悪魔ノ 六
〜五話からの続き〜
『そうじゃ。そして……、それを貸してみろ』
爺ちゃんが僕に手を差し出す。僕は爺ちゃんに木刀を渡した。
爺ちゃんが木刀を握って数秒後……。
バチバチバチ。
部屋には激しい閃光が飛び散った。苦悶の表情をして木刀を放す爺ちゃん。手は真っ赤に火傷している。
『正当な継承者じゃないとこうなる。他の者が持ったと木刀が判断した時、木刀がそれを嫌うんじゃ』
僕は木刀を持った右手を見てみるが何もない。
『あっ、爺ちゃん、火傷。すぐ冷やさなくちゃ』
『まぁ、待て。大丈夫じゃ。こんなもん』
爺ちゃんはそう言うと、目をつぶり、火傷した右手に力を込めた。
青白く光る右手。みるみるうちに右手の火傷が治っていく。
『儂は治癒の魔法が使えるのじゃ。年々、これがしんどくなってきたがな』
僕は次の言葉が出てこない。ま、魔法って……。
『お前の父と母も魔法を使えた。そして、お前も魔力を持って産まれた。じゃが……』
そこで爺ちゃんが言葉を詰まらせた。僕の魔力!?僕にそんな力があるのだろうか。
『じゃが、お前は同時にこの火ラ蜘蛛ノ太刀の正当継承者たる資格をも持って産まれてきてしまったんじゃ』
話を続けるたびに爺ちゃんの顔が沈んでくる。
『正当継承者なんて良い事なんじゃないの』
僕の質問に爺ちゃんの顔は更に強張った。
『正当継承者なんて聞こえは良いが、ようは悪魔に呪われたみたいなもんなんじゃ。巨大すぎる力が一生ついてまわる。それを利用しようとする輩も襲ってくる。危険で厄介な力じゃ』
僕は再び言葉を失ってしまう。
『お前の父と母はお前の力を封印しようとした。力が表に出る前に、暴走などせんように。しかし、巨大すぎる力の封印はな、命を賭けた行いなんじゃ』
『えっ、まさか』
『あぁ、お前の父と母はお前の力を封印する為に命を落としたのじゃ』