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秘密結社Q  作者: 大根
5/10

ヒーロー三分クッキング

「・・・で、ここに戻る訳か」

手術台に手足を縛られたまま一輝は呟いた、恒例の大の文字である。


一回目と違うのは無言の博士が気まずそうな表情をしており、その隣に黒マントの金仮面が立っている事だ。

「おや、気が付いたようだね」

だからでけぇ。

倒れた地面から見上げてるとわからなかったが、比較になる博士がいればその異常な身長がわかった。男の倍――つまり優に三メートル以上。

そして仮面の下の一つ目。

人間じゃない、少なくとも普通の。

「ここ、本当に秘密結社だったのか・・・」

「何だ、知らなかったのかね?」

金仮面が首を傾げる。

「疑ってたんだよ」

「ほう、何故かね? 私と同じ外見の生き物は地球にはいないはずだが」

「そりゃあんたを見てからだろうが、初見がアレだぜアレ」

アレ、説明不要のシンパシー。

「アレ・・・戦闘員147番かね? そこまでそちらに馴染んでるのかね?」

「・・・馴染んでない馴染んでない」

それはともあれ。

この金仮面、少なくとも話が通じる相手のようだ、アレと違って。

「で、今からあれか、改造手術?」

「うむ」

「うわ・・・コッテコテ」

「秘密結社としてはスタンダードではあるのだろう?」

違和感があった。

「否定はしないが・・・何の説明もなしにか」

説明責任(アカウンタビリティ)とやらかね、秘密結社にそれが必要だとは資料にはなかったはずだが」

「どんな資料だよ、それ」

「ヒーロー物の番組とかじゃな」

空気と化してた博士が口を開く、ようやく出番が来たせいか一言だけでもやたらと嬉しそうである。

「・・・もっとマシな資料はなかったのかよ」

「仕方ないじゃろう、秘密結社がどんな物なのか書いてある資料なんて他に無い訳だし」

「あー――でも説明はした方がいいと思うがなー」

興味を惹かれたのか、前のめりに金仮面が顔を一輝に近づかせた。

「ほう、それは何故かね」

「わかってねーな、資料はヒーロー番組なんだろ? 納得もなしに勝手に人の体を弄ると――」


バカーン!


いきなりぶち抜かれた壁、朦々と立ち込めるほこり。

そこに蹲った人物はあろう事かこう呟いたのだ。

「くっ、俺の体はどうなったんだ?ここは・・・一体」


大の文字になった一輝は溜息を一つ。

「こうなる」


うわー、と手を口に当てて感心したような声を出す黒タイツ。

いたのか。

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