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二刀流の海

作者: 藍瀬 七

母から優斗へ連絡が来た。『赤い海を目撃したから、注意しなさい。島の言い伝えは分かっているわよね?いい?青い海に変わるまで、気を付けなさい』とのことだった。正直、赤い海を見たことがない僕としては、あまり実感の湧かない連絡だと思った。しかし島の云い伝えなので、念のため気を付けて生活することにしたのだ。

 その島の少年、青木優斗あおきゆうとには夢があった。大きくなったら島を出て、大都会でお金持ちになること。そしてそのお金は、島で暮らす人のために寄付すること。その夢を叶えるために、毎日欠かさず学校に行って勉強をした。

 そしてその島の海には、ある特徴があった。青い海の時は、人々の願いを叶える効果を持つ。半面、赤い海の時は災いが起こる印とされている。普段は煌めくような青い色の海であることが多く、赤い海は滅多に見られない。そのため島の住民は自分の願いを叶えられることが多いのだ。

 自分の夢を叶えるために、優斗は大都会へ勤務する日がやってきた。着々と夢が叶っていくことを実感していた優斗は、希望に満ちていた。そんなある日、母から優斗へ連絡が来た。『赤い海を目撃したから、注意しなさい。島の言い伝えは分かっているわよね?いい?青い海に変わるまで、気を付けなさい』とのことだった。正直、赤い海を見たことがない僕としては、あまり実感の湧かない連絡だと思った。しかし島の云い伝えなので、念のため気を付けて生活することにしたのだ。

 それでも仕事は右肩上がりのように見えた。しかし悲劇は訪れたのだ。社内に強盗が入り、多額のお金を持ち去られてしまった。すぐに警察へ連絡し、強盗犯を捕まえてもらうように捜査をしてもらっている。命だけは助かったものの、務めている会社は多額の借金を背負うこととなり、一気に赤字となった。会社では会議が行われ、これからの方針と対策について話が進められた。優斗は日々の生活に支障が出るほど苦しい時期を迎えた。だが、再び母から連絡がきた。『青い海が見られた』とのことだった。この赤字の苦しい時期に、どんな事が起こるって言うんだよ、と投げやりになっていた。

 しかし、会社の状況は一転して黒字へと劇的な変化が見られた。取引先の会社が莫大な利益を得ることができ、うちの会社を手助けしてくれるとのことだった。またとないチャンスを得ることができた。着実に会社で力をつけた優斗は、昇進していき、ついには次期社長の地位をモノにした。そして少しずつ溜めていたお金を島へ寄付することが叶ったのだ。

 優斗は夢を叶えることが出来た。これで、島が大きくなり、貧困な人たちが食べていくことが出来て豊かな暮らしが送れるのであれば、大満足である。しかし、あの『赤い海』が災いを起こすのも確かである。実際に体感した優斗は、島の云い伝えを今後も伝え続けていこうと思って止まないのであった。


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