練習の日々
その日から数日後、おれはますます練習に没頭していった。闘技大会が近づく中、おれの体力と精神は一段と鍛えられていった。しかし、闘技大会に対する緊張感や不安もあったが、おれはそれを乗り越えるために必死に前に進んでいた。
今日も練習を終えて食堂で休憩していたとき、再びSクラスのトップ3、縁忠、唯、良乃が現れた。今度は彼らが何かを話しかけてきたわけではなく、単にそこに居合わせただけだったが、おれには彼らの存在が重く感じられた。
「日野君」と声をかけてきたのは、秋だった。
「ん?」おれはその声に反応して振り返った。
「最近、変わったことがあるみたいだね」と秋が微笑みながら言った。
「変わったこと?」おれは首をかしげた。
「まあ、少しずつだけど、周りの反応が変わった気がするよ」と秋が続けた。「特に、縁忠君や唯ちゃん、良乃ちゃんのようなトップクラスの人たちが、日野君に興味を持ち始めているように感じる」
「トップクラス? それ、ちょっと怖くないか?」おれはその言葉に少し警戒しながら答えた。
「怖がることないよ」と秋は軽く笑った。「でも、確かに日野君が気をつけないといけないこともあるかもしれない。闘技大会も近いし、日野君が注目されていること自体が良いことでもあり、悪いことでもある」
「なるほど……」おれは少し考え込み、目の前の飯をかき込んだ。
その時、ふと比渡の姿が目に入った。彼女もその場にいて、食事を取りながらおれの様子を観察している。比渡は心配そうな顔をしながらも、何も言わずにそのまま黙っていた。
「比渡、お前も何か言いたいことがあるのか?」おれは比渡に尋ねた。
「……日野君が無理をしないように、気をつけてあげてほしいだけよ」と比渡は静かに答えた。
え? おれなんかを比渡が心配しているの? 好きになっていいですかね?
「そんな心配することないだろ。おれは強くなるために全力を尽くすだけだ」とおれはきっぱりと言った。
その言葉を聞いた比渡は、少しだけ安心したような表情を浮かべた。
「それなら良かった」と彼女はにっこりと笑った。
その後、おれは再び練習場に向かう準備を始めた。おれの決意は揺るがなかった。どんな困難が待ち受けていようと、おれは前に進むことをやめない。闘技大会で自分の力を試すこと、それがおれにとって今最も重要なことだ。
青春王におれはなる!
しかし、心のどこかで、おれはふと思うことがある。
(縁忠や唯、良乃。あいつら、何か本当の目的があるんじゃないか?)
その疑念が、おれの心の中で次第に大きくなっていった。しかし、その問いの答えを出すことなく、おれは練習に打ち込み続けるのだった。
そして、ついに闘技大会の日がやって来た。




