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ネネ登場

 現在は午後五時。


 おれと比渡は鬼を狩るためのパトロールをしていた。屋上でわんこプレイに励むのも良いが、やはり犬の散歩は大切だ。


 鬼よ現れるな、鬼よ消えよ、鬼は外福は内。この至福の時間を邪魔されてたまるかってんだ。


「日野君」


「ん?」


「わたしたち付けられているわ」


 おやおや、やっとストーカーが現れたのか。比渡のこと好き過ぎてストーカーしている奴はどんなキモい奴だ。おれよりもキモい奴だったら許してやる。まあそんな奴いないと思うけど。


 と、おれが振り返ろうとしたけど、「振り返らないで」と比渡は言った。


「でも付けられているんだろ? ずっと付けられてたら比渡の隠れ家がバレるぞ。今たたくしか方法はなくねぇか?」


「どうにかして撒くわ」


 どうにかしてってどうやってだ。


 と、比渡はポケットから布袋を取り出し――それをストーカー目がけて投げた。


 ストーカーに当たると何やら粉のような物が空中に散布された。


「走るわよ!」


「お、おう」


 おれは比渡の後を追った。何か分からねぇけどヤバい状況なのは伝わってきた。


「比渡さっきの布袋はなんだ?」


「臭い袋よ。一時的に鼻を利かなくしてくれる」


 ほう、そんなもの持ち歩いているのか。さすが今まで逃げてきただけはあるな。


 おれと比渡は走った。走って走って、追っ手の気配が無くなるまで走った。


「もう大丈夫よ」


「おう。しかしあれだな、比渡はいつもこうやって逃げてたのか」


「いいえ、今日が初めてよ」


 え、じゃあこの町にいることバレたってことで、お終いってことか? おれと比渡の青春ラブラブ計画は音を立てて壊れるってことか? そんなの嫌だ! おれと比渡は絶対にわんわんラブラブプレイを継続しなくちゃならないんだ。


「じゃあこれからどうする?」


「比渡お嬢!」と、おれは背中に冷たいものを感じた。


 刃物? 視線? どちらも冷たいけれど、刃物はおれに向けないで!


「あら、久しぶりね……ネネ」


 ネネっていう名前なのか。犬猫っぽくておれは好きだぞその名前。好きだから刃物は向けないでよ、ネネちゃん。


「どうしてお嬢がこんな得体の知れない奴と一緒にいるんです! こいつキモいし、クサいし、目なんて腐っている」


 えぇ、おれの第一印象それなの……だいぶ酷くね? もう少し優しくキモいとかクサいとか言ってくれない? さっきの言い方あれじゃん、もう嫌で嫌で生理的に無理的な言い方だったじゃん。


「そんなことより刃物はしまいなさい」


 比渡に命令された謎の人物はおれの背中から冷たい何かを遠ざけた。


 はぁ、よかった。おれ今まで生きていてヒトに刃物突きつけられたこと無いよ。死ぬほど怖かったよ。さっきの緊張感もう味わいたくないよ。


 と、おれは振り返った。そこには犬の仮面を着けた人物が立っていた。昨日会った奴に似ているというか、昨日の女だと思う。


「お嬢、どうしてドッグズを裏切ったのですか?」


「あの場所ではわたしの復讐は叶わないから」


「復讐って……それはドッグズに任せておけばいいじゃないですか! それとこの男は何です? お嬢に気安く話しかけるこの下衆は何者なんです?」


 下衆? 犬と言ってくれ。犬が付いていれば下衆犬でも可能だ。


「わたしの犬よ、日野陽助って名前なの」 


 と、おれは頭下げた。どうもどうも、さっきは殺そうとしてくれてありがとうございます。本当に殺されたら化けて出るところでした。


「知っています……って、まさか! その首輪!」


「ええ、そうよ。わたしは彼を選んだ」


 あらら、犬因子のことバレたか。まあ遅かれ早かれバレることは決まっていたからな。でさ、バレたらおれどうなるの?


「血迷いましたか……」


「ええ、復讐はわたしの手でする」


 え、肯定するの? 血迷ったの? おれに首輪着けさせたの失敗だったの?


「ドッグズが黙っていませんよ。いずれドッグズの追っ手がお嬢を捕らえに来ます」


「あなたが捕らえればいいじゃない、今ここでわたしを捕らえればいい話でしょ」


「上からの指示は比渡ヒトリを見つけろという命令だけです」


「ネネは甘いわね」


 どうやら比渡は今日捕まらずに済むようだ。そしておれはどうなる? おれだけは捕まえるとか? 嫌よそんなの!


「わたしは今日のことを上に報告します。服にお嬢の臭いが付き過ぎた……それとお嬢、いまからこの町から出ていってください」


「逃げたところで捕まるのが落ちなのでしょう。あいつ(・・・)が動いているなら、この町に隠れていた方が臭いは残らないわ」


 あいつ? そんなに警戒しなくちゃならない奴がいるのか。


「しかしお嬢!」


『――!』


 と、そこでおれの鼻を刺激してきたのは鬼の臭いだった。どうやら比渡もネネも鬼の臭いに気付いたみたいだ。


「――日野君」


「おう」


「お嬢! 待ってください!」


 待ってられるか、鬼は殺さねぇと人間が傷つくんだ。

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