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非日常

 比渡ヒトリよ、おれは一つ言いたいことがある――いつになったらおれの頭をなでなでしてくれるんだ。


 酷いよ、これじゃあ生殺しだよ。せっかく比渡ヒトリの犬になったのにわんちゃんプレイはほとんど放置に近いしなんだよこれ、何なんだよ!


 と、おれ日野陽助は憤激しそうになっていた。


「日野君、パン買ってきて」


 またこれだよ。何回目だ? 憶えていないけど、十回以上はパン買ってきてるよ! もうただのパシリだよ。


 日常だか非日常だか何だか知らないけど、おれはおこだよ!


「あのさ、比渡っておれのこと犬だと思っているの?」


 比渡は昔の犬――ベアトリクスとか言うのとおれを比べられているのは確かだ。比べられるおれは仕方ないと思っている。だが、扱いに差があるのではないか?


「思っているわよ。わたしの日野君」


 ああ、なんかそう言われると気持ちいいかも。いや待て、これは心理戦だ。おれを気持ちよくしてから突き落とす作戦に決まっている。もう騙されないぞ、この悪女め!


「じゃあ犬って何すればいいんだ? 具体的にさ」


「黙ってわたしの言うことを聞けばいいのよ」


「それって奴隷だろ。犬ってのは忠実であるが、飼い主の奴隷じゃない。犬にはある程度の自由があるだろ? そりゃ躾は大事だが、犬は強制されたことを報酬無しじゃしないぞ」


「報酬があればいいの? 例えばどんな報酬がお好みかしら?」


 おれは犬タイプの人間だ、だから飼い主と一緒にいると安心するし楽しい。


「…………」


 おれは報酬というものを考えた。何がいい? 今のままでも十分に楽しいが、パシリに使われるのは楽しくない。しかし報酬があればパシられてもやってやるかって気持ちになる。


「報酬は……」


「報酬は? なにかしら?」


「くだらない日常を過ごすのはまっぴらごめんだからな、もう少し楽しい日常を過ごしたいものだ」


 これがおれの報酬。難しいだろうが、飼い主は叶えなくてはならない。


 おれは飼い主と一緒にあまあまラブラブなわんわんライフを送れたら死んでもいいかもしれない。


「日野君は非日常の方がいいの?」


 そりゃあおれは元々人間だしな。つまらない日常よりか非日常の方がいい。その非日常がどの程度によるかだ。


「まあ、非日常ってのがどんなものなのか味わってみたいな」


 すると比渡は立ち上がり、「放課後、校門で待っていなさい」何の感情もこもっていない声でそう言った。


 おれは比渡の命令に対して「ワン!」と返事をした。


 やった! これでおれは比渡とラブラブわんわんドリームスペシャルウルトラわんこプレイをする夢が叶うわけか。


<そう思っていたこの時のおれに一つ言いたいことがある――桃太郎だか桃子だか分からん女の言うことは聞かない方が身のためだ>

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