ドッグランウェイ開催
おれたちはそれぞれの戦闘服を身にまとい、会場へと向かった。ドッグランウェイのスタジアムは多くの観客で埋め尽くされ、熱気に包まれている。
え? 観客って何? こんなに多くの人間がドッグズの関係者なの? まあ、そんなことはどうでもいい。今はドッグランウェイに集中だ。
ドッグランウェイ。それはこの犬学の生徒たちが、自分の力を証明するための舞台。学園最強の称号を賭けた戦いが、今始まろうとしている。
ホログラムに映る青い空、ついにドッグランウェイの幕が開ける時が来た。開闢犬学園の校庭には特設ステージが設置され、学園中の生徒たちがその周りに集まっている。歓声と期待に満ちた雰囲気が漂う中、学園長の柴子がマイクを握り、ステージの中央に立った。
「皆さん、お待たせしました。ただいまよりドッグランウェイの開幕です!」
柴子の声が響き渡ると、生徒たちから大きな拍手と歓声が上がる。おれ、日野陽助もその一員として、心の中で鼓動が高鳴るのを感じていた。目標である「青春王」への一歩を踏み出すため、この大会は絶対に乗り越えなければならない。
「ドッグランウェイのルールは簡単――殺さない程度に相手を倒せ!」
殺さない程度か。まあおれは拳で戦うから大丈夫だと思うけど、武器を使う比渡とか実凪とかは難しいんじゃないの?
「当然、武器の使用は許可する。全力で殺しあえ!」
『おおー!』
おいおい、いま殺しあえって言ったよな? 言ったよね? てかなんでみんな乗り気なの? 殺しあっちゃまずいでしょ。
「では、クラス対抗戦のトーナメント表を公開する」
と、学園長が言うと巨大スクリーンにAブロックとBブロックの対戦表が表示された。
「個人戦はこちらで選抜した者に出てもらう。わたしからは以上!」
FクラスはBブロックか。んで、SクラスはAブロックか……てことは、Fクラスが順調に勝ち進めれば決勝で当たるのはSクラスってことになるな。
「Fクラスが初戦の相手って余裕じゃん」「ほんとほんと、雑魚がどう頑張ったって雑魚なのよ」
なんだなんだ? Bクラスのモブたちが何やらFクラスのことを悪く言っているな。
まあおれたちFクラスは、確かにこの開闢犬学園の中では底辺扱いされている。才能も実力もない、いわば落ちこぼれの集まりってやつだ。だけど、おれたちはそんな評価に屈するつもりはない。いままでは底辺って言われていただろうけど、今大会は違う結果になるだろう。
「恥曝しね」と比渡はBクラスの評価をした。
「だな」おれは肯定する。
「おいおい! 聞こえてんぞ!」
「あら、ごめんなさい。鼻も悪ければ耳も悪いのかと思っていたの」
「サイテー」
「あら、ごめんなさい。悪いところだらけだから人間ドックで検査しなくちゃね」
「はあ? てめー比渡家の恥曝しのくせして、調子乗ってんのか!」
「ほんと、弱い犬ほどよく吠えるのね」
比渡に言われたBクラスの連中はわなわなと怒りをあらわにしている。
「まあ、多勢に無勢だ。おれたちBクラスが勝ったらパシリにしてやるからな」
「なら、Fクラスが勝ったら?」
「なんでも言うこと聞いてやるよ」
ほほーん、それは自信満々じゃないですか。
「最初の試合はFクラスvsBクラス!」
と、審判であろう人物は拡声機を片手に言った。
最初か。どうやら弱いクラスから試合をやるようだ。
まあ、なんでもいい、全員倒せばいいだけだろ。




