に名前を呼ばれ、振り返った。そこにいたのは千夏ちゃんだ。



『やっぱり、サトルくんも悪魔ノ学園に進学するんだね。他に知り合いいないし、よかったー』



そう言い、笑う千夏ちゃんに僕も安堵した。薄々、千夏ちゃんも来るんじゃないかと思ってた。



『うん。宮下さんも悪魔ノ学園に進学だったんだね』



笑う僕に千夏ちゃんは倍返し。



『うん。私の家は先祖代々、悪魔払いをしているの。私も修行の為に行ってこいって』



そういえば、千夏ちゃんの家はこの街の奥にある大きなお寺だったはずだ。



『でも、本当によかった。ここに来る人って何だか喋りにくいし、このまま一人だったらって、本当に不安だったの。私の事は千夏でいいから。これからも宜しくね、サトルくん』



そう言い、僕に笑いかける千夏ちゃん。千夏ちゃんと呼び捨てなんて、同じ学年の男子全員が狙っていた。



『宜しくお願いします』



僕がそう言うと、千夏ちゃんは手を差し伸べてきた。



握手。



それは誰もが希望する高嶺の花。



僕は必死に震えを抑えながら握手する。



千夏ちゃんの柔らかな手とぬくもり。近づくことで、長い髪からトロけそうなシャンプーの匂い。



僕はその場で倒れそう。



『とにかく、まずは入学試験だね。頑張らなくちゃ』



『えっ……』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ