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インターンシップ

 おれと比渡は東京に来ていた。


 一週間のインターンシップ、その期間でドッグズの仕事を覚えろということらしい。


「なあ比渡、明日香さんまだかな?」


「たしかに遅いわね……鬼にでも遭遇したのかしら?」


 それは分からねぇな。そこら中ドブみたいな臭いと食い物の匂いがするし、こんな場所で鼻を利かせて鬼探しとかできねぇぞ。


「やあ少年少女よ! おはよう!」


 と集合時間に一時間遅れて来た明日香さん。


『おはようございます』


 おれと比渡は少しうんざりしながら挨拶をした。


 このヒト学生に一時間も待たせておいて謝罪なしかよ。


「いやいや悪い悪い、ここまで来るのに鬼にでくわしてねぇ、それで遅れてしまったよ、ははははっ」


 うわぁ、嘘っぽい言い訳来た。このヒト自分の失敗を他人に押し付けるヒトだったら嫌だなぁ。もしそういうヒトだったら独身を謳歌しているだろうな。


「それじゃあわたしの事務所に行こうか」


 事務所……明日香さんってドッグズ最強なんだよなぁ。その最強の事務所ってどんなところなんだろ。わんちゃんいっぱいいたりするのかな? なんか楽しみになってきたぞ。





「ここがわたしの事務所だ! 一週間自由に使っていいぞ! あ、女の子の部屋はこっちね」


「…………」


 え? 滅茶苦茶オンボロ事務所じゃん。ドッグズ最強のヒトの事務所ってこんな犬小屋みたいなところなの? いいのそれで? おれはよくないと思うよ、だってドッグズ最強の一角を担っているんだよね? これじゃあ最強なのに最低な事務所じゃん。犬もいないし。


「あの……」


「何かね日野少年」


「明日香さんってドッグズに搾取されていたりします?」


「いいや? かなり稼いでいる方だよ」


 そうなの? それでこの事務所なの?


 まあいいか、事務所にお金かけない系の人なんだろうな。


「明日香先輩、戻ってきたら事務仕事もしてください……って、誰ですかその少年と少女は」


 と、女性は机から起き上がるなり明日香さんに質問して来た。


「あ、そういえばミサちゃんに言ってなかったな。今日から一週間わたしのところで鬼狩りを体験する犬学の生徒だ」


「うそー! 可愛いー! なになに? こんな可愛いのに鬼殺しの試練突破したの? うわー可愛くて強いって凄いねぇ。お名前なんていうの?」


「比渡ヒトリです。よろしくお願いします」


「可愛いー!」


 と、比渡の頭をなでなでするミサさん。比渡はうざそうにしている。


「そっちの少年の名前は?」


「日野陽助です、よろしくお願いします」


「やだー! 目が腐っているところがすごく可愛いー!」


 それ褒めてるの? それとも貶してるの? どっちなんだい? 結構そこ重要な部分だよ。


「さて、じゃあ改めて簡単な自己紹介してもらうとしよう! 少年から!」


「日野陽助です。好きな動物は犬で、好きな食べ物はすき焼きです。よろしくお願いします」


「比渡ヒトリです。好きな物は……甘い系の物なら大抵は好きです。よろしくお願いします」


「わたしは沢田ミサです、好きな物はコンビニのスイーツです。よろしくね!」


「わたしは如月明日香だ。好きな物は少年少女の努力する姿! よろしく!」


 男おれだけかよ。最強の事務所ならもっと人員確保していてもいいんじゃないの? てか明日香さんいるだけで暑苦しいなぁ。


「ではさっそく仕事の体験をしてもらおう!」


 え? もう鬼退治に出かけるの? 嫌だなぁ、怖いなぁ、都会の鬼ってどんな鬼がいるんだろう。嫌だなぁ、怖いなぁ。


「まず最初の任務! それは――事務所の掃除だ!」


「明日香先輩、それは学生にやらせることじゃないと思うんですけど……」


「いいや、掃除は大切な仕事だ!」


 いや自分で片付けろよ。おれと比渡はインターンで来てんだぞ、鬼と戦うのが職場体験だろ。


「んじゃ、あとよろしくね。わたしは三時間寝るね、徹夜だったから疲れているんだ」


「あ! 明日香先輩、掃除終わったらなにやらせればいいんですか?」


「うーん、まあテキトーに休んでて」


 と、明日香さんは隣の部屋へ行ってしまった。


 まあ、鬼と戦うことなくインターンが終了してくれれば楽だな。


 インターンシップ初日。おれはこのまま平和にいられればいいなと思った。


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