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ムーンライトベリーの香りが忘れられなくて  作者: 餅月 響子


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第11話 心惑う

駅から学校までの徒歩20分の通学路。

愛香の心を悩ますのは、世界史担当の担任小高千晃先生だ。

ずっと前から片想いをしていたが、つい最近、校庭でのケガでかなりお近づきになれた。

シングルマザーで仕事の忙しい母に代わり、整形外科に車で送ってくれたり、頼んでもないのに自宅に泊まらせてくれたりと思いやりのある先生だ。それは先生と生徒だからやったことなのか疑問で仕方ない。


「ねぇ、陽葵。普通、生徒を自宅に泊めたりするかな?」

「え?! 嘘、まさか、愛香、小高先生の家に泊まったの? どんな急展開? タロットカードもびっくりだよ」


 陽葵は目を大きくさせてびっくりした。愛香はやっぱり話さなければよかったかなと少し後悔した。


「ちょっと待って、陽葵、タロット占いするの?」

「あ、それは話掘り下げなくていいよ。それより、愛香と先生の話を聞かせてよ。早く言ってくれないと校門に入っちゃう。通学路で話すから楽しいのに」

「……そんなこと言われても、こんな短時間にまとめられないよ。濃厚なんだから」

「の、濃厚!? ちょっと待って、アイスクリームみたいに生クリーム濃厚ってこと? それともR 指定の濃厚?! どっちの話なの?」


 濃厚という言葉を聞いて鼻息を荒くして興奮する陽葵だった。


「んじゃ、アイスクリームの方にしようかな」

「いやいや、バイキングんじゃないんだから。アイスクリーム選ばないでよ」

「……陽葵が言ったんでしょう」

 

 愛香は、早歩きで校門をすり抜ける。陽葵は、慌てて追いかける。


「ちょっと、待ってよ。話聞かせてって言ったじゃん」

「もういい。私、陽葵に話すってことが間違ってたかも」

「いや、間違ってないよ。大丈夫、大正解。誰にも言わないから。ほら、埴輪みたいに固まってられるよ。お口」


 陽葵は、埴輪というよりは土偶のような恰好で固まった。完全にスルーする愛香だった。


「薫子! おはよう」

 

 愛香は、隣を通りかかったクラスメイトに声をかけた。陽葵は寂しそうな顔をする。


「あ、あれ、愛香。先週のケガは大丈夫だった? 小高先生に病院まで連れてってもらったんでしょう」

「え、な? なんでそれを知ってるの」

「うーんと、保健の先生から聞いたから」

「あー、そういうことか。うん、まぁ、大丈夫。ちょっと擦りむいただけだから」

「そっか、大丈夫ならよかった。あれ、陽葵もいたのね。おはよう」


 相沢薫子(あいざわかおるこ)は、隣にいた陽葵に気が付いて声をかけた。


「おはよう。薫子ぉ、ちょっと聞いてよ。愛香ってひどいのよぉ」

「ちょっと、陽葵、変なことを言わないでよ」

「むー、変なことじゃなくて、本当のこと言ってくれないのはそっちでしょう」

「……」

 

 結局、口が堅いと言っていた陽葵もぺらペらと先生と愛香との話が広がって行った。愛香はずっと苦虫をつぶしたような顔をしていた。


「もういいよ。2人に話すって決めたから」

「最初からそうしておけばいいのよ。最初から」

「……何か納得できない。秘密にしようと思っていたのに」

「まぁまぁ、相談乗るから。私の話もするし」


 薫子は愛香をなだめながら、昇降口の靴箱の上靴に履き替えた。そうこうしているうちに教室の前まで着いてしまう。


「この続きの恋バナは、昼休みたっぷりしようね」


 目をキラキラさせながら、言うのは陽葵だった。そんなつもりじゃなかったのにと思いながらため息をつく愛香だった。

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